紹介
ある国の女王さまが、王子を結婚させ、国をまかせることを決心。さっそく世界中の国からお姫さまが呼ばれましたが、王子が恋に落ちたのは──。
王子さまとお姫さまの物語でなく、王子さまと王子さまが結ばれるお話があっていい──。
LGBT(レズビアン・ゲイ・バイセクシャル・トランスジェンダー)をテーマにした絵本です。
英語、ドイツ語、スペイン語、デンマーク語、チェコ語、ポーランド語など9言語に翻訳され、世界各国で読まれている、オランダ原作の『Koning & Koning』を日本語訳。
渋谷区同性パートナーシップ条例を皮切りに、LGBTへの関心が高まっているなか、日本にはLGBT関連の絵本は少ないのが現状です。
世の中には多様な性が存在することを、絵本で子どもたちに伝えたいという訳者からのメッセージ。
シンプルなストーリー、楽しい絵柄で、読み聞かせにもぜひ使ってもらいたい絵本です。
前書きなど
訳者あとがきより
子どもたちは、絵本を通してさまざまなことを学びます。その中には、恋に関するものもあります。これまでの絵本に描かれてきた恋は、お姫さまが王子さまと結ばれるという、異性愛を前提としたお話ばかりでした。しかし実際は、異性に恋をする人だけではありません。同性に恋をする人もいれば、恋をしない人もいます。この絵本『王さまと王さま』に登場する王子さまのように、ほかの王子さまと結ばれたり、また、お姫さま同士が結ばれたりするお話も必要です。[中略]
これまでは、異性を好きになるのがあたりまえとされ、それ以外の性的マイノリティの存在は忘れられがちでした。しかし、いつの時代にも、どの社会にも、どの学校にも、性的マイノリティはいます。そうした存在を無視することはできません。私たちは、子どもたちが幼い頃から性の多様性について学ぶことが大事だと考えています。[中略]
私たちは、『王さまと王さま』が多くの子どもたちに読まれることを願っています。この絵本を通して、性的マイノリティは特別な存在ではないこと、私たちの社会にあたりまえにいる存在であること、異性を好きになることと同じように、同性を好きになってもちっとも不思議ではないことを多くの子どもたちに知ってほしいと思っています。