目次
まえがき――この本を手に取ってくださったあなたへ
序論 なぜ、いま、ダイバーシティなのか[清水展]
第Ⅰ部 気づく――現場への接近
1 はじまりはテイクノーツから[内藤順子]
2 戦略的「現場主義」を貫くために[西﨑伸子]
3 被災の記憶ある場所での学生フィールドワーク[飯嶋秀治]
コラム 現場主義の災害時外国人支援より――東日本大震災時の経験から[土井佳彦]
第Ⅱ部 臨む――いま地域でできること
4 まちづくりにダイブする――「プロトタイプ」をつくる方法としての現場グラフィー[早川公]
5 ジンルイガクのトリセツ――世界農業遺産が生まれる現場から[内藤直樹]
6 思いをつなぎ、人をつなげる文化遺産――地域遺産の可能性[俵木悟]
7 つながりをデザインする――コードのズレを生かし新しいモードを生成するまちづくり[森正美]
コラム 実践者と研究者が協働する「メタ現場」の展開――行政職員の裁量性への期待[平野隆之]
第Ⅲ部 仕掛ける――「ふつう」を解くには
8 リモート・フィールドワークのススメ――外国人技能実習生受入れ現場から[小國和子]
9 ミッション型活動がつなぐ「当事者」とアライ――LGBT活動の実践を省察しながら[砂川秀樹]
10 実務が変わる、人生観が変わる[堀江正伸]
コラム 「射真」という新概念[広瀬浩二郎]
補論 ダイバーシティ、その一歩先へ――多様性を語りうるのはだれか[亀井伸孝]
あとがき――「束ね」のない連帯を想起する[小國和子]
さくいん
執筆者一覧
前書きなど
序論 なぜ、いま、ダイバーシティなのか
本書は市町村役場などの職員が担当地域の諸問題に対応する際に、また企業やNGOのスタッフが社会活動をする際に、あるいは学校教員が学生や生徒の社会実習や地域活動を指導する際に役立つ、個別具体的な事例や情報を紹介します。手触りのある具体的な事例を取りあげながら、その分析と考察や内省をとおして、読者の皆さんがご自身の活動のための示唆や方向性を得られるよう心がけました。それを手がかりとして、皆さんがそれぞれの活動の場所で、幾つもの可能性を模索しながら多くの住民にとって居心地の良い地域社会を作ってゆくための一助となることを目的としています。
(…中略…)
本書は第Ⅰ部「気づく」が3章、第Ⅱ部「臨む」が4章、第Ⅲ部「仕掛ける」が3章、計10章と補論で構成されています。加えて各部に1本ずつ計3本のコラムが掲載されています。1章から10章へと順に読み進んでいただければ、現場での見聞、聞き書きという調査の手法とその困難さや可能性の説明から始まり、地域の現場への積極的なかかわり方についての著者自身の体験にもとづく事例の紹介と考察へ、さらには外国人実習生やLGBT、難民支援など自らかかわった具体的な現場への関与や実践の仕方へとおのずと導かれてゆきます。もちろん、順番にかかわらずに関心のあるトピックから読んでゆくのが入りやすいかもしれません。
(…後略…)