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闘病記図書館「パラメディカ」の蔵書を紹介しています。

さんの書評2018/11/13

[痛いのは嫌だけど死ぬのは怖くない]

[痛いのは嫌だけど死ぬのは怖くない] この本は、絵本『100万回生きたねこ ※』の作者が綴ったエッセイである。 68歳で乳がんになった佐野さんは、2年後に左大腿骨に転移して余命2年の宣告を受ける。 ところが、『死ぬ気まんまん』というタイトルをつけた佐野さんならでは、やらかすことが私たちの想像を超えている。 宣告を受けた日、病院帰りに初めて外車"ジャガー"を買ってしまう。そして、自分で運転して病院に通えば、気兼ねなくタバコが吸えるし、タクシー代も節約できると喜ぶ。 ガン患者が書いたものでありながら、ガン患者の日常のつれづれが重苦しくならずに読める。家族のこと、ちょっと変わった友人のこと、主治医とのやり取り、ミーハーな自分のことなどが佐野さん独自の視点で語られてゆく。 余命2年の宣告を受けたのでお金は要らなくなると思い、治療費、終末介護代、墓やお寺を決めた後は、ジャンジャンお金を使った。ところが、2年過ぎても生きているので、主治医に「お金なくなちゃった」と言ったら、「困ったねぇ」と言われ、先生がかわいそうになったので「元気ですから仕事します」と言ってしまうところなどつい笑ってしまう。 ジュリーの話、『踊る大捜査線』の柳葉敏郎の話、寝転がって『相棒』を見ていることの幸せの話等々。 あと2年の命と伝え優しくしてくれていた友人達が、まだ死なないと知ったらあれ?と思う行動に出てしまったり。笑っちゃいけないけど、可笑しい。 佐野さんだからできること、言えることも多いとは思うが楽しませてもらえる。 痛いのは嫌だけど死ぬのは怖くないという佐野さんの原点は、幼少期に身近で起きた人の死にあるのだろう。1932年に北京で生まれ、9歳の時に日本に引き揚げた。7人兄弟妹だったが、10歳迄に3人の兄弟を亡くしている。また、戦中戦後の混乱期も経験。命ある者「生は必ず死で収束する」という動かせない事実を受け容れ、自分の死生観を形作ってこられたのかもしれない。 また、この時70歳という年齢も関係している。エッセイの後半では死に伴う喪失感や悲しみも十分に知った人であることがわかる。 生活の全てがガンに取り込まれたりせぬよう、時にはこんな本も良いのではないかと思う。 本書にはこのエッセイの他に主治医との対談、「知らなかったと」いうエッセイ、関川夏央氏の佐野さんとの思い出話が収められている。 ※『100万回生きたねこ』は出版以来、200万部以上発行され多くのひとに愛されている。 #パラメディカ #乳がん #女性のがん http://www.my-cancer.net/cafe/book/bs_045.html

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さんの書評2018/11/13

[医学の進歩を信じて諦めない、健やかながん患者]

[医学の進歩を信じて諦めない、健やかながん患者] 子宮頸がんの闘病記、著者は漫画家の赤星たみこさんです。国立がん研究センターがん情報サービスによると子宮頸がんの罹患率は20代から増加。検診で早期発見ができれば、進行する前に子宮の温存が可能になる場合も多く、20歳から2年に1回の細胞診の検診が勧められています。赤星さんの場合、40歳でがんが発見される迄、検診を一度も受けたことがなく、子宮頸がんは、子宮にできたポリープの細胞診で偶然見つかりました。 ステージは1a。子宮全摘手術となりました。この本では、子宮がん判明から、検査、入院、手術、闘病、退院に至るまでの体験を順を追って、所々に漫画を入れながら書かれています。 また、本の中で語られる赤星さんのメッセージが、子宮頸がんに対する不安を和らげてくれます。 <正しい知識があれば、それほど取り乱さなくて済む> <検診でがんが発見されたら、ラッキー!早く見つかって良かった> <元気ながん患者に会う> <元気は出すもの!>などなど。 中でも、<医学の進歩を信じて諦めない、健やかながん患者> という言葉は、乳がん患者だった実姉の前向きな姿勢を見つめた赤星さんの思いです。 そして、赤星さん自身も健やかながん患者を目指し、現在も元気に活躍中です。 誰が読んでもわかりやすいので、「女性のための子宮頸がんガイドブック」の一冊として参考になると思います。#パラメディカ #女性のがん #子宮頸がん https://calil.jp/review/4594029973/5801210213302272

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