さんの書評2019/05/03

【感想】 中村桂子氏の書評が書名にけちをつけていたのは、編集者の学識に

【感想】 中村桂子氏の書評が書名にけちをつけていたのは、編集者の学識に
 深さを感じなかったということであろう。
 本書で百回も繰り返される「ホメオスタシス」が感情の原初を作ったという説だけを
 紹介しながら、それも評者には意外でもなんでもないと。
  いちゃもんを付ければきりがないが、知性よりも感情に焦点を当てる重要性を訴える点は共感できる。
  これからの30年間にロボットは感情を持つようになる。工業生産用ロボットで金を稼ぐ飽和点は見えてきた。
  事務用AIロボットで人件費削減する方向性は確立しているようだが、雇用削減の抵抗力で当然、限界はあろう。
 介護現場でもとめられるのは単に労力だけでなく、対話を続けることで、認知症患者のQOLを上げる感情生活を
  支えるロボットがもとめられよう。
 知力が中枢神経の電気信号で支えられるのにくらべ、感情は腸内神経も関与するが、ホルモン分泌も重要な役割をはたす。
  従って時間遅れ系の制御システムでシミュレートする必要がある。正しいモデルがそもそも存在しない感情面での調整は難航しそうだ。
  官庁大企業など縦型社会の常套句に「そう感情的になるな!」というのがあって、ほとんどの成人は感情を抑制すべき対象と認識している。
 恋に憧れ、ほとばしる食欲に翻弄されたロマンティックな年代を超えれば、感情を捨てるべきものと認識している人は多い。
  だが、本書を論拠にすれば、感情とは感知力と瞬時の矯正動作だとわかる。抑制して溜めにためた末の暴発しか議論の対象にしないから
 間違った結論になる。
  商店街で2~3歳の童子が泣き喚いていることがある。「ここでは静かにしなさい!」と叱りつける親が多い。感情を抑制する間違いはどこにあるのか?
 溜めにためた結果、暴発するものを抑制するのは愚だ。暴発する原子炉に蓋をしようとする東電社員はいないのが当然だ。
  爆発する前に、童子の行動に現れている不安や甘えに気づいて、タイミング良く抱き上げれば収まるのに、見てない、観察力の無い親が多すぎる。
 泣き癖が付くように育て、愛情不足、不満過多な幼児を育てている。「良い学校、良い会社」が良い人生に必要という縦型社会だけでは、感情の大切さがわからない。
本書の生硬な議論では現在の日本で一般受けしないのが残念だ。しかし数少ない感情支持派の議論だから、貴重な書籍であることは確かであり、
 深く斟酌して、自分なりの解釈を血肉にしておけば一世代の間には身の為になることは疑いない。
 

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