内田裕介

内田裕介

ビールと温泉と映画が好きなおやじです。


本が好きです

さんの書評2024/02/08

生理学的根拠の示されていない話も多いが、参考になるところもあり

1分で耳がよくなるなら、と手に取った。 が、そんな安直でうまい方法はない。(読む前からわかってはいたが) 著者考案の7つのトレーニングのひとつをやるだけでも1分以上かかる。 それを気長に1年半ほどやると聴力が改善する(かも)、ということだ。 「3歳の男の子、ある日を境に呼んでも振り向かなくなった。7件回った病院での診断はどこも先天性のものだから治らない、とのことだったが、本書の方法で1年半かけて元通り聞こえるようになった。p40」 聴力は物理的な音波の受容器としての耳と、それを意味のある「音」として認識する脳の働きのふたつからなる。例えば前者は問題なくても、後者に問題があるとこうなる。 「相手の声は聞こえても、別の言語を話しているようで内容がまったく聞き取れない。会議の時にペンを落としたり、コップをテーブルに置いたりする音ばかり拾ってしまい、話している内容がまったく理解できなかった,p32」(30代男性、聞こえが悪くて補聴器を付けたが改善しない事例) 前者は内耳への血流の改善、後者は「聞こえない」と思う心、考え方の改善が必要で、本書で参考になったのは後者の方法だ。 「10種類から好きな音色の鈴を選んでもらい、耳音でそれをじっくり味わって、いい音だな~と脳に記憶させる。もっと聞きたい、と思わせておいて、耳から少しずつ離していく。そうすると、脳が一生懸命聞こうとするので、どうせ聞こえない、と怠けていたのが活性化される。好きな音を毎日、ほんの数分でいいので、耳にすることで脳の働きが高まり、聞こえづらさが解消する。p135」 これは、なるほどな、と思う。 また、こういう方法も紹介されている。 「難聴になったらどんどん音を聞くべし。突発性難聴の患者に阪大病院で行った実験で、ステロイド療法に加えて、聞こえる耳に耳栓をし、聞こえないほうで1日6時間、音楽をきいてもらったところ、3カ月後にはステロイド療法のみの患者に比べて張力の回復が著しくアップした。p125」 これも耳ではなく脳に対するアプローチとして参考になる。 一方でこういう記述もある。 「p78 耳をよくするには腸をよくしろ、と言っている。その理由は腸が耳の健康に必要な、血液の流れにいちばん大きな影響を及ぼすため。腸の動きが鈍ると代謝を含むすべての機能が低下してしまう。大腸小腸を中心とした内臓の働きが衰えれば当然血流も悪くなってしまう。」 なんの生理学的根拠もしめされていないこういう記述をみると なんでやねん!と突っ込みたくなる。 ということで、参考になる記述もあったので、いちおう★3つにしておいた。 参考までに、著者考案のトレーニングをメモっておく。 ◆1分で耳がよくなる今野式7つのトレーニング ①4つの基本マッサージ ・耳シェイク 耳の付け根と前を人差し指と中指で押さえて上下にシェイクする ・耳さすり 耳の周りをさする ・耳の穴刺激 耳の穴に小指をいれて上下左右に軽く押す ・耳引っ張り 耳全体を上下左右に軽く引っ張り、両手の平で耳穴をふさぎ、2秒したらパッとはなす ②エア縄跳び 1分で4-50回、一日500回を目標に ③チョッピング呼吸法 大きく吸って、「フッ、フッ」と、息を少しずつ止めながら吐き出す 3回1セット一日50セット ④お腹ウェービング 右手をおへその右下におき、手を波打つように動かしながら反対側までマッサージ。20回以上。 ⑤頚椎シェイキング 片手の手のひらを頚椎を包むようにあて、上中下優しく左右にシェイク、全体で1分。頚椎の血流改善。 ⑥スプーン熱針療法 70度に温めたお湯にスプーンの柄をいれ、おへその周りを円を描くように温める。腸の血流を改善。 ⑦サウンドメディテーション 昔聞いた楽しく幸せな気分になる音、心地よい音を思いだす。最低1分。聞こえていた記憶を呼び覚ますことで、聴神経を刺激する。聞こえるはずと思うことで実際に体が聞こえるよう働き始める 以上。

