さんの書評2019/04/07

破天荒フェニックス オンデーズ再生物語  田中 修治(著)

破天荒フェニックス オンデーズ再生物語  田中 修治(著)

この本はメガネチェーン店「オンデーズ」の再生を基にしたフィクションである。
失礼ながら、東京に住んでいながらオンデーズは見たこともなく、快進撃が日常生活の裏で起こっていたとは知りませんでした。
その内容はまさに山あり谷あり
軌道に乗れば、すぐに資金ショートが降りかかる。
それももともと創業者が残した負の遺産のため、勝負のためのリソースがいつも困窮してしまう。
もともと会社におけるリソースは「ヒト・モノ・金・情報」と言われるほど事業の根幹をなしている金がどうしても足りない。
しかし、ヒトはある。
あとは人を動かす能力だけで、会社を復活させるその手腕は読んでいて非常に痛快であり、最後にはまんまとこの会社のファンとなる。
しかし、この本の著者田中修治さんはこれが初めての執筆なのだろうか?
話の流れや行間のまとめ方、言葉のチョイスが素晴らしい。
重厚な言葉を並べるよりも本質を考えている。
自分はどのような内容をどのように人に届けたいのか?とことん突き詰めている。
まさに経営者と言うより、人としての能力のが非常に高い文章である。
椅子に座って指示を出す経営者ではなく、人の近くに立ち、その人のサポートを行うことを命題にしているような生き方である。

その部分が一番、滲み出ていると感じた東日本大震災の部分を抜粋する。

オンデーズを買収してからの僕は、メガネをビジネスのための一つの道具としてとらえていた。
お客様に選ばれ、ライバル企業に打ち勝つにはどうしたらいいか?ただそればかりを考えていた。話題性や、ファッション性ばかりに目をやり、他社の追随を許さぬ低価格を実現して事業展開をすればよい。企業を大きくして利益を出せばよい。それが経営者としての一番大切な仕事であって使命だ。そう考えていた。
しかし、この避難所でのボランティア活動を通じて、メガネ屋にとっては、専門家としての技術や知識を用いて、人々の視界を快適にしてあげることが何よりも一番重要なのだと、この時はっきりと気づかされたのだった。
 まさに頭に雷が落ちた。そんな表現がピッタリくるほどの衝撃だった。
 オンデーズがお客様に本当に売らなければいけないのは、安いメガネでもお洒落なメガネでもなく「メガネをかけて見えるようになった素晴らしい世界」だったのだ。
「メガネ屋として知識と技術の向上に対する意識の低さ」
これがオンデーズが抱えてていた問題の、最も大きな本質の一つだったのだろう。

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