紹介
▼流転する「短い17世紀」
イングランド・アイルランド・スコットランドの三国からなる複合君主国に対する希望と失望。混乱の渦にありながら形成されていくブリテン式の「国家形成」とは。そのプロセスとそこで花開いた文化の諸相を細緻に描く。
本書第7巻は、スコットランドの国王ジェームズ六世が、イングランド王国・アイルランド王国・ウェールズ公領の長として即位した1603年から、名誉革命がおこる1688年までの85年間を扱う。世紀の半ばに勃発する内戦、国王の処刑、王政復古、そして名誉革命 ――。このように万華鏡のごとく変転する時代を、私たちはどのように理解すればよいのか。
最新の研究方法とその成果から明らかにされる17世紀ブリテンの「国家」形成のプロセスとその統治。
イギリス史、ヨーロッパ近現代史を学ぶ読者に必携の書である。
目次
日本語版に寄せて(ポール・ラングフォード)
監修者序文(ポール・ラングフォード)
日本語版監修者序文(鶴島博和)
凡例
図版・地図・系図一覧
君主の表記について / ステュアート家の表記について / 暦について / 本書で取りあげられた図書について
序 論(ジェニー・ウァーモールド)
第一章 ブリテンの君主国とその統治、一六〇三~一六三七年
(キース・M・ブラウン)
王国継承の問題 / ブリテンの合同 / 外交政策 / 宮廷 / 議会 /
財政 / 地方統治 / 結論
第二章 三王国における教会と信仰、一六〇三~一六四一年
(ジョン・マカーフィティ)
ジェームズ一世 = 六世と三王国の宗教 / ローマ・カトリックの臣民
と教皇という反キリスト / 厳密化する国教信従、一六二五~一六三
七年 / 称揚される主教制 / 契約 / 本章で言及された人物一覧
第三章 聖者と兵士の支配 ―― ブリテン諸島における宗教戦争、一六三八~一六六〇年(ジョン・モリル)
序 / ブリテン式の玉突き現象 / 一六三七~一六四三年 / 出版物にお
けるさまざまな戦争 / 国制をめぐるさまざまな戦争 / さまざまな軍
事的戦争 / 戦争のさまざまな展開 / 国王弑逆とイングランド = ア
イルランド共和国の建国 / 国王弑逆への共和主義的反応 / 革命の結
果 / 結論
第四章 復古か刷新か ―― 王政復古期のブリテン
(トビー・バーナード)
三つの王国、一人の国王 / 赦しと復讐 / 人物、政策、原理 / 教
会 / 議会 / 地方 ―― 理想と理念 / ローマ・カトリック王 / 王
権 ―― 表象と実体
第五章 経済と社会(J・A・シャープ )
人口と生存 / 社会構造 / 都市部 / 商業と製造業 / 変化するエリ
ートの生活様式 / 社会問題と無秩序 / 生活の質
第六章 「オラだの国はなんだべな」 ―― 一七世紀ブリテン諸島の諸文化(クレア・マクマナス)
一七世紀初頭 ―― ステュアート群島の諸文化 / 戦争とその後 ――
一六四二年から六〇年までの文化とアイデンティティ / 王政復古 ――
民、文化、アイデンティティ / 結論 ―― 評価と受容 / 作家および本
章で言及されたその他の人物一覧
結 論(ジェニー・ウァーモールド)
史学史上の戦争 ―― イングラン ド/ 宗教、そしてスコットランド人
とアイルランド人 / 次なる嵐の前の静けさなのか / 一七世紀に愉し
みはあったのか / 一七世紀は説明され得たのか
訳注
文献案内
年表
地図
系図
索引