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さんの書評2023/08/09

最強につまらない、とまではいわないが

石井直方氏の「筋肉学入門」がものすごく面白かったので、石井直方氏の著作を片端から漁っていて手に取った。 雑誌「ニュートン」の筋肉関係の記事を再編集したもので、石井直方氏は監修。執筆はしていない。 図版こそ丁寧に書かれているものの、内容的には何にも知らない素人さん向けで、この分野に興味のある人にはほとんど常識のようなことばかり。正直いってつまらない。 また、結論だけ書かれていて、説明が少ないので、筋肉学入門のような読んでいてワクワクするような知的刺激にも乏しい。トリビアの域をでない。 なかで、いくつか拾えたものを備忘のためメモする。 p36 トレーニングをすると筋が太くなるのは、サテライト細胞が分裂して筋繊維に融合し、筋繊維の核の数が増えてタンパク質の合成量が上がるためである。 p72 糖尿病に運動がいい、と昔から言われていたが、それは筋肉が糖を蓄える機能があるからだということが近年わかってきた。筋肉中のATPが枯渇すると、筋の糖の取り込みが促進される。また筋肉量が低下すると血糖値の調整機能が低下することも知られている。 いずれにしても、最強につまらない、とまではいわないが、期待外れだった。

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さんの書評2023/06/22

プロテインは飲むべきでない、っていうのはホントウか?

糖質の生理学的な知見ついて調べていて手に取った。 見開きで右が文章、左がイラストやグラフという体裁で、読みやすくわかりやすいのはいいが、やはりわかりやすさを重視したためか、細部の説明がもの足りない。 また、糖質は人体に有害である、という認識からスタートしているので、糖質の話だけでなく、糖質をどのように遠ざけるか、ということにも力点が置かれていて、糖質制限ダイエットや糖質制限メニューなどにも言及していて、焦点がぼやけてしまった。 ひとつ気になった記述があり、それは「プロテインは飲むべきではない」という項。 プロテインをたくさんとると腎臓に負担がかかって腎臓病になる、という理由だ。 小生もタンパク質補給のためにプロテインを飲んでいるので気になって調べてみたが、たとえば1日に1kg(!)以上もプロテインを飲んでいるようなボディビルダーには、確かに腎臓病で苦しんでいる人がいるようだが、通常摂取量の20g/日くらいで腎障害になる例は見つからなかった。 プロテインが危険だ、というなら、危険な量がどのくらいなのかをデータ(あるいは経験でもいいが)に基づいて説明すべきだと思うがどうだろう?本書にも著者のブログ記事にも危険な分量についての記述はない。 ただただ「人工的なものは避けるべき」っていうような説明では、週刊金曜日と同じで、科学というより思想であり、信者以外には役に立たないのにな、と残念に思った。

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さんの書評2023/06/01

ちまたにあふれる「健康情報」を読み解く力=ヘルスリテラシーの重要性

ちまたにあふれる「健康情報」に安易に飛びついてはいけないよ、情報の信ぴょう性についてちゃんと判断しましょうね、という趣旨の本です。 これを「ヘルスリテラシー」というそうで、著者の造語かもしれませんが、なるほど、ヘルスリテラシーとはわかりやすい用語です。 👉魚は体にいい 👉グルコサミンは膝痛に効く 👉腸内細菌が認知症予防になる などなど、よくテレビや雑誌で取り上げられる話題について、その根拠となる論文の読み方を解説しつつ、実際のところはどうなのか、という評価を加えていくスタイルで読みやすいのがいい。 論文といっても、そこに書いてあることがすべてにあてはまるとは限らない。むしろ、そうでないことの方が多い。動物実験で証明されたからといってそれが人間にもあてはまるとは限らないし、ごくごく限られた条件下でだけあてはまるということもある。さらに多くの研究にはスポンサーというのがいて、スポンサーの喜ぶような結果がでなければ、そもそも研究結果自体が発表されないことだってある。 科学者、研究者にもいろんな「大人の事情」があって、その中で研究を進めているわけで、そこを踏まえたうえで健康情報を読み解きましょう、ということです。 その意味では本書に書かれていることも、そのまんま信じてはいけません。 たとえば、「雨の日は節々が痛むのはなぜか?」というトピックでは、想起バイアス(=過去の出来事を思い出すときに過剰反応しやすい)の可能性を指摘していて、150万人の外来受診データを雨の日とそうでない日にわけて関節痛の受診数を比較したところ、ほとんど差がなかった、という研究を紹介しています。 しかし、気圧チャンバーを用いた実験では、わずか数hPaの減圧でも認識し、頭痛やめまいを訴える人がいることもわかっていて、気圧が痛みに関係することがある(そういう人が現にいる)、というのも事実だと思います。 科学といえども、ある時点、ある条件でのピンポイントの事実しか捕まえられません。 時空を超えて普遍的な「真実」を捕まえるのはたいへんです。 一方、自分の身体は唯一無二。世界中で自分にしか起こらないことでも、もし起きたとしたなら、自分にとっては「真実」なわけで、そこが物理学の実験などとちがって、健康情報の難しいところです。 というわけで、この本を読んで、そのまま信じるようでは「ヘルスリテラシー」が低い、ということになってしまいます。まずは疑ってみるのが、ヘルスリテラシーを鍛えることになると理解しました。

