学生時代に旧図書館(現さばえNPOセンター)を利用させていただいていました。専らfacebookの方を使っています。twitterもmixiも時々使っています。
@NaoNogami合計スタンプポイント:300pt
ボーナスポイント
5館目記念ポイント 5pt x 2
2日連続ポイント 3pt x 1
写真ポイント 30pt x 8
初スタンプポイント 35pt x 1
2007年の春、『白夜行』を読んだことが、私の東野圭吾作品を巡る長い旅の始まりでした。当時は転職活動中で比較的時間に余裕があったこともあり、『幻夜』『秘密』『手紙』……と、映像化された作品を中心に次々と読み漁りました。気がつけば、東野圭吾作品全106作のうち半数以上を読破していました。直近では、ガリレオシリーズの『透明な螺旋』(2023年11月読了)で描かれた湯川学のエピソードに深く心を揺さぶられ、ガリレオの次回作を心待ちにしていました。 しかし―――2026年7月23日、東野圭吾先生が大腸がんのため急逝されたという、あまりにも突然の訃報が届きました。本作『永遠の記憶』は、そのわずか13日後、8月5日に刊行された106作目にして、結果的に東野圭吾先生最後の作品となってしまいました。 発売日当日、34℃の炎天下を汗だくになりながら自転車で走り、アル・プラザ内の書店へ直行しました。購入後、1階のスーパーのセルフレジが見渡せるマクドナルドへ入り、ホットコーヒーを片手にページを開きました。すると、目の前に広がる現実の風景と作品冒頭の描写が不思議なほど完璧に重なり合い、一瞬にして物語の世界へ引き込まれました。その圧倒的な臨場感のまま読み進め、帰宅後はほとんど一気に読破してしまいました。 レビューを書くまで時間がかかってしまったのは、深い悲しみの中で、自分の気持ちをどのような言葉にすればよいのか、なかなか見つけられなかったからです。 本作は、東野圭吾作品を初めて読む「東野ビギナー」でも、単体のミステリーとして十分に楽しめる作品だと思います。しかし、ガリレオシリーズを長年追いかけてきた私たち「常連客」にとっては、感じられる物語の奥行きがまるで違ってくるはずです。湯川学、草薙俊平、内海薫。そして、これまでシリーズに登場してきた人物たちとの記憶やエピソードが静かに呼び起こされ、その積み重ねの先に、一つの謎が解き明かされます。読後、真っ先に湧き上がった感情は、作品への評価以前に、「東野圭吾先生、本当にありがとうございました」という感謝の言葉でした。 率直に言えば、本作は東野圭吾作品全106作の中で「最高傑作」と評価されるタイプの作品ではないかもしれません。訃報を受けて私自身が選んだ「マイ・ベスト・東野圭吾」のトップ10にも入りませんでした。しかし、それは本作の価値を少しも損なうものではありません。むしろ、それだけ東野圭吾という作家が、これまで私たちに数え切れないほどの傑作を送り出してくれたということなのだと思います。そして本作には、作品そのものの完成度とは別の、特別な意味があります。結果的に最後の長編小説となったこの『永遠の記憶』は、東野圭吾作品を長年読み続けてきたファンにとって、突然訪れた大きな喪失感を少しだけ和らげてくれる一冊でもあります。 当レビューを書くにあたり、シリーズ第1作『探偵ガリレオ』を図書館で読み返してみました。初期のガリレオシリーズは、「物理・化学とミステリーの融合」という色彩が強く、まさに理系ミステリーの象徴ともいえる作品でした。しかしシリーズを重ねるにつれ、『容疑者Xの献身』の直木賞受賞、福山雅治氏主演による連続ドラマや映画化などを経て、ガリレオシリーズは少しずつ変化していきます。もちろん科学的な視点や論理的な謎解きはシリーズの大きな魅力であり続けています。しかし同時に、物語の重心は次第に「科学的な謎解き」だけではなく、「湯川学と、その周囲の人々が織りなす人間ドラマ」へと広がっていったように感じます。そして本作『永遠の記憶』もまた、その流れの先にある作品なのだと思います。 難解な物理・化学トリックを前面に押し出す作品ではありません。しかし、長年シリーズを読んできた読者だからこそ感じられる人物たちの距離感や積み重ね、そして湯川学を中心とした人間味が丁寧に描かれています。まさに、ガリレオシリーズを長く追いかけてきた読者への、最後の「実に面白い」事件簿でした。 これ以上、物語の核心に触れるのは無粋でしょう。ただひとつだけ、確信をもって言えることがあります。 東野圭吾ファン、そしてガリレオシリーズの読者なら、必ず読んでほしい一冊です。 幸せなことなのかどうかは判りませんが私にはまだ未読の作品があるので、2007年の春から始まった私の東野圭吾作品を巡る旅はまだ終わってはいません。ただ、ガリレオシリーズにとっては、ひとつの大きな区切りとなる作品です。湯川学たちと過ごしてきた長い時間を振り返りながら、最後のページを閉じたあと、私は静かにこう呟きました。 「東野圭吾先生、長い間、私たちを楽しませてくれて、本当にありがとうございました。」 そして私はこれからも、残された作品を一冊ずつ読み進めていきたいと思います。
この書評がいいと思ったら、押そう! » いいね!
