さんの書評2024/12/16

夢で喧嘩をして現実に足で壁を蹴飛ばすのは結構深刻な病気かも?

70ほどの睡眠にまつわるトピックについて、一問一答形式で最新学説から解説を加えたもの。 動物にとって睡眠とは何かといった生理学、脳科学的論点から、どうすれば快適な睡眠を得られるかといった日常的ハウツーまで、話題が幅広いのが特徴である。 個人的にヒットしたのは、睡眠の機能・役割を飲食店の営業に例えた下り。 営業中にはできないこと、店内の掃除やレジ締め、仕入れ・仕込みといった、翌日の営業に向けた準備を行うのが睡眠だ、ということらしい。 営業時間が長くなりすぎる(=睡眠不足)と、厨房に残飯や洗い物が溢れたり、お釣りや食材がなくなったりして、営業が続けられない。それで営業時間が決まっていて、時間がくると店を閉める。これが体内時計による睡眠のリズムに相当する。 それでも忘年会シーズンなど繁忙期はどうしても営業時間が長めになる。そうするとやはり店内が汚れたり、食材がなくなったりして、営業継続が難しくなる。これが睡眠負債の増加による睡眠圧の上昇。自然と眠くて眠くて仕方なくなる状態に相当する。 またレジ締めや予約管理、食材の在庫量など管理的側面も必須で、これを長い時間やらずにいると、いずれしっちゃかめっちゃかになって営業自体が崩壊する。これが睡眠中のシナプスのリフレッシュ=記憶の取捨選択に相当する。 上手なたとえ話は、理解の枠組みを作るのにとても助けになるが、これでわたしは睡眠の機能、役割がストンと腑に落ちた。 もうひとつは、レム睡眠行動障害。 夢で喧嘩をして、現実に足で壁を蹴飛ばすと言うようなことがままあるが、これは脳幹に何らかの異常があると言うことらしい。本来、夢を見ているときは、運動神経を麻痺させているので、こういう事は起こらないはず。パーキンソン病やレヴィー小体型認知症の恐れもあるので、専門医の診察を受けろとあった。単なる寝ぼけではなかったことがわかり、ちょっとショックを受けている。 が、まずは読んでよかった。

この書評がいいと思ったら、押そう! » いいね!

共有する: