目次
『お手玉・まりつき・ゴムとび』
もくじ(付属DVDに収録してある遊びには、★マークがついています)
この本を読むみなさんへ—伝承あそび(むかしあそび)に、チャレンジしてみましょう
この本の読み方・使い方
DVDの見方
DVDに収録しているあそび/DVDに関する注意事項
1章、お手玉
お手玉ミニ知識/お手玉をつくってみましょう(技がしやすい、競技用ざぶとん
型お手玉)
1、お手玉・ウォーミングアップ
2つ玉交換(両手・片手)DVD ●/両手交換の練習(「あんたがたどこさ」で練習・2人でむかい合って練習) ●/手のせつかみの練習 ●/3つ玉交換 ●
2、★おさらいコース1
3、★おさらいコース2
4、★おっかけいかけ
5、★たんたんたいこ
6、★おいこのもんだい
7、★おじゃみいっかん
お手玉の伝承について
おさらいコース1・2/おっかけいかけ/たんたんたいこ/おいこのもんだ
い/おじゃみいっかん
2章、まりつき
まりつきミニ知識/まりを選びましょう(まりつき用ゴムまりは一声社へ)
まりつき・ウォーミングアップ
★「げんこつ山のたぬきさん」で練習/「あんあたがたどこさ」で練習/みん
なでいっしょにあそぼう
1、★やさしいちもんめ
2、かもめの水兵さん(やさしいいちもんめ応用編その1)
3、夢のお馬車(やさしいいちもんめ応用編その2)
4、★イギリス・日本(やさしいいちもんめ応用編その3)
5、★むつかしいいちもんめ(やさしいいちもんめ応用編その4)
6、★いちリト・ラ〜ラ(やさしいいちもんめ応用編その5)
7、★外・内ホイ(やさしいいちもんめ応用編その6)
8、★ラショライショ1
9、★ラショライショ2
10、★ラショライショ3
11、★ラショライショ4
3章、ゴムとび
ゴムとびミニ知識/ゴムひもを用意しましょう
1、★キャーロック
1の型/2の型/3の型/4の型
2、★いっせんどー
1の型/2の型/3の型/4の型
3、★リズムごむとび
1・ぞうさんとくものす/2・おはぎのよめいり/3・サボをはいて/4・月
/5・すいかの名産地/6・うさぎとかめ/7・のぎく/8・春の小川/9・走
ろう子馬よ(*映像なし)/10・スイス・ヨーロッパ(前)(*映像なし)/11
・スイス・ヨーロッパ(うしろ)
*リズムゴムとびの必須科目は3曲=1・ぞうさんとくものす、2・おはぎ
のよめいり、5・すいかの名産地(左ききバージョンもDVDに収録)。
4、★いろはにこんぺいとー
5、おいちだん
全曲歌詞一覧
お母さん・お父さん、先生方へ
前書きなど
お母さん・お父さん、先生方へ
映画などの影響もあって昔を懐かしむ風潮があります。「昭和時代の子どもたち」という置物まで売られていて、びっくりしました。でも、私が伝承遊び(昔遊び)を伝えたいのは、昔を懐かしんでいるからではありません。
私は30間年以上、学童保育の指導員として、特に伝承遊びの取り組みを通して、放課後の異年齢集団を育ててきました。
もちろん、私自身が伝承遊びを大好きだった、ということもあります。京都の郊外に育った私は、それこそ朝から晩まで夢中になって遊んでいました。あれほど楽しかった体験を今の子どもたちに伝えたい、と思っていたのです。
でも、それだけではなく、伝承遊びには大きな魅力があるのです。
魅力の第1は、体の発達や運動神経の発達にとても良い、ということです。
この本で紹介している伝承遊びは、手や足を同時に動かしたり、指先や足先まで神経を行き届かせたり、複雑な動きが求められます。難しいことを言わずとも、路地や山で思う存分遊んでいた「昔の子ども」なら、おそらく身についた能力でしょう。でも、今は状況が違います。伝承遊びをきっかけにしてほしいのです。
