紹介
「地域の文化を継承し、芸術鑑賞に新たな道を開く」取り組みの事例
日本の各地域に存在する有形・無形の文化・芸術資産は、そ
の保存や維持・継承において、自然災害や人手不足、維持費
用など困難な課題が増え続けており、存続自体が難しくなり
つつあります。
一方、こうした現状を打開すべく、最新のデジタル技術やICT
を活用し、文化資産等の存続と活用を図る新しい取り組みが
進められています。
本書は、地域の文化・芸術を守り、活かし、多くの人と共有
して広げていこうとする志を持つ人々の取り組みをクローズ
アップした事例集です。
●本書掲載の事例(一部)
・一般開示が困難な収蔵文化財の高精細レプリカを作成し、
時と場所を選ばず展示可能にした博物館
・コロナ禍で、劇場とネット配信を融合させたオンライン・
リアルという新たな演劇スタイルに挑戦した公演主催者
・警備員不足の課題を抱える「花火」開催に、ICTによる混雑
の可視化を取り入れ、人員の最適配備をめざす自治体
・名画を鑑賞できるくつろぎ空間を設け、入居者に憩いの場
の提供をめざす介護施設・デジタル版の浮世絵展示と和室空
間を設け、海外客に日本文化の再体験を提案する空港ラウンジ
・その他ユニークな事例を豊富なカラー写真とともに紹介。
目次
Interview 東京藝術大学 社会連携センター 特任教授
伊東 順二 氏
アートはテクノロジーとともに進化 デジタルで地域の文化をより豊かに
第1部 地域の文化・芸術を「守る」
1章 山梨県立博物館
収蔵文化財の高精細レプリカを作成 時と場所を選ばず展示が可能に
2章 東急文化村
新しい芸術の楽しみ方を提供 「オンライン・リアル」で演劇を上演
3章 青森ねぶた祭
「ねぶた」をデジタルでアーカイブ化 地域の伝統を継承し すそ野の拡大へ
4章 木更津港まつり
歴史を引き継ぐ港町の盆祭り 花火大会運営にICT を活用し伝統を継続
5章 増穂登り窯
登り窯の伝統技術を継承する 焼成作業の映像・データを蓄積
第2部 地域の文化・芸術を「活かす」
1章 株式会社アルステクネ
独自のデジタル復原技術で本物の感動を再現 モネ、北斎の所蔵者が公式に認定
2章 東日本電信電話株式会社、株式会社NTT ArtTechnology
地域文化・芸術の伝承へICT を活用 そして、新しい鑑賞のかたちへ
第3部 地域の文化・芸術の「感動を伝える」
1章 ヒルデモアたまプラーザ(東京海上日動ベターライフサービス)
新設ヒュッゲにデジタル絵画を展示 入居者に心豊かな生活を
2章 NARITA PREMIER LOUNGE
空港ラウンジにオンラインデジタル北斎 日本文化に触れ「また訪れたい」との思いを
3章 NTT 東日本 関東病院
病院で美術館の名画を鑑賞 患者の心の負担を軽くし癒したい!
4章 袋井市
東海道五十三次と地域の縁を活用 まちの魅力づくりにデジタルミュージアム
付 録 「Digital ×北斎【破章】北斎vs廣重」ガイド
Ⅰ 「所蔵元認定の高精細デジタル化技術」×オンラインで実現する
デジタル絵画の
新たな鑑賞
Ⅱ 展示絵画の一部紹介
:「冨嶽三十六景」「東海道五拾三次」より