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さんの書評2021/10/08

江戸時代の水辺の生物利用(特に水草・藻)の実態は?

この本で言う「外来植物」は有史以来日本にもたらされた栽培植物/商品植物であることに注意。木綿の原料であるワタ・絹生産のためのクワ・サツマイモ・サトウキビなどのこと。 セイタカアワダチソウのような逸出してはびこっているもののことではない。そこに違和感。 歴史の教科書では室町時代以前の草敷から干鰯など金肥への流れが江戸時代の商品作物の生産性を高めたと習った気がするが、この本では江戸時代どころか戦前まで、日本各地の水辺(琵琶湖・八郎潟・浜名湖・瀬戸内海など)の抽水植物(アシなど)や沈水植物(コアマモなど)を刈り取り、貝類を採集して稲や稲以外の植物の肥料として、もしくは食用に利用していたこと、そうすることで人間活動で大量に排出された栄養塩の回収にもなっていたことなどを、古文書や統計資料から立証していく。 従来の民俗学的アプローチである聞き取り調査では遡れない百年以上前、江戸時代の水辺環境の利用の仕組みを明らかにした点が出色。 奄美大島の歴史について無知だったのでサトウキビ栽培や島の経済が統制されて大変厳しい生活を送っていたことなど知れた点もよかった。

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