さんのコメント2022/04/05

1頁あたりの字数が多く、文体も硬いため、読みにくい。普通の新書ならば400頁ぐらいの文章にはなるだろう。編集段階で改良すべきだ。資料の引用が多く、余計に難解な内容となっているので、大学院生レベルでないと読めない。著者本人はまじめな人なのだろうが、法律の専門家でないため、日本国憲法が出来上がった過程など、自説を強引に強弁している。ときに煽情的とも言える叙述には閉口せざるを得ない。また、最大の問題点として書名と内容が対応していない。三島の憲法改正への認識はあまり言及しておらず、あくまでも三島の思想を起点として著者自身が思いついたことを語っているだけと言っていい。よって、『私の憲法観─三島由紀夫をヒントにして─』が正しいだろう。三島の思想について本気で学びたいならば、本書は役に立たない。もしも三島の憲法改正への意識に興味があるならば、村田春樹氏ら元楯の会会員の著作を手に取るべきだろう。

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