紹介
明治初期から戦後までをおよその期間として、視覚障害教育の歩みをたどる100章。
永年視覚障害教育の現場に身を置きながら、2018年重要文化財に指定された「京都盲啞院関係資料」を収めた資料室の業務に携わり、日本盲教育史研究会の事務局長を務める著者が、全国各地を訪ね歩き、自ら資料を収集することで、新たな事実や知られていなかった資料・文章を掘り起こし、歴史に埋もれた人物に新たな光を当てる。
時代にコミットし、社会に参画しようと、懸命に歴史を生き抜いてきた視覚障害者たちの、ダイナミックな熱気を描き出す、渾身の一冊。
2011年から2019年まで、週刊点字新聞『点字毎日』で連載された「歴史の手ざわり・もっと!」を大幅に加筆・改稿。
目次
はじめに
第1部 凸字から点字へ
1 凸字版『小学生徒心得』
2 点字の背景
3 点字事始め
4 「点字」という日本語
5 中村望斎
6 国産点字器
7 古い点字
8 点字郵便制度
9 点字出版
10 左近允孝之進
11 江戸川乱歩「二銭銅貨」の点字
第2部 京都盲啞院の形成
12 古河太四郎の挫折
13 遠山憲美
14 普通教育と職業教育
15 半井緑
16 スクール人力車
17 名刺は語る
18 京都盲啞院探訪マップ
19 室田有
第3部 盲教育の実相
20 盲教育のあけぼの
21 覚り方
22 何を教えるか
23 体育
24 盲児向けの雑誌
25 半盲・弱視
26 重複教育
27 給食・舎食
28 修学旅行
29 杉江泰一郎
30 盲学校・点字の歌
31 似通った校歌
32 研究誌
第4部 各地の盲学校
33 大阪摸範盲啞学校
34 楽善会官立化へ
35 雨宮中平史料
36 高津柏樹
37 高田盲学校
38 横浜物語
39 横浜訓盲院
40 次々と生まれる学校
41 知られざる足跡
42 消えた盲学校
43 九州と京都
44 高知盲啞学校
45 秋田盲学校
第5部 運動・組織・媒体
46 はばたく第1世代
47 同窓会
48 三校長建議
49 京都市立盲啞院篤交会・同窓会
50 青年盲人たちによる点字雑誌
51 中村京太郎と『あけぼの』
52 点字投票
53 点字公認運動
54 岡山の盲人青年覚醒会
55 白杖安全デー
第6部 盲教育の開拓者たち
56 嶋田秀鱗
57 野村宗四郎
58 南雲総次郎・佐土原すえ
59 光村弥兵衛
60 小林如雲ら
61 小林富次郎
62 天橋義塾―自由民権運動と盲啞教育 ①
63 楠瀬喜多―自由民権運動と盲啞教育 ②
64 平塚盲学校―自由民権運動と盲啞教育 ③
65 小西信八追悼本
66 猪田すて
67 鳥居嘉三郎
68 斎藤百合
69 福田与志など女性たち
第7部 世界から/世界へ
70 ロシア皇太子ニコライ
71 諸外国の知見
72 ドイツからの点字ハガキ
73 好本督
74 ワシリー・エロシェンコと鳥居篤治郎
75 田守吉弘
76 ドゥードゥル
77 パリセミナー
第8部 盲史の手ざわり
78 雨宮史料は語る
79 東北地域に盲教育史を探して
80 移転と資料
81 映画フィルム
82 先人たちの伝記集
83 足跡を子どもたちに
84 私立大阪盲啞院から「大阪北」校へ
85 視覚障害教育史を磨くために
86 凹字・凸字から点字へ
87 丹羽善次
第9部 盲文化の彩り
88 関根熊吉
89 盲人之友
90 盲導犬
91 盲人野球
92 盲目の棋士たち
93 寄席芸人
第10部 いのちと安全
94 災害と盲啞教育
95 日本盲人号余話
96 学童集団疎開
97 日刊点字新聞もあった!
98 長崎の多比良義雄校長の思い
99 71年目の新事実
100 福祉の歴史
典拠資料、引用・参考文献一覧
おわりに
索引(人名・事項)