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さんの書評2021/03/232いいね!

「顔ヨガ」は美容にいいのか、悪いのか。 たぶん、科学的に証明はできないが・・・

一般に信じられている美容法、たとえばスチーマー、コロコロローラー、顔ヨガなどを取り上げ、実は医学的・科学的根拠がないばかりか、かえって逆効果であるということを解説した本です。 ひとつのテーマについて2~3ページで簡潔に書かれていて、かつ字も大きいので読みやすいのがよいですね。 印象に残ったのは顔ヨガ。「表情筋はそうでなくても加齢で強くなるので、鍛えるとかえって皺・たるみが増える」というのが意外でした。 歳を取ると「鼻の下」が伸びてきますが、これは口輪筋が弱くなって重い唇を支えられなくなるからだと思っていました。なので「梅干し口」などの筋トレで口輪筋を鍛えると鼻の下が伸びるのを予防・改善できるんだろう、となんとなく当たり前のように信じていたのですが、どうもことはそう簡単ではないらしい。 筋と皮膚を繫いでいるのは「リガメント」という靱帯で、コラーゲンの一種だそうですが、これが加齢によってのびてしまう。古くなったパンツのゴムがのびるのと一緒なイメージでしょうか。だとすると、単純に筋を鍛えても無意味、ということになりますね。 そもそも、筋を鍛えるには最大筋力の75%以上の負荷をかけないといけませんが、顔ヨガでそれだけの負荷をかけるのは無理っぽい。それに今度は皺がくせになって戻らなくなるのが心配です。 一方で、筋は動かさなければどんどん硬くなる。骨折してひと月もギプスで固定すると歩けなくなるのと同じです。本書では「いちばんお肌にいいのは無表情」とありますが、それでは筋が硬くなって、たくさんある表情筋のバランスが変わり、へんなところに新しいたるみやしわができるような気がします。どんな筋も、適度に動かさなければ本来の柔軟さは保てません。 ヒアルロン酸やボトックスの注射など、美容医療は即効性があるので、効果のあるなしがわかりやすく、だからこその「医療」なのでしょう。が、たいていのセルフケア、美容的習慣は即効性がないので、効果のあるなしがわかりにくい。 美容に限らす、何年も何十年たたないと効果がわからない説は科学的に証明しにくい。そういう説はいかにそれっぽい理屈がついていても仮説、あるいは単なる物語です。そこに「騙されやすさ」が入り込む余地が出てくるんだと思います。 「顔ヨガ」は美容にいいのか、悪いのか。 たぶん、科学的に証明はできないでしょう。 その意味では、「顔ヨガは逆効果」説も、荒唐無稽なトンデモ説ではないにしろ、科学的にはあくまで仮説、著者の信じている「それっぽい物語」にすぎません。もちろん「顔ヨガが美容にいい」説も同様で、ただの物語です。 わたしは後者の物語をなんとなく信じていただけだ、ということに気づいたのがいちばんの収穫でした。 どんな物語を信じ、選び取っていくのか。それが大切ということですね。

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