目次
プロローグ—孤児リクールと抽象絵画
はじめに
序 論
1 〈記憶と表象の現象学〉へのブレイクスルー
(i)「表象」についてのとらえ方の転換
(ii)記憶のオブジェクタールな現象学
2 一九四九年—黎明期フランス現代思想と「歴史」の問題
(i)レヴィ=ストロース「歴史学と民族学」—〈証言を越えた次元〉
(ii)「フッサールと歴史の意味」—〈責任ある存在たちの複数性〉
3 表象の歴史学、表象の実践哲学
(i)〈心性史〉から〈表象史〉へ?
(ii)表象とアプロプリアシオン—「語用論的理性批判」
4 冷戦以後の世界で
5 アルシーヴ—セルトーとの一度きりの対話から
6 本書の射程とその範囲について
第1章 記憶の現象学
導入 《オブジェクール》な分析からの出発
1 「エイコーン」としての記憶—ギリシアの遺産から
(i)プラトン—〈封蝋〉と〈絵師〉が表わす非—存在
(ii)アリストテレス—時間、探求、参照指示
2 記憶の現象学的素描
(i)習慣/記憶—暗記、身体運動、ハビトゥス
(ii)単純喚起/探求—「瞬間的な想起」と「骨の折れる想起」
(iii)過去把持/再生—「彗星の尾」
(iv)反省性/世界性—Reminding/Reminiscing/Recognizing
3 記憶とイマージュ
(i)像、準現前化、定立—『フッセリアーナ第二三巻』
(ii)「純粋想い出」と「幻覚」—ベルクソンとサルトルを二極配置する
4 個人的記憶、集合的記憶
(i)内的眼差し アウグスティヌス—内面性としての記憶
(ii)内的眼差し ロック—自己へ、他人へ、他人から
(iii)内的眼差し フッサール—『デカルト的省察』の感情移入論
(iv)外的眼差し アルヴァクス—社会環境、学校、名前
(v)個人的記憶と集合的記憶の交差、あるいは、現象学と社会学の交差
第2章 アルシーヴに面する歴史家(I)—アルシーヴ化
1 〈記憶〉から〈歴史〉への移行?
2 「歴史家的置換」の諸相—空間、時間、証言
(i)住まわれる空間
(ii)歴史学的時間カテゴリー
(iii)証言
3 アルシーヴへの対峙—史料的立証
第3章 アルシーヴに面する歴史家(II)—歴史家的表象
導入 「歴史の認識論」と〈表象史〉
1 〈心性史〉の隆盛と危機
2 縮尺のヴァリアシオン
3 〈表象史〉の認識論的冒険
(i)ロジェ・シャルチエと〈表象史〉—蝋の隠喩、再び
(ii)強制と規律をめぐって—フーコーを越え、バフチンを裏返す
(iii)非—数値的な社会的時間のアスペクト
(iv)イマージュの威信=魅惑
(v)〈表象の限界〉をめぐる倫理学と政治学のための、若干の注釈
4 「代表象化」という契機
補 章 『時間と物語』における「コンフィギュラシオン」概念
1 「コンフィギュラシオン」の概念について
(i)歴史記述におけるコンフィギュラシオン
(ii)フィクション物語におけるコンフィギュラシオン
2 『時間と物語』における「再形象化」概念と、その困難
第4章 歴史家と裁判官
1 現在時、複数性、第三者—〈歴史の批判哲学〉
2 裁判官の判決、歴史学的判断
3 〈過ぎ去ろうとしない過去〉に面する裁判官と歴史家
—ドイツ「歴史家論争」をめぐって
第5章 困難な赦し
導入 〈受苦的=パトス的〉記憶の行方—「過去の表象の終末論」
1 コメモラシオンの時代—〈記憶と歴史〉から「アイデンティティ」へ?
2 操作される記憶、操作される忘却—ヴィシーからの困難な復員
3 困難な赦し—行為から行為者を解放すること
終 章 忘却
コラム
アナール学派の歴史書 ブローデル/ ブロック/ フェーヴル/ ル=ロワ=ラデュリ/ シャルチエ
あとがき
文献表
索引