目次
Ⅰ 佛教と現代生活
難波と大阪
演劇と宗教儀式
若い人への手紙 いま宗教を考える
親しい友人を亡う時―真円の月―
松浪信三郎氏を偲ぶ
Ⅱ 新佛法会座
第一回 自分に復るひととき
第二回 我を無にする
第三回 ただの信心
第四回 信の一念
第五回 邯鄲の枕
第六回 二種類の時
Ⅲ 南無阿彌陀仏は人間を変えられるか
はじめに
一 蓮如の布教成功の極意
1 不遇の前半生から、日本最大の教団指導者に
みじめだった蓮如の前半生
物質的な困窮と精神的な抑圧に耐えた蓮如
法主になる前に聖教を徹底的に読み込む
逆境の中、世の中を乗り切る智恵を蓄積
本願寺はもともと小さな教団にすぎなかった
蓮如は日本史上最高の〝人気者〟
蓮如が行くところ行くところ、町ができた
2 強烈な使命感が、教勢拡大のエネルギー源
生涯を布教に捧げる決意でいた蓮如
目的は唯一つ―信心を取らせること
全力の布教を生涯貫く
『御文』がギクシャクしている理由
テニヲハが合わないところもある『御文』
地に足がついた布教
門徒と同座で対応した蓮如
改悔懺悔の時の緊張感
格好をつけても無意味
信心のない人ほど、信心について語りたがる
真宗は、謙虚の教え
ふだんの稽古がものを言う
自分のすべてをさらけ出すのが基本
寄り合いのときの朗読が教勢拡大に貢献
いつも最前線で状況を把握していた蓮如
教祖とオルガナイザーの両方がいないと教勢は拡大しない
子供全員を深く感化した蓮如の偉大さ
3 蓮如の成功は、宗教史上でも画期的なもの
仏教思想の統一、一仏信仰の確立へ
阿彌陀信仰の中に、すべての利益が含まれている
仰ぐべきものはただ一つというのが、信仰者の姿勢
僧侶の仏教から在家の仏教へ
国家のための仏教ではなく、家族単位の仏教へ
農民を布教対象に、惣を掌握したのが成功の原因
荘園制度の崩壊とタイミングが合ったのが布教成功の要因
4 蓮如の布教の総決算―一向一揆の成功
一向一揆は、蓮如の布教のフィナーレ
吉崎進出の時も準備万端
文明の一揆の勝利は、蓮如の類まれな政治感覚のなせる業
長享の一揆に勝ち、加賀を門徒領国に
一向一揆が成功したのは、蓮如の時代だけだった
信心ゆえの、時代を読み取る目が、一向一揆勝利の根本因
二 蓮如に学ぶ信仰の喜び
1 時と方便を心得ることが大切
「時」と「方法」を選んで日本一の教団をつくった蓮如
天武天皇(大海人皇子)が壬申の乱で勝てた理由
仏法とは力である
人間が泳げるのは、水に自分を任せるから
現世利益は後からついてくるもの
目的と手段を混同してはならない
2 「頼む」ということの本当の意味
「頼む」とはねだることではない
自分の願いが叶うことが即仕合せかどうかはわからない
「他力」に対する誤解
「頼む」だけで救けてくれるのが仏
「他力」は、仏教の根本原理である「無我」に通じる
3 報恩と感謝
念仏とは感謝の表現
すべては開山聖人の御恩
私が感謝の念の大切さを自覚したきっかけ
業の問題に思いをはせながら
感謝の心が人生の行方を決定づける
4 感動はすべての出発点
感動なくしては何も始まらない
繰返しの中から感動が生まれる
感動を失っている現代人へ
子供たちが無感動になっている理由
正しい選択には、感動が必要
5 聞くことが心を高める
まず、自分の中身を充実させる
修行のないのが浄土真宗の特徴
「聞く」ことに要求される自主性・自立性
すべて自分のためと思いながら聞くことが大事
蓮如の時代は説教が盛んだった
なぜ説教が廃れてしまったのか?
宗教心が退化してしまっている現代人
現代人の刹那主義
6 「極楽」の意味
親鸞は自分のことを悪人と言っていた
仏法でいう「悪人」と世間でいう「悪人」とは意味が違う
女性のほうが、覚りの境涯と距離が離れている
極楽浄土が金銀に色どられているのは本当か?
最下層の女性にとっては男に生まれ替わることが極楽往生
7 師匠と弟子
「教え」は生きていなければならない
師弟関係のないところに仏法はない
私にとっての「善知識」は蓮如
最近の若い人たちは「善知識」を持っていない
「親鸞は弟子一人ももたず候」の真意
聖教は読み破れ!
親は子供にとっての「善知識」たるべし
子供には、言うべきことを言うのが親の責任
8 身を捨てて生きるのが信仰者
私が「聖ジャンヌ・ダルク」という本を書いた理由
殉教者ジャンヌ・ダルクでさえ死は怖かった
命がけで布教をつづけた蓮如
「捨身」が蓮如の生き方の根本
命を捨てて戦争をやめさせた釈尊の父親
人間は、もともと矛盾した存在
「助かる」とは生きることではない
Ⅳ 私の他力本願
はしがき
一 回心
幼少年期の私
不仕合せな人々
法然、親鸞、蓮如の不遇な幼時
岩盤に突き当ったら救われるか?
『シジフの神話』と不条理
ジャン・ムーランとレジスタンス運動
聖ジャンヌ・ダルクの死
再び不条理について
仕合せな人々
聖ジャンヌ・ダルクの信仰
人生の転換期
信心を取るということ
光を見た
二 意識
信仰とは命がけのものである
信心と信念
信じることを教えるもの
信心とは感動
意識のフィルター
「意識を取る」ことで人間になる
釈尊の事
革命とは止めようがないもの
意識の変革
人は人として生れるのではなく、生れてから人となる
三 諸行無常
諸行無常
諸行
有から有へ 有から無へ
崩れゆく砂の城のように
有→無→無
雪山童子の話
一粒の麦
滅已
復活
釈尊入滅直前のアーナンダ
釈迦に提婆
俗界での「無」から「有」への転換
四 無我
無から楽へ
自力本願(?)
意識の三転回
端座
呼吸の意義
「南無阿弥陀佛」とは呼吸のこと
こころは浄土にあそぶなり
蓮如上人の無我
五 信心
世間と自分
自意識過剰から解放される
自分を空(から)にする
佛教に向う態度
信の一念
感動への希求
感動という事
信心に見返りはない
ひとときの惟い
ひたすらな惟い
佛の願いに頼り切る
六 欲生
恩ある人へのレクイエム
御文仏訳
信心獲得
五重ノ義
信因称報
感恩
解説・解題
解説 論考・法話の巻に就いて―現代の善知識・經如上人(一般財団法人本願寺文化興隆財団)
解題