しかも、スポーツの上達にも大変プラスになります。プロスポーツの世界でも、小さな頃から大人の指示通りにやってきた「エリート」の限界が言われています。不規則で自由な側面がある「遊び」の中で、楽しみながら身に付けていく能力が、一層のレベルアップには必要なのですね。
魅力の第2は、誰でもできるやさしい技から入って、どんどん高度な技に発展していくことです。
伝承遊びを知らない、できないことを恐れる、今の子どもたちもすぐに取り組める遊びなのです。1つできたら次の技に挑戦したくなり、段階がいくつもあって目標を持ちやすく、どこまでいっても先が見えないくらい奥が深い、のが伝承遊びです。「このゲームはクリアしたから、次のゲームを買って」というような遊びではありません。道具も新しいものを買い換えるより、なじんだものの方がかえっていいのです。つまり、とても経済的でもあります。
魅力の第3は、子ども同士の人間関係を作る遊びだということです。
子どもの時、「今日はできない子が多いから、○○をしてもいいことにしよう」など、臨機応変に遊んでいませんでしたか? どこにでも大人が口出ししルールまで決めてしまう—それでは子ども同士がかかわりあう能力が育ちません。突然キレる子どもは、人と人とのかかわり方が育っていないことが多いでしょう。伝承遊びは昔から、できる子ができない子に教え、みんなが楽しめるように考え合って、伝えられてきたのです。
魅力の第4は、楽しい歌や歌詞のリズムに乗って遊べることです。
子どもたちは、もともとリズミカルな遊びが大好きです。伝承遊びの日本の風土にあったリズムは、自然と楽しく遊びたい気持ちにさせます。友だちが遊んでいると「仲間に入れて!」と入ってきたくなるのです。
伝承遊びは、リズムに乗らないとできません。リズム感は、スポーツの上達にも不可欠ですし、音楽の能力発達にもよい影響を与えるでしょう。
魅力の第5に、子どもの認識を発達させるということです。
この本で紹介している伝承遊びは、ほとんど連続技です。1つの技をどんな形で終われば次の技がスムーズにいくか、「見通し」と「段取り」が必要です。上手な子を観察しているとそこがよくわかります。「見通し」と「段取り」は、学力アップにももちろん欠かせませんね。
今の子どもはとにかく忙しいですね。小さな頃から、音楽やスポーツの習い事、学習塾などに通っています。でも、おとなが身につけさせたい能力は、意外かもしれませんが、幼児のころからの遊びで身につくものも多いと思います。小学生になってから、かけっこやドッヂボールを教える家庭教師をつけるのであれば、幼児のころから子ども集団の中で思い切って遊ばせてほしい、特に伝承遊びに取り組ませて欲しい、そう切に願います。
この本の遊びの中でわからないところ、うまくいかないところなどは、どうぞどしどしご連絡ください(一声社が連絡の窓口になっています)。
昔を思い出して、またみなさん自身が初心者であっても、子どもと一緒に取り組んでみてください。きっと、あっという間に子どもが皆さんを追い越して、友だちといっしょにとことん遊ぶようになると思います。
そんな魅力あふれる伝承あそびを、次の世代へ、そのまた次にも、お伝えください。
(伝承遊びは、地方によっていろんな歌や遊び方があります。昔は、すぐ近くに住んでいても全然違う遊び方だったりしました。お手玉の「おっかけいかけ」は、京都の同じ木津川流域で育った吉村冨子さんに教わりましたが、私の全く知らない遊びでした。
この本で紹介しているのは、私が生まれ育った京都の歌や遊び方が中心で、学童保育の子どもたちとも、一緒に整理し改良して遊んできました。何やら呪文のような歌詞もありますが、それも楽しみながら遊んでいただければ幸いです。この本を使ってある程度上達したら、今度は地域で伝承されてきたものをぜひマスターしてください。なお、お手玉「たんたんたいこ」は、秋田県の後藤礼子さんに教わりました。)