目次
はじめに…2
第1章●4年の理科で大事にしたいこと
1.4年生の子どもって 6
2.単元相互のつながりを 6
3.空気の性質をとらえる 「空気と水」 7
4.いろいろな物の温度変化をとらえる 「物のあたたまり方」 8
5.物の温度が変わると体積も変わる 「物の温度と体積」 8
6.物は温度によって固体・液体・気体になる 「水の3つのすがた」 9
7.空気中には水蒸気がある 「水のゆくえ」 10
8.電気学習では回路をたどろう 「電気のはたらき」 11
9.ヒトにも動物にも骨と筋肉がある 「体のつくりと運動」 11
10.生き物は温度の変化にあったくらしをしている 「季節と生物」 12
11.天気の様子と気温の変化をとらえる 「1日の気温の変化」 13
12.水は高いところから低い方に流れる 「雨水のゆくえと地面の様子」… 13
13.実際の月や星を観察しよう 「月と星」 14
第2章●4年理科教科書はどんな内容か
4年理科教科書・各社の単元構成一覧 15
(1)単元の配列について 16
(2)生物関係単元 16
「季節と生物」 16
「動物のからだのつくりと運動」 17
(3)地球・宇宙関連単元 17
「天気と気温」 17
「雨水のゆくえと地面の様子」 18
「水のゆくえ」 19
「月と星」 19
(4)物の性質の関連単元 20
「電気のはたらき」 20
「空気と水」 20
「物のあたたまり方」 21
「物の温度と体積」 22
「水のすがたとゆくえ」 22
(5)教科書に示された「理科の学び方」 23
第3章●授業をどのように進めるか
(1)単元目標を明確に 24
(2)教材と学習課題づくり 24
(3)授業のなかで「書くこと・話し合うこと」は 25
(4)1時間の授業をどうすすめるか 26
①学習課題は実物を示しながら具体的に提示する 26
②「はじめの考え」を発表する 27
③教師による演示実験をする 29
④グループ実験をする 30
⑤「実験したこと・確かになったこと」を書く 30
〈つけたしの実験〉 31
第4章●年間指導計画はこうしたい
4年理科年間指導計画案(86 時間) 32
第5章●こんな授業にしたい
1.季節と生物 37
2.1日の気温の変化 49
3.電気のはたらき 回路をたどろう 回路をつくろう 53
4.体のつくりと運動 64
5.月と星 71
6.雨水のゆくえと地面の様子 84
7.空気と水 91
8.物のあたたまり方 108
9.物の温度と体積 118
10.水の3つのすがた 物の温度と三態 133
11.水のゆくえ 152
おわりに…158
※ QR コードで動画が見られます。すべて教師向けの実験動画です。
〈掲載ページ〉 p.93, 98, 101, 116, 134, 136, 138, 140, 142, 147
前書きなど
4年生の理科の教科書を見ると、物質にかかわる単元が多くあり
ます。「空気と水」「ものの温度と体積」「ものの温まり方」「すがた
を変える水」「自然の中の水のすがた」といった具合です。教科書で
扱うのは、空気と水が中心ですが、コラムなど読み物のなかには他
の物質にも触れているので、その辺りも丁寧に扱うと、子どもたち
に身のまわりの物質(固体・液体・気体)に興味をもたせることが
できます。
1学期の「空気と水」の単元では、「空気は押し縮められるけど水
は押し縮められない」ことを、実験をとおして学ばせましたが、ど
うしてそうなるのかまでの興味をもつ子どもは少なく、「飛び回る気
体分子の話」をしても理解してくれる子どもはわずかでした。ここ
では、空気鉄砲や水ロケットを飛ばすなどの活動を通して、空気の
圧縮性とバネのような働きの個別認識をつくっておくことも大切だ
と感じました。
3学期になって、「物の温度と体積」あたりから、なぜそうなるの
かと考え質問してくる子どもや、自分なりの意見をもてる子どもも
増えてきました。例えば、気体の入った注射器を冷やすと中の空気
の体積が縮む、逆にその注射器を温めたらピストンが外側に動き中
の空気の体積が大きくなったことに「なぜそうなるの」と質問が何
人からも出ました。そこで前の気体分子の話をもう一度すると「な
るほど、そうか。気体の粒がぶつかってピストンが押し出されるん
だ」と考える子が出てきて広まりました。次の、「ガラス管をつけた
フラスコを逆さにし、水の中にそのガラス管の先をつけておき、手
で温めたら、中の空気は出てくるのだろうか」という課題では、「フ
ラスコの中の気体分子がガラス管の中でもぶつかっているから、ガ
ラス管を通って出てくる」と考える子が出ました。その後、液体や
固体も温度を上げるとわずかですが膨張することを、分子の振る舞
いで考える子も多く出てきました。さらに、温度計の仕組みや、線
路や橋が伸び縮みする仕組みにも興味をもって学習を終えることが
できました。
3学期の「水の3つのすがた(物の温度と三態)」で、水以外の物
質も扱うことで子どもたちから「へーなるほど、そういうことか」と、
あらためて固体・液体・気体といった物質の世界を楽しむ声が上が
ってきました。例えば、アルコールや水の液体から気体への変化を
やった後、気体のブタンを試験管の中に入れて冷やすと液体になり、
手のひらで持っただけで沸騰してくること、水以外にも冷やせば固
体になることを氷酢酸でやり、これまた手で温めただけで液体に戻
るだけでなく、固体の酢酸が沈んでいること、金属のスズが熱する
と簡単に液体になり、冷えて固体になると真ん中がへこんで体積が
小さくなることなど、いろいろな物が温度ですがたを変え、体積も
変化することに気づいていきました。分子の世界は中学校や高校で
詳しく学習しますが、その理解の土台となる物質学習をここで存分
にやっておきたいものです。
本書には、10 ヵ所にQR コードを掲載しました。これらを開くと、
先生方向けに作った手順やポイントの動画が見られます。予備実験
を尾籠なるときの参考にしてください。
もくじにQR コード掲載ページを載せました。
小幡 勝