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さんの書評2023/05/25

一枚のイラストで歴史を俯瞰する、という試みはたいへんいいと思うのだが…

新聞広告で見て「箱庭ってなんだろう?」と思って読んでみた。 見開きページの左が文章で、右がイラストという体歳。 歴史の起承転結がわかりやすいようにイラストを箱庭風に書いてみました、という趣向だ。 ただ、イラストは…う~ん、これで歴史がわかりやすくなった、とはいいがたい。 歴史とは事実そのままではなく、物語としての起承転結、解釈のことだ。 事実をそのまま列挙した年表は味気ないが、物語として語られる歴史小説や映画は面白い。 ひとつひとつの事実の間を埋めるのは、感情だったり、損得だったり、幸運あるいは不運だったりする。そうして、独立したイベントは、歴史家や小説家によってつなぎ合わされ、意味を持たされて整合性のある物語となる。 だから、箱庭という起承転結化された一枚の絵で、時代の区切りとなる大きなイベントを語る、という試みはたいへんいいと思うが、一目で歴史の物語を俯瞰するにはごちゃごちゃしすぎてしまった感がある。 なかには「フランス革命④ ロベスピエールの恐怖政治」のように、スッキリとわかりやすく俯瞰できるイラストもあるのだが、全体としてはいまひとつ、か。 左ページの文章による解説は、簡潔でなかなかよかった。

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さんの書評2023/04/27

ビールを飲んだら痩せる、という話ではなかった。あたりまえか。

ビール腹、っていう言葉があるくらいで、一般には「ビール=太る」というイメージだ。ビールに痩身効果があるという話は聞いたことがないので、どういうことなのかと興味を持って手に取った。 著者は管理栄養士で、本書も栄養学による「太らない飲み方」についての知見を述べたものである。 したがって、ビールを飲んだら痩せる、という話ではなく、大好きなビールを飲んでも太らない食べ方、というのが正しいタイトルである。かなりあざとい。が、こういうタイトルに釣られて読む小生のような読者もいるんだろうから、編集者は優秀ってことなんだろう。 著者自身が書いているように、栄養学の常識は10年もすれば、真逆になることがある。 卵を食べすぎるとコレステロール過剰になるので一日一個まで、っていう話はなんとなく常識かなと思っていたが、いまでは否定されているそうだ。こんな話はいっぱいある。 本書自体が2012年の刊でもう10年前だから、すでに真逆になっていることもあるんだろうな、と思いつつ読んだが、そうなると何を信じていいのか、よくわからない。困ったものだ。 ただひとつ、よかったのはこのくだり。 「適度な飲酒は虚血性心疾患や脳梗塞の予防になることが、ほぼ確実と考えられています。心筋梗塞に関しては、飲めば飲むほどリスクが低下する傾向がみられたという報告もあるほどです。p33」 小生、心臓が強いほうではない。が、飲めば飲むほどリスクが低下、って言われると勇気100倍である。ま、いまはウソになっているのかもしれないが。

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さんの書評2023/04/27

怪談が作り出す人の世の余白

タイトルが気になって手に取ってみた。 著者は磯釣り専門の釣り師兼ライターで、小生は釣りをしないので知らなかったが、その世界では著名な人らしい。開発が進んで、口伝えに語り継がれてきた海の怪談話も消えつつあり、それを形にとどめておきたい、と書かれたのが本書である。 著者自身の体験も含めて、数々の怪異話が淡々と綴られていく。稲川淳二風に「怖い」演出が施されているわけでもなく、こうして本を眺めているだけではその怖さはさほど伝わらない。やはり、怪談は人の口で語られてこその怖さなんだろうと思う。 「本書で紹介する怪異話もなんの役にもたたない話だが、(中略)たとえ意味のない話であっても、その話が作り出す余白みたいなものが日常をかろうじて支えている気がした。」 という一節が妙に心に残った。 小生には霊感は全くなく、そういうものの存在を否定するわけではないが、積極的に認めようともしておらず、したがって現実世界と異界の接合点はなきに等しい。 しかし、著者の高木氏にはきっと、現実世界と異界との境界領域が相当の厚みをもって「見えて」いるんだろう。そしてその境界領域が人生をより豊かにするのかもしれないと思った。

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さんの書評2023/04/13

朝のコーヒーと夜のビール、はそんなに調子がいいのだろうか?

