目次
第1章 私たちに与えられているもの
(1) 心と身体は宇宙からやってきた?(2)なぜ、人によって性格が異なるの?(3)幸せのもと
第2章 生きるってどういうこと?
(1)私たちが選べること、選べないこと(2)生きる意味(3)正しい道を行く
第3章 人に嫌われない生き方
(1)決してしてはならないこと(2)後で悔やむもとをつくらない(3)いつでも善い自分に戻ることができる
第4章 士って、どんな人?
(1)自分をよく律している(2)何が大事か、よく知っている(3)ゆったりしている
第5章 なぜ勉強しなければならないの?
(1)自分の持ち味をみつける(2)ひとりよがりは禁物(3)誰もがなれる、本当のエリート
第6章 私たちは何らかのチームに属している
(1)家庭(2)会社(3)地域社会、国
第7章 人生のクォリティを高める
(1) 小さな野心は捨てる(2)負けるときは負けてしまえ(3)急ぐことはない
第8章 存在感を高める
(1)いつもポジティブにしている(2)悪い見本にならない(3)自分を客観的にみる
第9章 天は万物の根源
(1)私たちはいつも見えないものに見られている(2)ひらめきは突然天からやってくる(3)天の恵み
前書きなど
皆さんは、こんなことを思ったことがあるはずです。“自分はどんな存在なのだろう? どう生きたらよいか?” こうした問いかけに、しっかり答えてくれるのが「論語」です。
「論語」は、今から約2,500年前に活躍した中国の思想家孔子(紀元前551〜前479年)とその弟子が語った言葉の中から、孫弟子らが、後の人たちに伝えたい言葉(語)を論議して選んで記録したものです。論議して語を選んだ、だから「論語」というのですね。
そこに書かれている言葉は、私たちが日ごろ気がつかない、心の奥底にある大事なものを呼び起こしてくれます。何より、心が爽やかになって元気が出る魔法の言葉がたくさん入っています。そして、どう生きたらよいか、しっかり教えてくれます。かつては、日本人のほとんどが「論語」を学んでいました。
不思議なことに、「論語」の言葉が意味するものは、今日の天文学や宇宙物理学で言っていることと同じなのです。孔子は、夜空に輝く調和を保って整然と運行する星と、人や世のあるべき姿とを重ね合わせて観ていたのかもしれません。
「論語」を読むと、頭がすっきりして学習能力がとても高まります。それに自分の立ち位置や生き方がよくわかります。行き詰まったときや落ち込んだ時「論語」を読むと、必ず求めている言葉が見つかって、心が安らぎ、元気がわいてきます。きっと、今かかえている迷いや悩みが消え去って、自信がわいてくることでしょう。
まさに時空を越えた孔子の簡潔な言葉に、大きなパワーが秘められているから、ざっと2,500年もの長い間、「論語」が人生のガイドとして読み継がれてきたのです。
日本には、「論語」は、5世紀の初頭、実用的な教えとして、易、暦、医、天文学などとともに大陸から伝来しました。そして、日本人が読みやすいようにした“読み下し文”がつくられました。この“読み下し文”は、奈良や平安、江戸時代によって、また解釈する人によって、異なっています。
昭和の文芸評論家、小林秀雄は“「論語」は、こうでなければならない、という固定的、絶対的な解釈はない”、と言いました。その言葉のとおり、令和にいたる今日までなお「論語」の読み直しや研究がなされがなされています。
江戸時代後期の禅僧で歌人、良寛は、「論語」から、心に響く言葉を選んで抜き出し、子どもにもわかるように訳しました。そうやって抜き出した言葉は、強い生命力を感じさせるものになっています。この本では、この良寛のやり方にならって「論語」を解説しています。
なお、本書は、筆者が主宰する勉強会用の冊子『だから私はこう生きる』をベースにしたものです。この本が、「君はどう生きるか?」と聞かれたら、「だから私はこう生きる!」と答える手引きになりましたら幸いです。