本の世界にとっぷり浸りたい女子にオススメ
“タイムトラベルとラブストーリーは、相性がいい”とどこかで読んだことがあります。距離とか、身分とか、ラブストーリーにおいて恋する2人が対峙しなければならないものは多くありますが、なかでも時間・時代の違いというものは、なかなかの強敵であり、話を盛り上げる大事な要素となるということなのでしょう。加えて個人的には、タイムスリップ先が、優雅な暮らしがあった古き佳き時代であれば、いうことなし。この世界にいつまでも浸っていたい・・・そんな本を紹介します。
「時の旅人」
あらすじ:療養のため、サッカーズにある大伯母の農園に行くことになった少女ペネロピー。サッカーズの農園と屋敷は、何百年もの古い歴史がありました。見えないはずのものを見る不思議な力を持っていたペネロピーは、やがて、現代と300年前の世界とを行き来するようになります。過去の世界では、サッカーズの若き領主アントニーが、幽閉されているスコットランド女王メアリーを救い出そうと活動していました。ペネロピーは、未来を知るものとして彼の計画に巻き込まれるのですが・・・。
中学のときに読んで以来、大好きな本です。何種ものハーブが香る古い農園は、現在と過去が共存しているような場所。現代にいて、ふっと過去の幻を見るような場面が内容と相まって切なく、印象に残っています。見方によっては、ゴーストストーリーでもあるんじゃないかと思います。
次の本は、科学の力でタイムトラベルする話。
「犬は勘定に入れません―あるいは消えたヴィクトリア朝花瓶の謎」
あらすじ:タイムトラベルが可能となった近未来、戦争で焼失した大聖堂を復元するため、タイムトラベルを繰り返して資料を集めていたオックスフォードの学生ネッドは、ついに無理がたたって倒れてしまう。恐ろしいボスの目の届かないヴィクトリア朝時代で休暇を過ごすことになり、ふらふらな状態で送り出されたネッドだったが、本人の気づかないうちに重大な任務を任されていて・・・
この奇妙な題名に惹かれて手に取りました。内容は、怖すぎるボス、わがまますぎる美少女、完璧すぎる執事ら個性的な登場人物と小ネタがちりばめられたロマンチックコメディです。特に、人間たちをしりぞけて文庫版の表紙になっている2匹の活躍(悪女に草食系男子が振り回されているようにしか見えないけど)は、犬派も猫派も楽しめること間違いなし。ヴィクトリア朝で、ゆかいな休暇を過ごしてみませんか?
最後の本は、人ではなく、手紙がタイムスリップする話です。
「愛の手紙」(「ゲイルズバーグの春を愛す」所収)
あらすじ:古道具屋で買った時代物の机の引出に入っていたのは、80年前に生きた女性からの手紙だった。それを読んだぼくは、彼女に返事を書くが・・・
ぼくと女性の文通は、たった3回で終わります。時代のために自由に生きられなかった彼女が、最後に思いを伝えた方法とは?
私の好きな本ばかり並べたら、長くなってしまいました。ご覧になった方が、気になった本が1冊でもあれば、うれしいです。