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さんの書評2021/09/16

大学時代、全集なるものを手に取ってみようと本棚に並んだ。食い意地の張った私が目に

大学時代、全集なるものを手に取ってみようと本棚に並んだ。食い意地の張った私が目についたのがこれだ。食い物が主題のものもあれば、狂言回しに徹しているなどいいバランスで収録されている。何よりも、収録作品が近代であることもあって、出てくる料理がシブい。それで、飽食の時代に生まれた自分には粋で胃に重くなさそうでどれもうまそうに見える。 大学センター試験問題で触れた覚えのある「茶粥の記」は社会人になった今読んでも名作だ。戦時下にありながらも想像力豊かな食通「良人」の思い出。主人公は、冗談を言いながら茶粥を囲んでいる光景を思い出し、読んでいてしんみりとなる。スタインベックの「朝めし」は主人公がベーコンとトースト、コーヒーをごちそうになった話。労働者たちの食卓は素朴だが、振る舞ってくれた家族の清らかさが印象に残った。コロナ禍の中、会食とは人間が生きていく力になる文化なのだなと改めて思った。おいしい物語をこれからも探していきたい。

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