目次
はじめに
第1章 ロマンサーがデジタル教育を支援する
デジタル出版を活用した国語教育の広がり
デジタル出版ツール、ロマンサーを使ってみよう
第2章 教育現場でのデジタル出版最前線!
中学から大学まで、デジタル出版で学ぶ学生たち
ケーススタディ1
15歳でデジタル出版に挑戦、国語の授業を通じて知的探究を推進する
~都立大泉高等学校国語科 石鍋雄大先生に聞く~
ケーススタディ2
グーグル教育ツールや電子出版で、さまざまなアウトプットに挑戦する
~公立都留文科大学文学部国文学科 野中潤先生に聞く
ケーススタディ3
子ども園から大学まで「図書館中心の学校」コンセプトを進める
~追手門学院大学国際教養学部教授 湯浅俊彦先生に聞く
第3章 どうなる?これからのデジタル出版
デジタル出版で市場や教育現場はどう変わるか
インタビュー1 専修大学文学部教授 植村八潮生に聞く
インタビュー2 滋賀文教短期大学国文学科講師 有山裕美子先生に聞く
第4章 学校現場でのロマンサー活用事例
第5章 ロマンサー導入校に使用感をアンケート
おわりに
前書きなど
はじめに
この本を手にとってくださった皆さんは、今どんな立場にいらっしゃるでしょうか。学校で教えておられる先生か、学ぶ立場の生徒や学生さんでしょうか。それとも教師を目指して勉強中、という方々でしょうか。または、生徒や学生の保護者の方々かもしれません。
本書は「教育とICT」をテーマにしています。ICTとはInformation and Communication Technologyの略で、情報通信技術のことです。
読者の皆さんが10代、20代ならば、生まれたときからインターネットやデジタル機器(パソコン、タブレット、スマートフォンなど)があるのが当たり前で、ICTを特に意識することもなかったでしょう。
一方で、筆者を含め40代以降の方たちにとってはICTの登場はまさに革命ともいえるものでした。この数十年で私たちの生活は、アナログからデジタルに大きくシフトしてきました。
さて教育の現場に目を向けてみると、デジタル化はまさに「現在進行形」のテーマといえるでしょう。
一口に教育のICT化といっても、さまざまな手法が考えられます。先生が白いチョークで手書きしていた黒板を電子黒板に変えるのもデジタル化ですし、生徒がデジタル端末を使ってインターネットにつないだり、紙の教科書の代わりにデジタル教科書で学んだりすることも、ICT化といえます。文部科学省が2020年に、「生徒1人1台のデジタル端末利用」という「GIGAスクール構想」を打ち出したのも、皆さんの記憶に新しいと思います。
教育現場のICT化は、このような授業そのものへの活用だけではありません。例えば生徒の学習状況や個人状況の記録を取ってデータ化することで、生徒の「エンゲージメント(学校や授業への満足度、愛着心)」を分析し、生徒の抱える課題にいち早く気づいたり先生が指導するときの参考にしたりするのも、教育のICT化の一つということができます。
こうしたさまざまな手法がある中で、本書は特に「国語の授業でのICT活用」に焦点を当てました。国語といえば「読む」「聞く」「書く」「話す」が基本といわれていますが、そこにICTを取り入れると、教え方や学び方はどのように変わっていくのでしょうか。
そのカギであり、本書のキーワードにもなっているのが「デジタル出版」です。
紙の本や雑誌を出版するというのは、誰もが日常的にできることではありませんが、電子書籍を制作して公開するデジタル出版ならば、比較的手軽に行うことができます。 教育現場でデジタル出版を活用すれば、読者を意識して文章を書いたり、できた作品を生徒や学生同士で批評しあってブラッシュアップすることによって、「国語力」が飛躍的に向上する可能性があります。
ここで登場するのが、ボイジャーが提供するデジタル出版ツール「Romancer(ロマンサー)」です。ロマンサーを使えば、文章作成、編集、電子書籍化、そして公開まで誰でも簡単に行えます。
そこで本書では、ロマンサーによって授業の質の向上に成功している学校へのインタビューを通じて、「国語の授業の最前線」をお伝えしていきます。
第1章では、ロマンサーがどのようなツールなのか、基本的な使い方とともに解説します。学校での利用に特化した「ロマンサークラスルーム」との違いも紹介しました。
第2章では、ケーススタディとしてロマンサーを国語の授業に活用している学校を紹介します。
第3章では教育とICTの未来について、デジタル出版や学校図書館に造詣の深い先生方にインタビューを行いました。
第4章では、先生や生徒による、ロマンサーを使った作品事例を集めました。
第5章では、第2章、第3章のほかにロマンサーを導入している学校の先生方へのアンケートを紹介しています。
本文で出てきた専門用語は、注のページで詳説しました。
本書を通じて、ICTの導入による国語の授業がここまで進化しているということを、ぜひ感じ取っていただければ幸いです。