中身は素晴らしく強力にお勧めできる本なのですが、一点だけ文句をつけるとしたら日本版の本の題名です。日本版は「デマの影響力」ですが、原題は「THE HYPE MACHINE How Social Media Disrupts Our Elections, Our Economy, and Our Health- and How We Must Adapt」です。 題名だけに惹かれて「デマの影響力」を知りたい人はがっかりするかもしれません。読み方のヒントになるかどうかわかりませんが、読み始める前にまず119頁の[図3-3]ハイプ・マシンの三要素の図を頭に入れておくと、この本の中で頻繁に取り上げられるハイプ・マシンに関してイメージが出来やすいと思います。 内容に関してはネタバレになりそうなので詳細に書くことは控えますが、筆者のシナン・アラル氏はMITの教授でありながら、facebook等のSNSメディアとの研究を通じて分かったことや、日本人にも身近な事例「アメリカ大統領選挙」「クリミヤ侵攻」等日本人にも馴染みの深い事例を用いて説明してくれるので、分かりやすくかつ説得力があります。加えて翻訳本にしては読みやすいので、帯に書かれている言葉を使うと、ビジネス書なのに『スパイ小説のようでもありサイエンス・スリラーのよう』でもあります。 筆者はSNSの様々な問題点や大衆に与える強大な影響力、可能性や危険性の両面を挙げながら、最終の第12章で「より良いハイプ・マシンを作る」ためにはどのようにすべきかという結論を書いています。私もこの結論には納得し、共感もしました。しかし、この本が出版された後にも、SNSやそれを取り巻くデジタル環境は常に変化し続けています。twitter社はこの本の中でも登場するイーロン・マスク氏に買収されジャック・ドーシー時代のtwitterとは大きく変わる可能性がありますし、ChatGPTやBing AIのような対話型AIも出現し、それらの利用を通じて大衆の意思決定のみならず生活全般が影響を受ける可能性もあります。私たちは、この本が提供してくれた知識や洞察を活かして、自分自身のメディア・リテラシーを高め、デジタル社会の市民として責任ある行動をとる必要があります。 今後もデジタル環境が広がり続けていく時代の中で、この本はまさに今読むべき本だとお勧めします。ソーシャル・メディアの仕組みや影響力を理解し、ハイプ・マシンがより良い方向に活用をされるためのヒントや方向性を得ることができます。
この書評がいいと思ったら、押そう! » いいね!
東野圭吾作品、特にガリレオシリーズは映像化作品(映画)を見る前に読むことをお勧めします。 この秋(2022年9月16日[金])に公開される同名映画の原作。映像化されてしまうとどうしてもキャストに引っ張られてしまうので、映画を観る前に小説を読むことを強くお勧めします。それと、もし「容疑者Xの献身」の読まれてないのであれば、先に読んでおくと話がつながる箇所が一部あります(読んでなくても、問題ありません)。 これから読む、もしくは映画を見る方のために内容は一切書かないつもりですが、ガリレオシリーズを読まれている方には、今までの湯川とは違う一面(容疑者Xの献身は登場人物が大学の同期なので他のガリレオシリーズと違うのが当たり前)が見られます。 アメリカから戻ったことを内海には連絡していて草薙には連絡していない湯川が四年ぶりに再開。そこで草薙から「座礁した捜査」の話を聞いた湯川は、自ら行動に出ます。目的は物語の最後に書いてあるので伏せますが、海外赴任から戻り教授に昇進した湯川に少し変化が見られます。この点は好感がもてました。 今度のガリレオシリーズ(の長編作品)も期待です。
この書評がいいと思ったら、押そう! » いいね!
既に映像化(ガリレオ2)されている4作品の原作。私は既に湯川=福山雅治氏のイメージが形成されてしまっているので、本当は映像化前に原作を読みたかったです。 先にTV版を視聴したので話のスジは知っているとはいえ、小説も十分楽しめました。特に第四章 演技る(えんじる)は、原作を基本にしながら蒼井優さん演じる神原敦子のクセが強烈で、小説版よりTV版の方が良かったかもしれません(個人の感想)。 第一章 幻惑す(まどわす)も、連崎至光役の大沢たかお氏のイメージが拭いきれませんでしたが、これはTV版よりも小説版の方が楽しめました。2022年夏に「統一教会問題」再び話題になっている宗教法人の問題。原作が書かれた2011年、東野圭吾氏がどの宗教団体をイメージして当作品を書いたのかはわかりませんが、今読んでも胡散臭い宗教のトリックを暴くシーンが痛快でした。 東野圭吾作品のシリーズもの(湯川、加賀)は、映像化される前に読むことをお勧めします。
この書評がいいと思ったら、押そう! » いいね!
これまでガリレオシリーズを読み続けてきた人は、ガリレオ次回作が発表される前には絶対に読んでおくべき本です。ガリレオ前作「沈黙のパレード」は映画化きっかけで読みましたが、今回はなんの事前情報もなく読んでみました。読んで大正解でした。 (小説の内容に関しては、書き込まないことにします。) 物語の序盤は湯川先生は出てこないし、出てきたと思ったらここまでの伏線が次々と回収されてすんなり事件が解決しそうな雰囲気で、ページ数もかなり残っているのでどのような展開になるのかと思ったら、私には全く想定外でした。 「沈黙のパレード」等は、読み飛ばしてもガリレオシリーズの物語の流れには大きな影響はないかも知れませんが、この本は必読の本です。早くもガリレオの次回作が楽しみです。