みんなの書評

さんの書評2024/11/09

介護される方の尊厳を守るという意味でも、彼らの話を聞き、記録することは重要です

 認知症の人が繰り返す話を聞くのは、慣れない人にとっては苦痛ですが、なぜその話をするのか?を考えると、ちゃんと理由があるのです。でも、介護現場ではそんな余裕もなく、きちんと話し相手になることができずにいます。それぞれの人が持っている歴史を聞くチャンスがたくさんあるのに、それができないのがもどかしいと思う六車さんの気持ちが伝わってきます。  認知症でなくても、老人は現在の記憶はけっこう曖昧です。でも、昔のことは不思議なほどよく覚えています。子どもの頃に食べていたもの、どんな遊びをしていたのか、親の仕事のこと、断片的であっても懐かしく思い出すことがたくさんあります。そして、大人になってから誰にも言えなかったことも、きっとあります。遠くからお嫁に来て心細かったこと。田舎の言葉をバカにされたこと。戦争で辛い目に遭ったこと。などなど・・・  介護する側の都合ではなく、介護される方の尊厳を守るという意味でも、彼らの話を聞き、記録していく「介護民俗学」は、これからの時代に必要なものです。そして、急いで着手しなければいけません。その人がどう生きて来たのかを後世に残すための時間は、もう余り残っていないのですから。

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さんの書評2024/11/07

マジでおもろい

マジでおもろい みんなーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー見てみてーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

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さんの書評2024/10/221いいね!

寅さん、幼少期を語るの巻

幼少期から中学卒業(したのかな?)までの思い出話を酔客相手に語るモノローグ形式で、小説というより寅さんのトークショーっていう感じです。 さすがというか映画監督のお書きになったもので細部の描写が極めてリアル、とても作り話には思えません。映画のせいもあるでしょうけど、登場人物全員が実在の人物に思えてきます。 寅さんは昭和11年生まれという設定だから、5才から9才までは戦争中、9才以降は戦後の混乱期の真っ只中。わたしの母も昭和12年生まれなので、母の時代の人がどういう子供時代を過ごしたのか、そういう観点でも大変興味深く読みました。 ところで山田洋次監督は略歴では大阪生まれの東大卒ということですが、まるで葛飾柴又に生まれ育ったかのようなリアルで感情のこもった描写はどこからくるのでしょう? どうにも実話に思えてしかたありません。それが山田洋次の天賦の才っていうことなんでしょうけど。 本作は父親とケンカして家出するまでで終わっていて、それから20年後、郷里柴又に帰ってくるところから映画第一作が始まるわけですが、本作を読んだ人はまず間違いなく、また映画をみたくなるでしょうね。わたしももう、いてもたってもいられない感じです。

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さんの書評2024/10/14

図書室という銀河で出逢えた心揺さぶられる一冊

とても面白かったです! 前作の「図書室のはこぶね」で、エーリッヒ・ケストナーの「飛ぶ教室」に出会い、私のお気に入りの一冊になりました。 今作も、前作と世代は変わっていますが、野亜高校を舞台にした心温まる素敵な作品です。 宮沢賢治を研究する同好会「イーハトー部」の部長であり、宮沢賢治を愛する明るく優しい風見先輩が、ある日突然不登校になり、連絡も途絶えてしまいます。 先輩から最後に届いたメッセージを宮沢賢治作品を元に紐解いていきます。 この「謎」が読む人を物語にグッと引き込みます。 作中に登場するさまざまな他の作品たちも魅力的に紹介されており、本作を読み進めつつ、早速読んだ作品もあります。 最後の章は、物語の終わりに向けてとても心が動かされる印象的なお話でした。 言葉のひとつひとつが心にとても響いて、 思わず涙がぽろり。 様々なことをみんなで支え合いながら乗り越えて、やがて、それぞれの「ほんとう」と向き合う。 私自身の「ほんたうのさいはひ」についても改めて考える機会を貰いました。 読書の幅を広げたい人、名作により深く触れたい人、理由は分からないけれど日々の生活に満たされないと感じている人…など、様々な人に読んで欲しい作品だと思いました。

