紹介
「鉄道への郷愁と憧憬を伝えてやまない」――芦原伸(紀行作家、「旅と鉄道」統括編集長)
『地図の中の札幌』『北海道 地図の中の鉄路』に続く、珠玉の地図エッセイ三部作がついに完結! 道内旧国鉄の廃線直後に著者が歩いた、全28線におよぶ廃線跡歩きの記録がここに蘇る。
レールの残照に慨嘆し、廃墟の風景ならではの寂寞感に身を震わせた日々を、のべ220枚の新旧地形図とともに追想した、卒寿の著者渾身の書き下ろし作品。
さらに、各路線に駅名一覧を付し、駅名の由来も併記。復刻版「北海道鉄道地図」(昭和37年、札幌鉄道管理局)と特製リーフレット(書き下ろし自伝エッセイ、略年譜、著作目録収録)を特別付録にした、地図&鉄道&堀ファン垂涎の保存版!
目次
はしがき
旧国鉄道内廃止路線図
Ⅰ オホーツク海斜面
1 天北線
2 興浜北線
3 興浜南線
4 名寄本線
5 湧網線
6 根北線
7 渚滑線
8 相生線
Ⅱ 太平洋斜面と根室海峡斜面
1 標津線
2 白糠線
3 旧池北線(北海道ちほく高原鉄道ふるさと銀河線)
4 士幌線
5 広尾線
6 富内線
7 胆振線
Ⅲ日本海斜面と津軽海峡斜面
1 羽幌線
2 深名線
3 美幸線
4 歌志内線
5 上砂川線(函館本線上砂川支線)
6 札沼線(新十津川‐石狩沼田間)
7 幌内線
8 万字線
9 登川線(夕張線紅葉山―登川間)
10 手宮線
11 岩内線
12 瀬棚線
13 松前線
主要参考文献
地形図一覧
地名・施設名索引
駅名・鉄道関連索引
《特別付録》
1.復刻版「北海道鉄道地図」(昭和37年、札幌鉄道管理局)
2.特製リーフレット(書き下ろし自伝エッセイ、略年譜、著作目録収録)
前書きなど
平成二六年(二〇一四)に『北海道 地図の中の鉄路』を書いたあと、次は「地図の中の廃線」だなあ、と、薄々考えていた。出版社のほうも、表立っては言わないとはいえ、同じ思いがあるように見えた。
単に廃線の歴史、というだけならば、専門的あるいは半専門的な記事の書き手は私などよりははるかに適任な方々が、たくさんおられるだろう。従って私が書くとすれば、一つは「地図の中の廃線の姿」、二つには「地図を手に廃線跡を歩いた話」、にどうしても重点が置かれることになる。
もっとも廃線跡の探訪書ならば、これまた数多い。しかし彼等の探訪手段はもっぱらクルマに限られ、廃線跡そのものの上を足で歩く人は稀である。幸い旧国鉄およびJRの廃線跡に話を限るならば、私は少なくともそれぞれの一部を、地図を見ながら足で歩いた経験がある。だから、それらをまとめて一本にすればよい、と考えた。
ただし、前著に廃線以前の姿を紹介した江差線の木古内‐江差間と留萌線の留萌‐増毛間、及び廃止前に貨物専用線となった線(たとえば函館本線の美唄‐南美唄間)は、手宮線のみを例外として、本書では省いた。
もし本書の出版が、鉄道ないし廃墟の風景が好きな方々にいくらかでも歓迎されるならば、著者冥利に尽きることである。