朝のコーヒーと夜のビール、は自分自身の習慣でもあり、そんなに調子がいい習慣なのかな?と根拠を知りたくて手に取ってみた。しかし、その論拠は… 「コーヒーのカフェインは交感神経を刺激、ビールのアルコールは副交感神経を優位にするため、飲むタイミングを調節すれば自分(の自律神経)を思うように操れる」 というもの。 ほんまかいな?というのが正直な感想だ。 アルコールでいいなら、ビールじゃなくてもお酒ならなんだっていいんじゃないか?とか、そもそもアルコールは交感神経を亢進するから飲むと心拍数は上がる。リラックス=副交感神経の亢進というのとは違うんじゃないか?とか、もう疑問がいっぱいわいてくる。 なおp113にコーヒーに含まれるクロロゲン酸の効果が書かれているが、Wikipediaにはクロロゲン酸は熱に弱くすぐに分解される、とある。つまり焙煎したり、熱湯で淹れたコーヒーにはクロロゲン酸は含まれていない、と思うのだがどうだろう。サプリメントのクロロゲン酸も生豆から中質している。 などと突っ込みどころ満載。 胡散臭いネット記事とあんまり変わらないような内容で期待とはずいぶん違った。

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さんの書評2022/07/24

上島竜兵氏の自殺は首コリからくるうつが原因だったのではないか

上島竜兵氏の自殺は首コリからくるうつが原因だったのではないか、との著者のコメントを週刊ポストで見て、読んでみた。 ①首コリが副交感神経を圧迫する ②副交感神経の働きが悪くなり、いわゆる「不定愁訴」が出る ③不定愁訴がひと月以上続くと、うつ症状がでる。   というメカニズムらしい。 このうつはこれまでのうつ病とは全く異なり、抗うつ剤も効かない「新型うつ」とのことだが、①から③までぜんぶ仮説で証拠はない。 医学にはメカニズムがわかっていて治療法が開発される病気と、治療法が先に発見されて、あとでメカニズムが解明される病気のふたとおりがあるが、新型うつは後者だ、と著者は主張している。 タイトルに「女性」と銘打っているのは、女性は首の筋肉が弱いので、より首コリになりやすいからだそうだ。不定愁訴は更年期障害と合わせて、たしかに女性が圧倒的に多いという気はする。 首コリを解消すれば、抑うつも不定愁訴も雲散霧消、というなら多くの人にとって福音となることは間違いない。とりあえず、抑うつ症状がある人は、松井氏考案の「555ネックエクスサイズ」を試してみるのもいいと思う。手軽だし、抗うつ剤と違って副作用もないし、損はない。 個人的には、副交感神経の機能低下がうつ症状を引き起こすと主張するその根拠について、脳科学的メカニズムの説明を期待していたのが、それがなかったので、★3つとしました。

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さんの書評2022/01/20

残念ながら、生理学的に信頼できる説明はなし。

残念ながら、生理学的に信頼できる説明はなし。 皮下脂肪はたまると筋肉に張り付いて筋肉の動きを悪くする。だから揉んで脂肪と筋肉を剥がせば筋肉が動きやすくなって痩せる、というようなテキトーな説明だ。 機械的な刺激では皮下脂肪はとれないという説と、機械的刺激で脂肪を分解・排出できるとする説があって、どっちがほんとうだかよくわからない。それで皮下脂肪は揉むととれる、という説の根拠が知りたかったのだが… 皮下脂肪を揉んだ時、体の中で何が起こっているかは実際にはわからないので、揉めば痩せるとなんとなくでも納得させてくれればそれでいいのだが、にしても、この説明ではあまりに稚拙あるいは不十分。筋肉は筋膜で包まれているが、皮下組織が筋膜となぜ癒着するのか、メカニズムがまったくわからない。 なお、本書の方法は、ただ皮膚を皮下脂肪ごとひっぱってつまみ揉みするだけで、特別なことはない。気になるところをつまみ揺らししてみてほんとに痩せれば儲けもの、わざわざ本を読まなければわからないようなことは書いていない。