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さんの書評2024/09/28

地元出身者の著書で書店に伺い、これからの活躍を期待していますよ。

地元出身者の著書で書店に伺い、これからの活躍を期待しています。 漢字が苦手との事で、それをどう克服して成長するのか。 感想戦の時の先輩の台詞との対応力に対する不安を、払拭して行く人生を歩めなっかたらしいので、それが、なんとなくProの道を閉ざしていた原因かなという印象です。 同郷者として、私も年を重ねましたが、著書からは、夢を追うヒントに出会えました。 後は、女性との出会いで、屹度・・・・。そんな予感をさせて呉れる含みを感じる人柄でしたので、 環境次第では、解説者としてでは無く、凱旋もという期待を持たせて頂きました。 私は、実践将棋といえばVS Computerのみですが、対戦者の性格を含んだ指し手を、私も経験しながら指し、負けてあげながら成長対応能力をあげて行けそうです。 会話の苦手な東北人ですから。    永遠の6級ですが、時間の関係も有ります。 私は、女性の本でこれから生きていくと決めていましたが、 人生色々とあるもので、そんな中、時々振り返れる時間は、これからの人生の指標となり、ブレない、そして、対応の難しさの、いや、カンタンな答えの中のヒントからの経験を楽しむ会話指しの中に、この本からも答えが見つかる不思議な文字を通して対話してみても良いのではと考えます。

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さんの書評2024/09/232いいね!

利他が宿るとき。

利他的な在り方を考えるとき、その主体や行為に目を向けがちだけど利他は受け取ることができて初めて起動するもの。加えてそれは「あとからやってくる」。常に自分を超えたものとして存在している。じゃあどうすれば…となるけれど、この無力感に立つことが大事なのだと思う。 今私がここにいることは、あたりまえのことではない。地面が支えてくれるから、私はそこに立つことができる。無数の偶然が重なり合った縁起の中で私は生じている。己のどうしもようない無力さに目を向けることは、常に受け取り手であった自分に「気づく」ことであり、そこに利他が宿るのだと思う。 この行いがその人のためになるかどうかはわからない。むしろ、自分のためにしているのかもしれない。そのようにわきまえることは、少なくとも「○○してあげた」という奢りから私を解放してくれる。そして、何もできないからこその「祈り」へと導いてくれる予感がする。心の中に大事に留めおきたい。

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さんの書評2024/09/121いいね!

目次

PART1 目には見えない問題を見抜くための扉 ~問題解決の「引き金」をどう引くのか? CHAPTER1 見えない問題とは何かをつかむ CHAPTER2 洞察力を導く5つの認識パターン CHAPTER3 出来事のつながりから見抜く方法 CHAPTER4 偶然の一致と好奇心から見抜く方法 CHAPTER5 出来事の矛盾から見抜く方法 CHAPTER6 絶望的な状況における、やけっぱちな推測による方法 CHAPTER7 「見えない問題を見抜く」ための別の方法 CHAPTER8 問題発見への3つのプロセス PART2 見えない問題を見抜くための「心の扉」を開ける ~私たちを邪魔するものの正体は何か?~ CHAPTER9  自信を持って誤る偽りの発見 CHAPTER10 問題を見抜く人、見抜けない人 CHAPTER11 厳格なITシステムが直感を鈍らせる CHAPTER12 組織は「見えない問題を見抜く力」をどのように抑圧しているのか? CHAPTER13 結局、人が問題を見抜けないのはなぜなのか? PART3 目には見えない問題を見抜く「心の扉」を開け放つ ~問題解決法を身につけることができるのか? CHAPTER14 「見えない問題を見抜く力」は自分自身を救う CHAPTER15 「見えない問題を見抜く力」は人を救う CHAPTER16 「見えない問題を見抜く力」は組織を救う CHAPTER17 見えない本質を見抜く人になるためのヒント CHAPTER18 「見えない問題を見抜く力」という魔法

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さんの書評2024/09/071いいね!

