紹介
壁が倒れたとき、あなたは何歳でした?
なぜ人びとは壁に慣れてしまったのか?
その壁がどうして、1989年に倒れたのか?
建設から倒壊までの、冷戦期の壁の歴史を、壁のことをよく知らない若い人にむけて、簡潔かつ明瞭に解き明かす。
写真を多数掲載。
1989年、ベルリンの壁は倒壊しました。
今の若い人たちには、記憶のない事件でしょう。
その後に生まれたのですから。
この本は、壁の構築から倒壊に至るまでの人びとの苦悩、抵抗、無関心の歴史について、壁のことをよく知らない人に向けて書かれています。今なお世界中にある「壁」にも目を向けてほしいからです。
たとえば、イスラエルとパレスチナのあいだ、アメリカとメキシコのあいだ、インドとバングラデシュのあいだ、都市の富裕層と貧困層とのあいだに、「壁」が構築され続けていることに、あなたは気づくでしょう。
目次
序文 ┃
壁にむける視線
1章 ┃
衝 撃 ―― 壁建設、1961年8月13日
2章 ┃
前 史 ―― 壁建設への道
3章 ┃
安 堵 ―― 西側と壁建設
4章 ┃
壁による閉じ込め ――「沈静化要因」としての壁
5章 ┃
人狩り ―― 逃亡の成功と失敗
6章 ┃
うそ ――「反ファシズム防壁」
7章 ┃
立派な外観 ―― 壁緊張緩和の時代の壁
8章 ┃
終わりのはじめ ―― 東ブロックの不穏な情勢、新冷戦
9章 ┃
世界最長のカンバス ―― ポップ・アートの壁
10章 ┃
自陣営内の敵 ―― ドイツ社会主義統一党とミハイル・ゴルバチョフ
11章 ┃
世界を揺るがした出来事 ―― 1989年、壁の倒壊
12章 ┃
壁の消滅と記憶へ ―― 壁が後に残したもの
むすび ┃
現代世界における壁
註 / 訳者あとがき / 索 引(事項索引、人名索引)