紹介
本屋が息づくと、その街が息づく──
韓国各地に個性的な街の本屋が誕生し「本屋巡り」が定着するほど注目を集める一方で、日々どこかで本屋が店を閉じている。
長年にわたり韓国の出版業界を見つめてきた著者が、奮闘する街の本屋の姿を中心に「本の生態系」を描き話題となったノンフィクション。
日本語版には出版ジャーナリスト石橋毅史を「案内人」に迎え、解説やオリジナルエピソードも収録。
夏葉社代表 島田潤一郎による寄稿も巻末に収録。
|2022年6月4日 ハン・ミファ x 石橋毅史 オンライン対談開催!
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|刊行前に読みました
ゲラ版で読んでくださった日本各地の本屋さんから、次々と共感の声が届いています。
皆さんの感想はこちらから
目次
案内人あいさつ
第1章 街の本屋、ブームの始まり
第2章 誰が、なぜ、どうやって?
第3章 街の本屋はどんなところ?
第4章 本屋で食べていけるのか?
第5章 生死のカギを握る「供給率」と「納品」
第6章 避けられない話、図書定価制
第7章 小さな羽ばたきは始まっている
第8章 持続可能な明日に向かって
刊行前に読みました/三一文庫代表 キム・ギジュン
本書を取り巻く日々の風景
案内人より最後のコメント
同じ人たち/夏葉社代表 島田潤一郎
前書きなど
こんにちは。本書の案内人をつとめる石橋毅史です。
2020年8月に韓国で刊行された、ハン・ミファ著『街の本屋の生存探究』が、日本語でも読めることになりました。近年の韓国は、個人経営の小さな書店やブックカフェが続々と誕生しています。全国各地へ出かけ、当事者の声を丹念に拾いあつめてきた著者が、このムーブメントを情熱的に報告した作品です。光の部分だけでなく、せっかく開業した魅力的な書店がすぐに行きづまってしまう実情や原因についても、スペースを割いて考察しています。韓国の本屋の実像が、社会背景とあわせて伝わってきます。
僕もハンさんと同じように、本屋や出版についての文章を多く発表しています。日本だけでなく近隣アジア諸国の状況にも関心があり、とくに韓国は機会があるたびに訪れ、まだまだ多いとはいえないが、本屋たちとの印象に残る面会を重ねてきました。
そこで、本書と日本の読者との間に立つことになりました。ハンさんの話にちょこちょことくちばしを挟んで、日本の本屋と比較したり、「この書店には行ったことがある!」とエピソードをつけ足したり、感銘を受けたり、ときには反論したり……僕の個人的な感想やメモを書いた付箋を、あっちこっちに貼りつけたようなものです。新型コロナウイルスの影響で韓国へ気軽に出かけられる日はまだ遠そうだし、ハン・ミファさん、紙上対談をお願いします! そんな意気込みで、あれこれと書きました。
本文中に時どき入る、上下を波線で挟んだ文章が、案内人のコメントです。出てくるたびに読む、キリの良いところまで進んだらコメントだけまとめてチェック……方法は読者のご自由に。役に立つ場面があれば嬉しいです。
それでは、本文へどうぞ!