目次
はじめに
Chapter 1 働くってどんなこと?
1 「働く」ことをイメージする
2 「働く」ことを語源から探ってみる
3 「働く」ことの本質を考える
4 職業を通して「働く」ことを考える
5 「働きながら考える」ということ
Chapter 2 どうして在学中に社会を経験したほうがいいの?
1 日本の就職・採用って特殊なの?―大学生の場合
2 大学って何をするところ?
3 大学生としてやっておくべきことは?
4 インターンシップも大学教育のひとつ!
Chapter 3 インターンシップって何?
1 インターンシップはアルバイトとどこが違うの?
2 さまざまなインターンシップ
3 インターンシップ先を選ぶ
4 インターンシップのメリットとデメリット
Chapter 4 なぜ企業はインターンを受け入れるの?
1 インターンシップと学生
2 企業の見えない仕事をアピールする
3 自分が働く企業の意外な長所を知る
4 学生は情報源! 学生を通して学びの今を知る
5 インターンシップから就職という道もある
Chapter 5 わたしたちはインターンシップでこう変わった!
1 総合大学の学生のインターンシップ
2 「音楽学生インターンシップ」の事例から
Chapter 6 社会人になるためにはどんなマナーが必要なの?
1 マナーって何だろう?
2 マナーはなぜ必要?
3 自分らしさとマナー
4 インターンシップのマナー 実践編
5 組織のなかのホウ・レン・ソウ―迷ったらまず相談を
6 社会人として飛び立つ前に
Chapter 7 インターンシップ Q&A
インターンシップ心得
インターンシップ・キーワード
インターンシップに参加する皆さんに役立つワークシート
おわりに
参考図書・おすすめ本
前書きなど
インターンシップについて書かれたこの本を読みすすむ前に、あなたに4つの質問をしたいと思います。
1. どうしてインターンシップに関心を持ったのですか?
2. インターンシップという言葉を、どこで知りましたか?
3. インターンシップに参加することは、就職活動にとって不可欠だと思いますか? それはなぜですか?
4. 就職しない人には、インターンシップは必要ないと思いますか?
「インターンシップについて知りたい」、「インターンシップに行く準備をしたい」と思ってこの本を手にしたあなたは、もしかすると「どうしてこんな問いに答えなきゃいけないの?」と思うかもしれませんね。でも、それには意味があるのです。
学生にとってインターンシップが、社会人の働く現場に出かけ、そこで一緒に仕事をする貴重な機会となることは確かなことです。でも、インターンシップは学生にとって義務でもなければ、ましてや就職のための条件でもありません。何よりもインターンシップに参加するかどうかは、あなたが自分自身で決めることであり、そこで何を獲得するかは、あなたの心構え次第なのです。
いっぽう、企業の立場に立ってみると、日々職場で忙しく働く人々にとって、学生にインターンシップの機会を提供することは、本来の仕事でも義務でもありません。これから職業人になる学生に、責任ある社会人として「働くとはどういうことか」ということを、「一緒に働く」という体験を提供することで知ってほしい、自立した職業人となる準備をしてほしい、という願いの表れがインターンシップであり、インターンシップの出発点なのです。
つまりインターンシップは学生にとっても、機会を提供する人々にとっても「非義務」的な行為なのです。このような、ある意味、お互いの「意志」と「厚意」との間に成立する行為の場合、目的を見失ったり、見誤ったりすることでトラブルが生じたり、双方の心に深い傷をもたらすことがあります。そのようなことを防ぐためにも冒頭にあげた4 つの問い(契機、理由、目的など)を心に刻み、時に自分自身に問いかけることが必要だと思います。
インターンシップへの参加は、「働く」ことを自分の問題として考えるチャンスとなります。しかし先ほども書きましたが、受け入れてくれた企業や組織などで提供された仕事にどのように取り組み、何を学びとるかはあなた自身の問題なのです。
たしかに提供される仕事の種類や内容は選べないかもしれません。そこで働いた経験がないあなたに、それを選び取る資格や権利が与えられることはありません。でも、それでもあなたを受け入れてくれた企業や組織は、あなたが「社会人として成長するためには何を体験することがいいのか」を考え、あなたにとって意味のある仕事や経験の機会を提供しているのです。ですから、まず大切なのは「積極的に働いてみること」であり、日々の新たな経験を通して、あなた自身が何を感じ、何を発見し、自分がどのように成長したのかを考えることです。何度もいいますが、職場の人々から提供されたチャンスを自分のために活かし、この経験の意味を発見するかどうかはあなたの決断次第なのです。
インターンシップの期間を有意義にすごすためには、まず、インターンシップに対する「あなた自身」の思いや向き合い方、そしてイメージを明らかにしておくことが不可欠です。そして、冒頭の問いはそれらを整理するためにも不可欠なものであるといえるのです。私たちはまわりの人や自信ありげに話す人の意見から、とても影響を受けやすいものです。インターンシップについても、「それは良いことだ、ぜひやってみたら」とか、「あなたはいままで『働いた経験』がないのだから、ぜひ参加すべきだ」など、一見明快な判断のように聞こえる意見に従い、参加する学生も現実には数多くいます。でも、たとえば「就職するためには、インターンシップに参加すると本当に有利なのか?」とか、「そもそも、わたしは本当に『働いた経験』がないのか?」ということを真剣に考える学生は決して多くありません。
インターンシップに参加することが就職の準備に役立つというのは、ある意味では確かなことといえます。しかしもっと正確にいうとしたら、インターンシップが本当に就職の役に立つかどうかは、やはりどこまでいっても「あなた次第」であるというべきなのです。なぜなら現代のように社会に情報があふれ、さまざまな体験の場が用意されている状況においては、インターンシップ以外にも、就職に役立つことや経験はたくさんあるからです。ですから、自分自身のためにインターンシップを役立てるためには、「インターンシップとは何か」、「インターンシップでなければ経験できないことは何なのか」などについて自分の考えを持つようになることが先決であり、とても重要なことなのです。そのためには、他人の意見や経験を鵜呑みにしないて、インターンシップについてできるだけ客観的な知識を得ることが必要です。知識というのは、あなたにそれが正しいとか誤りだという価値判断を与えるものではありません。それはある課題についての多様な情報を提供するものであり、あなたが判断したり決心したりするうえで欠かせないものなのです。そして本書はインターンシップについてのそのような知識を提供しようとするために編まれたものです。
そこでまず、最初の問いに戻り、あなた自身がインターンシップについて、現時点で持っている思いやインターンシップへの向き合い方、そして知識を整理してください。そしてそのうえで以下の章で述べられる内容を、あなた自身と対話をしながら読みすすめていただきたいと思います。
渡辺三枝子