さんの書評2016/03/143いいね!

イスラム教徒にとってのコーラン

教育を受けさせないとか、肌をみせてはいけないとか、とかく女性蔑視であったり、ジハードと叫ぶテロという印象が強く、宗教をよく知らない者にとっては、それが一般的なイスラム教に対するイメージだ。 著者は日本人の無宗教者と同じスタンスで、コーランの原点回帰を提唱するイスラム教の指導者とともにコーランを読み進めるのだが、驚いたことに、ほとんどのムスリムがその意味を解さないばかりか読むことも無いというのだ。様々な解釈が可能な全部を読み込んで理解するのは誰にとっても不可能に近いという。なんだか頭がこんがらがってくる。 マホメットが生きていた頃は、男女平等が基本であり、多くの女性宗教学者も存在したくさんの著書を残している。今のような女性蔑視的側面は、その地の慣習、社会や文化のありようがくっついて出来上がったもので、イスラム教とは一切関係ないことが明らかとなる。目からウロコとはこのことで、テロが起こるたび、女性が石打の刑に処されるたびに野蛮な宗教だと辟易していたのだが、要は男どもが自分たちの都合のいいように解釈していたわけだ。 本書を読めば、本来のイスラム教が持つ大いなる優しさに癒されること間違いない。

この書評がいいと思ったら、押そう! » いいね!

共有する: