さんの書評2022/02/24

『人生はゲームなのだろうか?』著者の平尾昌宏さんに きいてみる

『人生はゲームなのだろうか? ――<答えのなさそうな問題>に答える哲学』著者の平尾昌宏さんにお話をききました。 ききて・深水英一郎 ——本日はよろしくお願いします。早速ですが、この本はどのような本なのでしょうか? 【平尾さん】  タイトル通り、「人生はゲームか」を考えた本です。でも、安易に答えを披露するとか、「これが唯一の正解だ」と押しつけるというタイプの本ではなくて、この問題を自分たちで考えていくというスタンスをとっています。  私はふだん、大学や専門学校で哲学や倫理学を教えています。それらの授業のために「愛とか正義とか」や「哲学、する?」という本を書きました。それらの中で、例題として「人生はゲームか」をテーマにしました。  しかし、授業で実際のこれらの教材を使っていたところ、学生さんたちが予想以上に関心を持ってくれると同時に、私が予想したのとは違う考え方や反論を示してくれました。そこで、この問題を改めて本格的に取り上げてみようと思った次第です。 ——みなさん関心あるテーマだったということなんですね。  「なんだか生きづらい」というのが時代のキーワードになっています。そして、そこから脱出するためのスキルやノウハウは山ほど提供されています。「答え」を教えてくれる識者や論客も大勢います。それなのに状況を改善できるとはかぎらない。  そもそも、「生きづらさを解消するための手段がどこかで提供されている」と考えることが、錯覚なのかも知れません。だとすれば、むしろ希望は、自分で考えること、つまり<哲学する>ことにあることになります。  具体的なスキルやノウハウとは違って、ある意味では王道、だけど現代では地味に見えてしまう<哲学>ですが、哲学的にきちんと考えていけば、「人生はゲームか」といった、<答えのなさそうな問題>にも一定の解答が得られます。そればかりではなく、人生やゲーム、人生の中で起こるあれこれ(お金、教育、恋愛、宗教などなど)を巡ってあれこれの発見があることが分かります。 ——きちんと考えていくことで、答えがなさそうな問題にも解答が得られるということなんですね。読み通してみると、そこに至るまでのドラマが一冊の本になっているように感じます。この本全体は大きく4つのパートに分かれていますね。  前半のパート1では「人生はゲームか」、パート2では「改めてゲームとは何か」を扱っています。一方、後半のパート3では「人生はどんなものか」、パート4では人生内のあれこれ(宗教、お金、教育、恋愛)について考えるという構成です。  読者の関心によって面白く読めるところはばらけるでしょうが、考え方の基本について学びたい人にとってはパート1が役立つと思います。ゲームに特に関心があってちゃんと考えたい人にとっては、パート2が面白いんじゃないかと思いますし、人生について考えたい人にとってはパート3が面白いだろうと思います。私としては、パート4が気に入っています。 ——もともとこの問題を考えるきっかけは漫画原作の映画「ガンツ」にあったそうですね。そこから大学での学生さんとの対話へ発展していった、とのことですが、このきっかけが面白いですし親しみが持てます。  この本の第2章を、筑摩書房の「webちくま」抜粋紹介していますので、ここを読んでいただければ、本書の意図や方法がよく伝わると思います。 <答えのなさそうな問題>の答えの出し方 「人生はゲームなのだろうか?」より本文を一部公開 https://webchikuma.jp/articles/-/2703 ——やっ、一部読めるのはありがたいですね。語り口はやわらかいですし、平尾さんがうまく交通整理をしながら話を進めてくださっているので、すんなり理解しながら読みすすめることができました。平尾さんは考えを深め哲学をするには地道にやるしかないと冒頭おっしゃっていましたが、こういう風に案内していただけるなら楽しいものだなと思いました。今後執筆したいテーマなどはありますか?  まだ漠然とした計画ですが、今回と同じように、「哲学、する?」や「ふだんづかいの倫理学」で取り上げて反響の大きかった問題について、改めてまとめてみたいと思っています。  代表的なものとして、「お金持ちになりたいか、幸せになりたいか、どちらかを選ぶとしたら?」という練習問題などを考えています。 ——身の回りの答えがなかなか出ない問題って、断片的にはネットでみかけたりもしますが、こうやってまとまって考える機会はあまりなかったように思います。こうやって一緒に考えられる本の存在は嬉しいです。  ほかに、ほぼ完成していて、今は手直ししている本があります。ヨーロッパの哲学者たちが自分たちの言葉を哲学してきたように、我々も日本語を素材として哲学できるのではないか、という試みです。 ——楽しみにしています。本日はありがとうございました! (了)

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