紹介
「王様の病気」にして「病気の王様」
医学史と文学研究の第一人者が手を組み、この誉れ高くかつ滑稽な病の文化的・医学的・芸術的歴史を、古代ギリシアから近現代まで包括的に記した名著!
本書は、(…)痛風という日常の疾病・慢性病が上流階級の人々が羨むファッショナブル病になったこと、それどころか痛風に罹るのが望ましいとまで思われた誉れ高い病であったこと、と同時に嘲笑と自己憐憫と遊戯を誘うばかばかしくも滑稽な病でもあったことを、古代ギリシアから二〇世紀初頭までを射程に入れて、医学、文学、視覚芸術といった複眼的な観点から叙述したものである。痛風の歴史と文化を通史的かつ包括的に扱った文献として今のところ最も権威のあるものとされる。
本書の強みは、ロイ・ポーターとG・S・ルソーという、それぞれ医学史と文学研究の泰斗と目される二人によって書かれたことにある。(…)ポーターが医学史のドンであれば、ルソーは一八世紀文学及び「文学と医学」の脱領域的研究のパイオニアにしてドンと言えるだろう。(「監訳者解説」より)
目次
謝辞
第一章 序論
第一部 痛風の歴史
第二章 古代ギリシア・ローマ時代の遺産
第三章 プロメテウスのハゲワシ――ルネサンス期における痛風の形成
第四章 科学とシデナム
第五章 一八世紀の医学論争
第二部 痛風の文化史
第六章 痛風とジョージ王朝期の紳士
第七章 スモレット、カドガン、そして論争
第八章 変化と継続、一七九〇年〜一八五〇年
第九章 平安な時期――ロマンチックなヴィクトリア時代の痛風
第一〇章 痛風と栄誉――ギャロッドとそれ以降
第三部 痛風の韻律学
第一一章 ポダグラ・ルーデンス――病と語り
第一二章 痛風――視覚遺産
エピローグ/索引/監訳者解説