目次
新版まえがき
第Ⅰ章 近代性とスタイル
第Ⅱ章 差別の構造
第Ⅲ章 言語とテロル
第Ⅳ章 戦争の言説と言説の戦争
第Ⅴ章 一九三〇年代――極東における帝国主義
第Ⅵ章 毛沢東思想をめぐって
第Ⅶ章 核抑止=帝国主義とモードの概念
第Ⅷ章 革命の考古学あるいは共同体論
第Ⅸ章 革命のジャーナリズムあるいは方法としての第三世界
第Ⅹ章 戦略的理性のために
新版補遺 風俗と文化の革命――日本民俗学批判の実践的諸前提
解説 「遥か彼方からの通信」をいま読むために(高祖岩三郎)
前書きなど
68年を境に、左翼でも新左翼でもない、決定的に新しい質の左翼が登場しました。それが全共闘です。
全共闘については多少混乱していて、2つの全く違った意味がありました。ひとつは、60年代初頭までの全学連と同じスタイルを持った、革マル系、第四インター、ブント、解放派、中国派や構造改革派のほか、のちに中核派も全共闘を名乗ったこともあります。
しかしそれらとは違って、まったく新しい組織原理を全共闘が意味している場合がありました。まず彼らはノンセクトであり、セクトに従わないことに大きな価値を見いだしていて、「一人で決断する」「一人が参加しても集団は変わる」ことを原理に、状況によってたえず離合集散するけれども、前衛の役割を果たす。
ですから党派の統一戦線としての全共闘と、諸個人の機能を指している全共闘には明確に区別をつけてほしいのです。それが大量現象となったことに、「68年以後」の新しさがあるということです。本書はこの時代の「全共闘」の存在原理を確立しようとして書かれた本なのです。(…)
本書は、国家を離脱した人にこそ読んでほしい本です。まだそこまでいかずとも、意識の上で離脱した人々に。そして離脱しても、毎日の起居振る舞いと食生活は当然に続いていて、そのレベルでの「日常生活における管理と脱管理との、支配者のスタイルの模倣と脱出者のスタイルとの闘争」がまさに永続的に続いているのです。
――「新版まえがき」より