紹介
これぞ、本物の探究学習!
地域とのネットワーク構築から社会を巻き込む話題づくり、予想外の展開があったとしても確実に成果を生み出す本物のPBL(プロジェクト・ベースド・ラーニング)の手法を、古都・金沢で展開されたある授業の記録をもとに紹介します。
(あらすじ)
本書は、金沢大学附属小学校3・4年複式学級の「総合的な学習の時間」という授業における2年間の取組みと、それによって引き起こされた現象を記録したものです。
子どもたちは、授業の一環として、金沢市にも存在する「空き家問題」解決をテーマに定め、町家で新たな体験事業を提案します。活動をすすめるうち、彼らは地域ならではの伝統技法ながら埋もれている「金沢からかみ」に出合います。その存在を広めるためクラウドファンディングが行われ、販売するECサイトがつくられ、ついにはオリンピック関連推進事業室と協働し……金沢からかみを海外へと伝え、国際交流へきっかけをつくるに至ります。
目次
はじめに
第1章 学習をはじめる前に
◇カリキュラムに縛られない
◇探究に耐えうる題材の選定
◇ヒューマンネットワークの素地づくり
◇「点」を置く指導計画から「線」を引く指導計画へ
第2章 探究に向かう集団の素地づくりと大目標の設定
◇インパクトのある事象から題材への興味をもたせる
◇荒廃した空き家に出合う
◇ハテナでつながる授業
◇探究することの価値を確認する
◇学習の大目標設定
◇空き家の活用方法の提案
◇大目標からさらに目標を設定する
第3章 金沢町家にどっぷりつかる
◇人の思い・願いにふれる
◇ゲストティーチャーを教室に招くしかけ
◇ついに見つかった実践パートナー
◇自発的な学びを促すために
◇見学にかける思いを高めるために
◇見学に必要な視点づくり
◇町家見学に行こう!
◇見学で得られた知見の整理
◇教科横断的な視点で実践を構築する
◇活動に変化を与える新たな視点
◇結果を受け入れるために
第4章 町家での事業内容の検討、そして提案
◇新たな学習のスタート
◇もどきではないホンモノ体験からの学び
◇金沢町家での体験事業を考える①〜グループ進度に応じた学びの展開〜
◇金沢町家での体験事業を考える②〜各グループへの関わり〜
◇これまでの学びをふり返って
◇「転ばぬ先の杖」にならない
第5章 水面下の取り組み
◇共有すべきは展開ではなく理念
◇授業のふり返り
◇教室外思考と言語の翻訳
◇自分の言語能力の低さを実感
◇視野を狭めないための他者
◇ゼロベースで考える大切さ
◇授業者が抱え込まない仕組みづくり
◇チームワーク
◇クラウドファンディングに至った経緯
◇実践パートナーのアイデアにのっかる
第6章 金沢からかみのさらなる発展
◇フランスに金沢からかみを届ける
◇子どもと相談する価値
◇STEAM教育と総合的な学習の時間
◇意図的な試行錯誤
◇それぞれの立場でできることを
◇届け、金沢からかみ
◇生み出される新たな社会的ムーブメント
第7章 子どもの探究を支える仕掛け
◇授業と授業をつなぐ
◇情報端末の積極的活用①〜つながらなかったものをつなぐ〜
◇自己調整的な学びを促すふり返り
◇話し合いの質の向上をねらう
◇情報端末の積極的活用②〜汎用的能力の育成を意図したNHK for Schoolの活用〜
◇情報端末の積極的活用③〜活用状況を子どもに評価させる〜
第8章 学びの越境を生み出すヒューマンネットワーク
◇ラッキーパンチは続かない
◇学校を飛び出てみる
◇授業に参画してくれた方の心をつかむ
◇仲間を増やす
◇社会的認知を高める
9章 パートナーからの異なる視点
◆「子どもたちとの協働から生まれる未来のかけはし」――やまだのりこさん(建築士)
◆「社会との関わり」――岡部 彩さん(株式会社こはく)
◆「誰一人取り残さない学び」――阿部竹虎さん(北陸中日新聞)
◆「否定しないことがクリエイティビティの第1歩」――灰屋英成さん(金沢市オリンピック関連推進事業室)
◆「ホンモノから学ぶことの可能性」――西川智久さん(近江町市場振興組合 お!のある暮らし編集部)
◆「余白を与える「教え」」――永嶋明さん(表具職人)
◆「子どもは天才」――山田滋彦さん(株式会社こはく)
おわりに