mznjnj2011

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田主丸中央バス停の真裏に生息する、有料自習室の管理人。

@mznjnj

本が好きです
2 レシピ

さんの書評2015/04/05

松陰の魂が乗り移ったような「見る思想書」

初めて吉田松陰について読んだ。学校の教科書でその名は知っていたし、断片的な知識はあった。ただ、それ以上の関心は今まで持てず、大河ドラマも観ていない。それにもかかわらず読んでみようと思ったのは図書館で偶然出会ったからだ。単なる解説本だったならば、パラパラと眺めて元の場所に戻しただろう。しかし、この本は違った。「見る思想書」なのだ。イラストだらけの思想書。しかも、そのイラストがどぎつい。一水会の鈴木邦男氏も解説で書いているが、イラストが「自己主張」している。筆者の文章の「補助」や「説明」を超えて、過激で独創的なのだ。このイラストのインパクトがなかったら、最後まで読み通せなかったかもしれない。この本は「FOR BEGINNERS」シリーズの一つである。学ぶことにまだ迷いがある初学者には、向こうから食らいついてくるような魅力的な本や先生が必要だということを実感した。二十九歳でその生涯を閉じ(られ)た松陰の魂が、著者とイラストレイターに乗り移ったような本だった。

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さんの書評2015/04/01

カルチャーショックを受けるウィーン体験記

本を読んでこれほどのカルチャーショックを受けたのは初めてだ。自己弁護と他者批判、自己主張が空気のように存在している国。真理より権利をひたすら追求する人々。相対的なはずの習慣の、絶対的な存在感。お国柄が違うのは承知の上だが、オーストリア人は我々と同じ人間なのか、とつい思ってしまった。「ヨーロッパ精神との格闘」を繰り広げながら、出来る限り対等であろうとした著者の姿勢には頭が下がる。オーストリアで彼らに振りかざされた著者の「拳」は、そのまま西洋かぶれの日本人に振り落とされる。そこに著者のバランス感覚が感じられた。著者が日々感じていたのは、西洋人であることの優越感と、その裏返しとしての非西洋人への差別意識だ。確かに、本の舞台は1984年以前のウィーンの話である。今とはずいぶん事情が違うであろう。しかし、それらの感情や意識は過去に確実に存在し、今なお精神の奥底には存在していると考えるべきであろう。『続ウィーン愛憎』へ続く

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