目次
まえがき
序論 バタイユからの社会学
1 バタイユの社会学的意義
(1)〈生成の社会学〉の発展
(2)非合理的な行為の理解
(3)社会学の源流にあった問題関心の継承と発展
(4)バタイユの社会学的研究の課題
2 精神分析の空間と社会学の空間
(1)作田啓一のラカン解釈
(2)ラカンから社会学へ
3 〈リアル〉–〈シンボル〉–〈イメージ〉
4 ウェーバー、フーコー、大澤真幸
(1)ウェーバーとバタイユ
(2)フーコーとバタイユ
(3)大澤真幸とバタイユ
第一章 至高性の社会学
1 バタイユの体験──剝奪、脱自、笑い
(1)剝奪の体験
(2)笑いの体験
(3)内的体験
2 バタイユの至高性
(1)存在と存在者
(2)至高性と主体性
(3)至高性と至高者
3 三次元の社会学理論
(1)二次元の理論から三次元の理論へ
(2)至高性の想像的表象
(3)言語の機能──認識と表現
(4)交流──〈リアル〉次元のコミュニケーション
(5)三次元のコミュニケーション──〈リアル〉〈シンボル〉〈イメージ〉
第二章 聖社会学から生成の社会学へ
1 バタイユと社会学
2 社会学研究会と聖社会学
3 カイヨワとバタイユ
4 レリスとバタイユ
5 デュルケームとバタイユ
第三章 生成の社会学の方法論──体験と制度
1 デュルケームの方法
(1)社会学的方法の規準──対象を物のように考察する
(2)文学の活用
(3)沸騰の記述と共感的理解
(4)リアルなものへのアプローチ
2 バタイユの方法──「体験」から制度へ
(1)不可能な体験の記述
(2)「無神学大全」の方法
(3)「体験」の存在論的解釈
(4)供犠の体験と供犠の制度
(5)『呪われた部分』の方法──認識と交感
(6)『エロティシズムの歴史』の方法──総体と起源
(7)『至高性』の方法──「体験」と制度の境界線
3 〈生成の社会学〉の方法論
(1)考察対象の選択
(2)データの収集
(3)データの解釈と分析
第四章 聖なるものの社会学──体験、象徴、表象
1 デュルケーム理論と聖なるもの
(1)人間の二元性と聖–俗の二元性
(2)宗教と概念的思考
(3)積極的祭祀と暴力の問題
2 バタイユ理論と聖なるもの
(1)内在の聖と祝祭の誤認
(2)聖俗の境界移動と世界観の変容
(3)デュルケームの二元論的パースペクティブの限界
3 〈聖なるものの社会学〉の批判的継承
(1)集合的沸騰、聖なるシンボル、集合的思考
(2)溶解体験、拡大体験、連鎖体験
(3)体験、シンボル、イメージ
結語──「主体」、自我、社会
第五章 人間の聖性について―デュルケーム、バタイユ、アガンベン
1 デュルケームの人格崇拝論を再考する
(1)近代社会における人格崇拝の成立
(2)人間の聖性は集合的沸騰から生まれるか
(3)国民であること/人間であること
(4)難民における尊厳の剝奪──アーレントとバウマンの分析
(5)不可視の積極的祭祀
(6)人間の聖性の両義性
2 アガンベンのホモ・サケル
(1)主権権力と剝き出しの生
(2)人格の尊厳とホモ・サケル
3 至高性、交流、剝き出しの生
(1)交流と分有──バタイユとナンシー
(2)アガンベンのバタイユ批判
(3)剝き出しの生からリアルな生へ
(4)嫌悪、羞恥、共苦–共熱
(5)バタイユはアウシュヴィッツとヒロシマをどうとらえたか
第六章 剝き出しの生と交流──難病ALSの剝奪体験をめぐる省察
参考文献
あとがき──〈バタイユからの社会学〉の来歴
謝辞
初出覚え書き