目次
はじめに
I 罪と刑罰
第1章 究極の肉刑から生命刑へ -漢〜唐死刑考-[冨谷 至]
はじめに
1 漢代の死刑-その執行様態
2 魏晋の刑罰
3 北朝の死刑-絞殺刑の登場
4 北斉・北周から隋へ
5 宋・齊・梁・陳の死刑
おわりに 秦漢から隋唐へ-究極の肉刑から生命刑へ
第2章 宋代以降の死刑の諸相と法文化[岩井茂樹]
はじめに
1 「五刑」と近世の酷刑
2 凌遅処死,その他
3 死刑の手続きと近世の法文化
おわりに
第3章 千金の子は市に死せず
-17・18世紀朝鮮時代における死刑と梟首-[アンデシ・カールソン]
序 論
1 朝鮮時代の梟首
2 17・18世紀の法典における梟首
3 もめごとの多い北部
結 論
附録:梟首・死罪に関する王命法規一覧
●article1 有徳の殺人?
-漢代における国家容認の暴力の歴史-[ベント・ペテルソン]
II 社会と死刑
第4章 魏晋時代の皇帝権力と死刑
-西晋末における誅殺を例として-[古勝隆一]
はじめに
1 礼と刑
2 皇帝による賞罰
3 誅とは何か
4 西晋末における誅の濫用
5 冤魂の系譜
6 誅せられた者の家族
7 名誉回復
結 び
第5章 朝鮮党争史における官人の処分
-賜死とその社会的インパクト-[矢木 毅]
はじめに
1 明律の受容
2 刑罰と懲戒
3 党争の展開
4 懲戒の体系
5 拷問の諸相
6 恩寵としての「賜死」
7 「賜死」の思想
8 雪冤と顕彰
おわりに
第6章 中国の前近代絵入り史話における死刑と暴力の図像[オリバー・ムーア]
1 絵入り史話
2 文章と図像
3 絵入り史話の形式と内容
4 絵入り歴史物語の中の死刑
5 図像の変換力
6 見る者の視覚的能力
7 絵入り史話における図像の使用
8 リズムの標徴としての図像
9 処刑の記述
第7章 死刑の社会史 -近世・近代日本と欧米-[伊藤孝夫]
はじめに
1 儀礼としての死刑
2 刑死者の社会史-近世日本
3 文明化と死刑
第8章 現代中国の死刑に関する立法およびその整備について[周 東 平]
緒 言
1 現代中国の死刑立法の沿革と現状
2 中国現行刑法における死刑立法の批評分析
3 中国における死刑立法の展望
結 語
●article2 東アジアと死刑の風景
-死刑のイメージの比較社会学-[藤田弘夫]
1 世界の死刑
2 社会秩序と安全
3 現代社会と死刑の系譜
4 東アジアと死刑の未来
III 非中国的視座に立って
第9章 古代インドにおける死刑
-サンスクリット文献に見える刑罰の分析を通じて-[赤松明彦]
はじめに
1 古代インドでは刑罰をどのように見ていたか
2 刑罰の種類と犯罪の分類
3 体刑と罰金刑
4 カースト制と刑罰-バラモンの特権性
5 量刑の基準-同害刑罰の思想と抑止の思想
6 死刑となる犯罪
7 法と王権-社会的観点から見た刑罰
8 けがれの観念と罪の観念-宗教的観点から見た刑罰
9 「死刑」をめぐって-聖的権威と俗的権威のせめぎ合い
10 不殺生(非暴力)の思想と死刑-仏教的原理と社会規範
おわりに
第10章 ムルキ・アイン(Muluki Ain)
-ネパールの法典と死刑-[ホーカン・ヴォルケスト]
序 文
1 死刑制度と人類学の仮説
2 ネパールにおける法の伝統
3 ネパール-その歴史的背景
4 ネパール王国の伝統的特質
5 民族国家に向けて
6 ヒンドゥーの王権,王国と法
7 法とネパール国家の形成-ラナ以前の時代
8 スリ・スレンドラ・ビクラム・シャハのムルキ・アイン1854 年
第11章 死刑と朝鮮の法的伝統[スタファン・ローゼン]
序 死刑
1 早期朝鮮の概念
2 早期朝鮮の法的遺産
3 早期朝鮮の法的資料
4 朝鮮と遊牧民の法の遺風
5 朝鮮と律令の伝統
6 新羅の法的伝統における刑罰
死刑存廃論議の門口に佇んで-総括に代えて-[冨谷 至]
索 引