目次
カーブミラーの女 逆立ち女霊 鈴の音 シャワーの背後に 化けものの出る家 海辺の女 ある夜の女たち 部屋で起きる三つの怪異 ワンルームの幽霊 二階の足音 仏間の生首 仏壇から手が 窓の外の男 ムルワージー びしょ濡れの男の子 水の音が聞こえる部屋 箱の中 兵隊さんのいる美容室 冬の夜の兵士 盛り塩 オバァとお地蔵さま 夜のガジュマル 枯れた花束 不思議な子どもたち カーテンの中の子ども えっちゃん オバァの車椅子 霊の通り道 黒い影 何かいる 赤とんぼ 大きな鏡 深夜の塾 カーネーション柄のワンピース カーカンロ- さよならフイッツ 行っちゃだめ! シーミーの階段 シーミーの火の玉 処刑場跡地 ヤーヌバン そりゃ大変さ セキネと名乗った兵士 戦後すぐの話 家の外を走り回るもの ラバウルの弟 土の中の日本兵 すがりつく腕 写真 御嶽への道 ナイト・ウォーク 隣りの日本兵たち 押し入れの物音 兵隊さんから物をもらってはいけないよ 二階のトイレ、奥から二番目 マイクが拾った奇妙な音 麦わら帽子をとってくれたのは 赤いハイヒール 四時に伺います とある病院 洗面台の下のおばさん 嘉手納の火の玉 赤いハンカチ ヒーダマ 満月の船 見知らぬ少女 シークヮーサーがぽつんと
ジュールクニチ ぱぴる お迎え 出たっ、アカガンター 城岳のキジムナー. 其の1 城岳のキジムナー. 其の2 城岳のキジムナー. 其の3 キジムナーの引越し ザンの話 座間味の海坊主 ワルカジ 多良間の火の玉 よみがえった猫 シーサー 戦闘機 がじゃーがじゃー 鯉に噛み付かれた蛇の話 月夜のパレード SSSカーブの老婆 SSSカーブのでかい顔の男 ランドセル 小人のはなし 大山の空飛ぶオバァさん 仏壇から座布団 大里城址にまつわる話 いつか来た場所 訴える声 名前を呼ぶ声 連れて行かれる ユタの修業場 裏山の黒いもの ほか
前書きなど
沖縄には「ウトゥルサムンヌ、ミーブサムン」という言葉があります。
大意は「怖いもの見たさ」という意味です。怖いものからはみんな遠ざかろうとするけれども、その実、できうれば、一度はその目で確かめてみたいと思っているようです。
これから始まる百絵巻が、そんなあなたの好奇心を満たすものであれば、筆者としてはこれ以上光栄なことはありません。
この本は、琉球新報の小中学生新聞『りゅうPON』で「琉球怪談百物語 ほんとうにあった怖い話」として連載された作品をまとめたものです。毎週一話ずつ、私が沖縄中から集めた恐怖の物語を、三木静さんのイラストとともに紹介していくという本格的な怪談もので、日曜日の朝、沖縄の小中学生たちを恐怖で震え上がらせました。
そもそも「琉球怪談」シリーズは、〈沖縄にまつわる人々が実際体験した、摩訶不思議な綺談を取材し、まとめた〉怪談実話ものです。連載開始時には、小中学生を対象とした新聞に百話もの怪談実話を、果たして書くことが出来るのだろうかなどと危惧していたのですが、いざ筆を走らせて見ると、そんな心配はまったくいりませんでした。怪談、奇談の類は、何時の世も、老若男女を惹きつけるモノのようです。
連載開始と同時に、県内の小中学生からはもちろん、世代をこえて、子どもたちのオジイ、オバアからも「自分もこんな体験がある」というメールや手紙をいくつも頂戴しました。もちろんその中のいくつかは、この本の中に収録してありますし、紹介しきれなかったお話も、まだまだ沢山あります。
それこそ、沖縄には百の人がいれば、百の怪が存在するのだ、と思った次第です。
それでは、ウトゥルサムン(怖いもの)大好きなあなたへ、異界の扉が今、開きます。
「シンニンヌカマ、ウティクーヨー、サタクウィラ!」
ご無事を、祈ります。