前書きなど
「名だたるシェフが作り出すメニューには、大胆な組mい合わせや、驚くような風味の調和があります。彼らの食材に対するアプローチの根底にあるもの、それは風味と風味の組合せに対する深い洞察ではないでしょうか。ところが、探究心を持っていたとしても、普通に生活していてはこうした研究に取り組むための用具も食材もありません。私は、ある風味を他の風味と組み合わせるにはどうしたらよいか、うまく調和するのはなぜなのか、それらの文の共通点と相違点は何なのかを理解できる、入門書的なマニュアルが欲しくなりました。当時、その手の本はありませんでした。そこで、今思えばあきれるほど無知だったのですが、自分で作ろうと思い立ったのです。(中略)しかし、風味の組み合せ方や感じ方には、生まれや育ちが大きく影響します。客観的な補足ができるように専門家の意見を借りましたが、結局のところ、本書が主観的な本になるのは避けがたいことでした。本書は、読者が正確に何をすべきかを述べるというよりは、読者自身が料理をするとき に、ひらめきを得られるように作られています。この本からあふれるひらめきを受け取って、活用してみてください」 ――「はじめに」より