前書きなど
はじめに
この本は「自閉症の僕が跳びはねる理由」の続編です。
「自閉症の僕が跳びはねる理由」を出版したとき、色々な方からご意見をいただきました。
その中で、僕が当たり前に思っていたことが、普通の人にとっては意外なことも多いということを知りました。
僕は、自閉症の世界が特別だと思ってはいません。
僕たちもこの地球で人として生まれ、みんなと同じ場所で生きています。
ただ、みんなとは様々なことが少しずつ違うだけなのです。
それは、国が違えば、文化や習慣が違うことと似ているかも知れません。
僕は、自閉症の人のことをもっとわかって欲しいのです。
見かけだけでは、自閉症者の本当の姿は、理解できないのではないでしょうか。
もちろん、この本に書いていることが、全ての自閉症者に当てはまることだとは思っていません。
「自閉症の僕が跳びはねる理由」は、中学生だった僕が、感じたことや考えたことを書いたものです。その後、僕は通信制の高校に入学し、この春、高校3年生になりました。
僕は、今も人と会話ができません。
自閉症という障がいを抱えて生きています。
自閉症という障がいについて、どんなふうに感じているのか、中学生の頃と比べて変わった点、変わらなかった点、色々あります。
それを踏まえて、高校生になった現在の僕が持っている思いを、聞いていただけたらと思います。
この社会は、たくさんの人々で構成されています。
その中で自閉症者も生きているのです。
そのことを、いつも少しだけ気にかけてくだされば、自閉症者にとって、今よりずっと生きやすい世の中になるのではないでしょうか。
東田直樹