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フランツ・シューベルト あるリアリストの音楽的肖像 (〈叢書ビブリオムジカ〉)

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詳しい情報
出版社: アルテスパブリッシング
単行本(ソフトカバー): 192 ページ
ISBN-10: 4865591591  ISBN-13: 9784865591590  [この本のウィジェットを作る]

紹介

21世紀のシューベルト伝がここに登場!
ベートーヴェン亡きあと、シューベルトが一変させた音楽風景は、作曲家の生涯にわたる戦略の産物であった——
歌曲王の名をほしいままにしながら、アマチュア作曲家とみなされることも多かった従来のシューベルト像を一新。《冬の旅》《魔王》《未完成交響曲》など、抒情性に満ちた旋律を紡いだ天才作曲家の実像を初めて描き出す!

目次

日本語版の読者へ
 はじめに
第一章 シューベルトのウィーン
 音楽都市ウィーン
 創造の背景としての友人サークル
 自由に創造した最初の作曲家?
 ビーダーマイアーとフォアメルツのあいだで ─ 音楽における交際の文化
第二章 最初のチャレンジと早熟
 諸ジャンルの体系的制覇
 最初のトレードマーク ─ シューベルト歌曲なるもの
 初期交響曲とその背景
第三章 危機、突破、そして確信
 ベートーヴェン危機
 豊かな断片
 未完成における完成
第四章 めぐまれぬ愛 ─ 音楽劇
 ジングシュピールから「英雄的・ロマン的オペラ」へ
 舞台での成功と挫かれた希望
第五章 公のための作曲
 大交響曲への道
 室内楽と交響曲
 委嘱と信仰告白のあいだで ─ 宗教声楽曲
第六章 若き日の後期作品
 大規模な連作歌曲
 作曲の新天地、そして最後のプロジェクト
 後年の自負 ─ シューベルトと出版社
エピローグ シューベルト受容
 訳者あとがき

附録 人名索引
   作品索引
   文献一覧 楽譜と作品目録/原典とドキュメント/定期刊行物と辞典類/研究書/論文

前書きなど

◎日本語版の読者へ
 フランツ・シューベルトの人生と作品をめぐるこのささやかな書物が、いま日本語版で世に出ることは、私にとって大いなる喜びの源です。
 日本人の皆さんがヨーロッパの音楽文化に高い関心を寄せ、とりわけシューベルトの音楽を愛していらっしゃることは、よく知っています。ですから、長年にわたる私のシューベルト研究を凝縮する今回の挑戦が、人を惹きつけてやまぬこの作曲家を理解することに役立てれば、と願っています。
 シューベルトにかんしては一〇〇〇頁書くこともわけないでしょう。しかしながら本書のドイツ語版は、シリーズの本を限られた規模で統一するという出版社(ミュンヘンのベック社)の方針に則ったものでした。ですからこの小さなフォーマットは、対象をもれなく描き出そうとする書き手たちにとって大きなハードルです。と同時に、集中と凝縮を要する点では好都合でもありました。
 「天国的な長さ」―驚嘆すべき先達の音楽に、ロベルト・シューマンはそんな証言を残しました。この言葉は、シューベルトの音楽の性質そのものであると同時に、シューベルトの音楽によってのみ解かれるべきものである、と言わねばなりません。この音楽を描き出すために、そっくり同じ「天国的な長さ」が必要とされるわけではないからです。
 短いながらも本書が目指すのは、シューベルトについて今日知られていること、つまり最新の研究状況を余さず写し取ることによって、初めてシューベルトに取り組もうとしている聴き手や読み手に、理解のためのよき道を開くことです。それがうまくいっていることを祈ります。
 翻訳者である堀朋平さんには大いに感謝しています。私の文章をていねいに訳してくれただけでなく、矛盾点をいくつか発見し、私とのやり取りを経て解決してくれました。そういうわけでこの日本語版は、元のドイツ語版の最新かつ最も正確なバージョンと言えるでしょう。
 願わくは、本書がシューベルトの音楽の喜びを高めてくれんことを!

   二〇一七年一月   ハンス=ヨアヒム・ヒンリヒセン


◎はじめに
 フランツ・シューベルト(一七九七〜一八二八)が、音楽史のなかで最も重要な作曲家に数えられるのは疑いない。しかしながら、多くの音楽愛好家にとってその伝記は、決まり文句とありきたりなレッテルに覆い隠されてしまっている。
 かつてハインリヒ・ハイネは、カントについて「人生も歴史ももたない者の生涯は記述できない」と述べたが、これはむしろシューベルトにこそ当てはまるだろう。生誕の地に長年とどまり続け、大旅行も国外滞在も恋愛もせず、家族への気遣いをすることもなく、王政復古が始まった頃のウィーンにあってシューベルトは、たしかに外見上はまったく平穏無事な生活を営んだ。しかし、正確な日付の記録すらほとんどもたない上辺だけの伝記でも、深い洞察をもって、彼の音楽的思考の問題史と結びつけてみると、かくも華々しからざる印象を与える見かけの背後に、並外れて個性的な芸術家の人生が見えてくるにちがいない。
 シューベルトの人生の構造パターンを明らかにしてくれるのは、その活動を可能にしたもろもろの条件が織りなす布置と、音楽作品そのものの構成である。社会的な活動領野をピンポイントで開拓していったその手際と、個々の音楽ジャンルを驚くほどシステマチックに習得していった様子が見てとれるだろう。こうした事情に沿ってシューベルトの短い人生は語られ、理解される。
 あまたの素材をおよそこのような仕方で構造化することを、本書は試みる。今日まで絶えず聴かれてきた音楽を、それを可能にした諸条件から説明するだけでなく、そこから進んで、音楽をさらに深く理解する一助となるなら、本書の使命は果たされたことになる。
 本文で引用されている文章は、巻末の文献表に挙げた資料集に依った〔邦訳がある資料集からの引用に際しては、原著の略号と頁数/邦訳の頁数の順に表記した。ただし訳文は堀による〕。
 シューベルト作品を名指すにあたっては、慣例にならい、オットー・エーリヒ・ドイッチュが時系列順に整理した作品目録の番号が使われる。
 通貨の換算にかんしては、戦争によるオーストリア国家の破産に伴って一八一一年から実施された貨幣改革が考慮されている。新たに導入されたウィーン通貨(W.W.)の紙幣グルデンによって、かつての協定貨幣(C.M.)によるグルデンが五分の一の貨幣価値(一八二〇年からはその倍の比率に固定)に置き換えられたのである。あくまで臨時の予定だったこの新通貨は、しかし一八四八年の革命以後も用いられた。
 本書の素案を講義で聴いてレスポンスを示してくれたチューリヒの学生に感謝する。また草稿に批判的なコメントを寄せてくれた多くの同僚諸氏にもお礼を申し上げる。
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