さんの書評2026/01/08

ガスライティングという支配、を読んで

ガスライティングという言葉に興味を持ち、この本を手に取ってみた。 この本は、ガスライティングの被害者が男性より女性の方が多いというデータに基づき、女性を対象としたガスライティング被害者向けにまとめられた一冊であった。内容は、ガスライティングの説明、その回復方法、前向きに人生を生きるための方法の三部構成となっている。回復方法と前向きに生きるための方法については、ガスライティングに限らず、他の原因(PTSD)に対する対処法も紹介されていた。 本書で紹介されているガスライティングの説明は、事例を交えてわかりやすく解説されており、最初に一般化した説明を行い、その後に事例を示し、最後にまとめるという、理解しやすい構成で書かれていた点は評価できる。 ただし、個人的に一点疑問に感じたのは、男性より女性の方が圧倒的にガスライティングの被害者が多いと述べられているにもかかわらず、その根拠となる具体的なデータが示されていなかった点である。また、被害者の要因として性別が挙げられていたが、他の要因(民族など)についても検討してほしかったと感じた。 個人的な見解ではあるが、ガスライティングにおける相手を陥れる手法の一つである過度な一般化(「みんな〜だから」などのステレオタイプ)は、昭和期の日本企業におけるジョブローテーション制度に異議を唱えるスペシャリスト社員を抑え込むために人事部が用いてきた手法と共通している。そのため、日本人は男女を問わず、このステレオタイプに引っかかりやすく、ガスライティングの被害者になりやすい傾向があるとも言える。 この点については、エリン・メイヤー氏の『カルチャー・マップ』を用いて、より深く掘り下げてほしいと感じた。

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