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さんのコメント2023/06/22

たいへん人気の高い本で、ずいぶん待って借りられた。 しかし、待った割にはイマイチ。 ひとつのお題に5人の専門家がそれぞれの立場から知見を述べるというスタイルだが、紙幅が制限されているからだろう、とにかく、どの説明も足りない。 説明が足りないから、腑に落ちるところまで理解できない。 うわっつらをなでるだけ、目次だけを読んでいる感じで、どうにも落ち着かない。隔靴掻痒とはこういうことをいうのだろう。 いままで小生が読んできたものとは異なる分野の研究者の知見も含まれていて、その点では新しいとっかかりが得られてよかったが、「筋肉疲労は乳酸が原因」などという、もう20年以上前に否定された話が混じっていたりして、全体にどこまで信用できるのか、ちょっと不安もあった。 脳と疲れに関する知見のインデックス、見出し以上の収穫はなかったが、田中伸明氏が紹介していたフリストンの「自由エネルギー原理」は読んでみようと思う。

さんのコメント2022/01/06

美肌水の作り方を確認したくて、発案者今井龍弥医師の著書に当たってみた。 ざっくばらんで軽妙な語り口がまるでずっこけ漫才を観ているようでたいへん楽しい。 経営を重視する(せざるをえない)病院にかかると、治る病気も治らなくなってしまうという話を、自身の経験のなかからたくさん紹介していて、それが本書のタイトルになっている。 また、お金をかけずにできるヘルスケアをさまざまと工夫していて、たとえばニキビを治すには使い終わったボールペンの芯を使うとか、口内炎を早く治すには海苔を絆創膏がわりに使うといい、など面白いアイディアも満載。 美肌水もそのひとつで、ホームセンターで売っている肥料用のごく安価な尿素でかんたんに作れて、しかも効果はバツグン。今井医師の真骨頂だ。 大いに参考にさせていただきます。

さんのコメント2021/02/02

関節包内矯正という手技がどんなものなのかに興味があって手に取った。 が、具体的にどういう方法なのか、なぜそれで痛みをとれるのか、理論的背景も具体的方法論も記述がなく、ほとんど参考にならなかった。要するに牽引、離開か? 「さかいクリニックグループ」とあるので、整形外科の医師が書いた本かと思っていたが、どうやら柔整師のグループのようだ。「クリニック」は普通、街の小さな診療所につける名称。紛らわしい。

さんのコメント2018/08/02

エビデンスに基づいてサプリメントの効果を論じているという評があったので手に取ってみた。 たしかに、それぞれの効果について「こういう報告がある」という記述はある。 逆に、ちまたにいわれているような効果について「証拠はない」という記述もある。 いずれについても論拠となる出典は明記されていないので、それ以上確かめることができないのは残念。 だが、掲載されているサプリメントは製品紹介ではなく、成分主体で網羅性は高い。 また、病気・症状ごとに整理されているので、カタログ的な使い方には向いている。 なぜ効くのか、ほんとに効くのか、あるいはどの製品を買うべきなのか、といったことは自分で調べないといけないが、まあ、それくらいは自分で勉強しなさい、ということであろう。(冒頭にもそう書いてある)

さんのコメント2018/07/09

介護現場むけに書かれた口臭対策のテキストだが、前半は口臭の原因について口腔衛生学的観点で詳述されていてたいへん参考になる。 口臭の原因、消化管や肝臓の不具合だTVなどで聴いて、なんとなく信じていた。 が、本書によれば、やはり口臭の9割は口の中の細菌が原因だそうで、腸で吸収されたおならが肺から呼気として出て臭うのは1%程度だという。 口臭の原因は、グラム陰性菌が舌苔で産生するVSC(揮発性硫黄化合物)なので、歯磨きといっしょに舌苔の掃除が重要なポイントとのこと。 またVSCの揮発性をなくすために、塩化亜鉛を配合したうがい薬も即効性があるということだ。(アマゾンで1500円くらいで売っている) 介護の現場向けではあるが、本書の内容は具体的でわかりやすいので、自分の口臭のコントロールにも十分役にたちそうだ。 さっそく舌苔ブラシ(へらよりブラシがよい)と塩化亜鉛うがい薬を使ってみたい。