ポジティブなぼんくら男  大丈夫なのか? 宮路

主人公の宮路。29歳で無職。自称(?)ミュージシャンだがギターも歌もずば抜けて上手いわけではない。しかし親から毎月20万円の仕送りを受けていて生活には困らないので、本気で音楽で食っていこうという気持ちも仕事に就こうという気力もない。大丈夫なのか? この男。 会話の口調は妙に上から目線で、自分勝手な言い分をずけずけ言う。大丈夫なのか?宮路。 しかし老人ホームで無理やり頼まれた買い物の品選びには、やたらと手間暇かけて、当人の好みに合いそうなものをあれこれ悩んでチョイスしたり、面白い本を、と頼まれれば、10冊もの本をまずは自分で読んでから渡す本を決めたり、自分は未経験のウクレレを教えてくれと頼まれたらわざわざウクレレを買って練習してまで教えたり、意外といいところあるではないか宮路。さんざんこきおろされていた水木のばあちゃんの最期の手紙に背中を押されて、人生の時計を前に進めることを決意したはいいが、手あたり次第の求職活動は面接で38連敗。さぞかし世間の荒波と自分の甘さを思い知らされていると思いきや、なぜか妙にポジティブな宮路。 やはり大丈夫なのか? この男!?

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さんの書評2024/08/28

小学校だか中学校高で読んだ漫画。

小学校だか中学校高で読んだ漫画。 30年以上ぶりに読んだかも・・・ おぼろげだった内容を再確認。昔泣いたところではまた泣けました。 早く次が読みたい。 お母さんは当時流行っていた中村紘子さんなのかなぁと思ってみていました。 ピアニストなんて特別な存在でしたが、漫画で読むことでその世界を少し身近に関ることができました。 きしんちゃんのお母さんに対して「え~」と当時は驚き、そこは読み直しても「そうそう、そうだった」と覚えていたから、当時よほど衝撃をうけたんだろうな、と思いました。 怨念?あの優し気なお母さんがそんなだったなんて、と読み返して忘れていた部分をまた記憶に刻みました。 残念なことに、文庫本が小さくなり、漫画の文字が読みづらくなりました・・・ でも紙で読みたいから何とかして文字をたどりました。 ペンの勢い、書かれていた時の息遣いが聞こえてきそうです。 実際のピアノの音が聞きたい。 麻子、きしんちゃん、上邑先輩、さらに松苗先生の優しい音?が聞いてみたい。

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さんの書評2024/08/282いいね!

昔の神々ってアメーバー ⁉

古事記って、因幡の白兎とか海彦・山彦などの有名なエピソードくらいしか知らなくて、通して読んだことはなかったのだけど、物語性のあるお話はところどころに挿話的にあるだけで、あとはひたすら神々や古代天皇の系譜が書き連ねられているのだね。 昔の神々って、体の一部や排出物から次々に子が生まれて、まるで細胞分裂で増殖するアメーバーみたいではないか! 行動も極めて乱暴で、戦を仕掛け、狼藉を働き、殺しを繰り返す。なんとも非道な存在である。 神武天皇以下の天皇の系譜ではさすがにアメーバーから人間に近くなっていくが、一夫多妻制の下、次々と子をなして増殖して、殺し合いを繰り返すというのは同様である。 最後のところは連綿と続く人の名の羅列を惰性で読み流していく感じ。原著者の太安万侶もなんとなく惰性で書き連ねた感じで、最後は唐突に終わった。 池澤氏の序文によると、古事記は天皇家の権威を神話として補強するためのツールとして、持統天皇の命のもとに編纂された極めて政治的な書物だとの解釈。これだけの系譜を調べ上げて書き残すのは当時としては大変な労苦であったろうことは察せられる。そんなもんで最後は安万侶さんも飽きてきてしまったんだろうか? いやはやご苦労様。読んでいる方もちょっと苦行的な読書になってしまった。

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