紹介
京都盆地の東北、京都市北白川の地で、1946年生まれの「戦後の子」の3年間の課外学習をまとめた成果『北白川こども風土記』(山口書店、1959年)。
民俗学、歴史学、考古学、学校資料論、アーカイブズ論、視覚文化論、メディア論……、さまざまな分野の研究者、クリエーター、ファシリテーターたちが、この不思議な魅力をたたえたテクスト、それを生み出した北白川という地の歴史的・文化的コンテクストと向かい合い、議論を経てまとめた一書。
その先に照らし出されるのは、多様な情報と社会関係が交錯する、地域の結節点としての学校の過去・現在・未来。
北白川から、さらにいくつもの〈こども風土記〉へ―― これから地域で歴史と文化を紡いでいくための、多くのヒントを投げかける。
目次
はじめに(菊地暁)
『北白川こども風土記』抄(『北白川こども風土記』から8編を復刻再録)
大文字の送り火/石器時代の北白川/白川街道を歩いて/小さなおじぞうさんたち/天神さんのお祭/湖から盆地へ/白川石と石屋さん/古い地名は生きている
『北白川こども風土記』目次項目一覧
《コラム》北白川こども風土記の出来るまで(山岡亮平)
序章 学校で地域を紡ぐ:北白川から、さらにいくつもの〈こども風土記〉へ(菊地暁)
《コラム》北へ渡った北白川こども風土記(菊地暁)
《コラム》敗北の「こども風土記」(福島幸宏)
《コラム》「こども風土記」の魅力に迫る—「発見者」から「発信者」へ―(一色範子)
全国「こども風土記」一覧
第1章 京都市立北白川小学校の郷土室―学校博物館の活動とその役割の可能性―(村野正景)
第2章 地域のちから―『北白川こども風土記』の出版―(堀内寛昭)
《コラム》『北白川こども風土記』にかかる学校所在資料(村野正景)
《コラム》北白川小学校と「おやじの会」(池側隆之)
第3章 〈先生たち〉〈おじさんたち〉と地域の歴史(黒岩康博)
第4章 戦後社会科教育と考古学(石神裕之)
第5章 評言からみえるもの―小中「総合的な学習の時間」から「生涯学習」へ―(高木史人)
《コラム》上山春平と北白川城(菊地暁)
《コラム》小林行雄と北白川(石神裕之)
こども風土記33選〈カラー掲載〉(一色範子・菊地暁・佐藤守弘)
白川道中膝栗毛〈カラー掲載〉(谷本研・中村裕太)
「白川道中膝栗毛」について(佐藤守弘)
第6章 綴ることと彫ること―『北白川こども風土記』の視覚―(佐藤守弘)
《コラム》映画『北白川こども風土記』と脚本家・依田義賢(森脇清隆)
映画『北白川こども風土記』(佐藤守弘)
映画『郷土学習のしかた』(菊地暁)
第7章 関係性を紡ぐ—メディア・プラクティスとしての『北白川こども風土記』―(池側隆之)
第8章 新編 湖から盆地へ―北白川の地形と風土 その成り立ちと変遷―(藤岡換太郎)
あとがき(佐藤守弘)