さんのコメント2018/07/06

頭蓋骨を緩める、といってもマッサージや整体ではない。 指先をごく軽くあてて皮膚とその下の筋膜をゆっくり動かすことで、頭蓋骨をはじめ首、腰などの骨格のゆがみを矯正するという方法である。 クラニオセイクラルセラピーといって、20世紀初頭に考案されたかなり古くからある方法のようだ。 砂の上に敷いたラップを、下の砂が動かないようにゆっくり動かすくらいの圧で行う、というから、これまでのどの方法にもなかったような超フェザータッチ。 実際にやってみると、もちろん「キク~」という感じにはならないが、フェザータッチは自分でやっても心地はいい。 筋膜の拘縮が実際にリリースされたかどうかは確認のしようがないが、少なくとも皮膚を軽く撫でることで交感神経を鎮めて緊張がゆるむ、ということはありそうだ。 花粉症に即効性があるらしいので、そのときに試してみたい。

さんのコメント2018/06/17

食品物理学、という聞きなれない分野の研究を紹介したもの。 チョコレートを美味しく食べるには、味はもちろんだが、口に入れるとすみやかに溶ける食感=テクスチャ―も非常に大切で、これを決めているのがカカオバターの結晶構造。しかし油脂の分子は非常に小さいので顕微鏡では観察することができない。そこで中性子やX線を油脂にぶつけて、そのときにできる陰(回折格子)を分析することで構造を研究しているそうだ。 かの有名な「Spring8」も使っているそうで、なるほど、食品と物理学はそういうところでつながっているのか、と納得。 食品の油脂としてはほかにマヨネーズとマーガリンも取り上げられている。 身近な食品だけに、食味のよい製品を作るためにメーカーや研究者がどのように取り組んでいるのかがよくわかり、たいへん興味深く読んだ。

さんのコメント2018/06/17

マーガリンはトランス脂肪酸が多く含まれる(1%~13%)ので身体に悪い、ということだが、なぜトランス脂肪酸が身体に悪いのかについてはよくわからない。 2013年にアメリカの食品医薬局(FDA)が大規模な調査を行ったところ心臓疾患との関連が判明したということで、ここからトランス脂肪酸への総攻撃が始まったらしい。 各国でのいろんな調査で「ほぼ黒」はまちがいなさそうな感じだが、しかし、本書の研究事例は疫学調査ばかりで、マウス実験による直接的な証拠がない。さらに心臓疾患だけではなく、乳がんや不妊、糖尿病、子宮内膜症、うつ病、認知症、発達障害などなど万病の原因とされているが、生理学的な機序はさっぱりわからない。 また全体にヒステリックな書きっぷりもあって、ちょっと辟易させられた。 トランス脂肪酸の「毒性」について生理学的な知見を期待していたが、期待外れだった。

さんのコメント2018/03/20

事典としての情報量はさほど多くはありませんが、これだけたくさんの精油を一挙に掲載した書籍は珍しい。 スイートオレンジ、ビターオレンジ、ブラッドオレンジがそれぞれ別の精油として独立して載っている本は初めてみました。 またすべての精油に原料植物の写真ではなく、イラストが付されている点もたいへん参考になります。(植物は写真ではかえってわかりにくい) 一点だけ残念なのは、香調でグルーピングされていて、あいうえお順になっていないこと。 知りたい精油がすぐに引けません。 巻末に効能表があって、そこから手繰ることもできなくはありませんが、事典としてはやはり使いにくいですね。 この点を差し引いて★4にしましたが、内容に比べて価格も安めですし、一冊持っておいても損はないと思います。

さんのコメント2018/03/12

BioDigitalが日本語対応しておらず、ラテン語っぽくて全然読めないうえに、辞書ツールで引いても訳語がでないことも多く困っていたが、本書は英語名はもちろん読み仮名まで振ってくれている。さらに筋がついている骨の方にも英語名と読み仮名を振ってくれていてたいへん便利だ。 筋ごとの精密なイラストだけでなく、機能、動作、支配神経、起始停止も図示されていて、とくに動作の記述がおもしろい。 たとえば、小円筋を使う動作は「目の前のものを払いのける、相方にツッコミをいれる」などとあって、実に具体的だ。 ざっと見ただけだが、ひとつ気になるところがあって、回旋筋腱板は肩甲挙筋、棘上筋、棘下筋、小円筋の停止腱で構成されるとあるが(p117)、肩甲挙筋ではなく肩甲下筋の間違いではなかろうか? ま、それはともかく、とても便利なので座右において都度参照したい。