目次
第一章 恋の悩み
明烏/お見立て/紙入れ/禁酒番屋/紺屋高尾/崇徳院/粗忽長屋/たらちね/つる/手紙無筆/出来心/錦の袈裟/初天神/不動坊/宮戸川
長屋コラム(1)
第二章 お金の悩み
家見舞(こえがめ)/掛取万歳/持参金/死神/大工調べ/だくだく/壺算/時そば/文七元結
長屋コラム(2)
第三章 仕事の悩み
愛宕山/井戸の茶碗/鰻の幇間/大山詣り/火焔太鼓/蝦蟇の油/金明竹/子ほめ/蒟蒻問答/真田小僧/たいこ腹/代書屋/たがや/試し酒 /転失気/道具屋/動物園/富久/中村仲蔵/抜け雀/寝床/反対俥/船徳/風呂敷/妾馬/目黒のさんま/百川
長屋コラム(3)
第四章 家族の悩み
牛ほめ/片棒/小言幸兵衛/七段目/宗論/寿限無/酢豆腐/堀の内/まんじゅう怖い/悋気の独楽
長屋コラム(4)
第五章 人生の悩み
あくび指南/居残り佐平次/浮世床/たちきり/短命/転宅/長屋の花見/干物箱/元犬/桃太郎/宿屋の仇討ち/湯屋番
長屋コラム(5)
第六章 夫婦の悩み
青菜/鮑のし/厩火事/代り目/子別れ/権助魚/芝浜/粗忽の釘/天災
長屋コラム(6)
第七章 その他の悩み
お化け長屋/親子酒/看板のピン/強情灸/皿屋敷/品川心中/たぬき/千早ふる/茶の湯/天狗裁き/道灌/二番煎じ/ねずみ/野ざらし/はてなの茶碗(茶金)/平林/宿屋の富/らくだ
前書きなど
あとがき
悩み多き現代社会、そんな日常に疲れた人たちが迷い込むように、都会の片隅の、ある長屋へとやって来る。その長屋には、いつも楽しそうな笑い声が満ち溢れている。ここは一体どこなんだろう。
そこは落語長屋。ここに来れば、ご隠居、漢学者、大工の棟梁、魚屋のおかみさん、花魁なんていう人たちがいて、あなたのお悩みに素敵なアドバイスをしてくれる。
身上相談で落語の演目を紹介しようというおバカなことを考えたのは、佐藤友美と田谷悠紀だ。それを面白がってホイホイ原稿にしたのが、小出美河子と木下真之。身上相談の回答者のキャラクター作って、ヘンテコな相談をぶち込んだのが稲田和浩。
二○○五年の「落語ワンダーランド」(ぴあ)、世の中が落語ブームだなんて言われはじめた頃に、落語をもっと知りたい人向けに作られた入門書。その中で、「お悩み別作品ガイド100、噺の処方箋」というコーナーは、現代人のお悩みを、ズバリ落語で回答! お悩み相談をきっかけに落語の演目紹介と解説を試みた。
本著は、「噺の処方箋」を大胆に加筆修正、回答者のキャラクターも若干変えて単行本化したものである。
この本では百席の落語をお悩み解決のキーにしたけれど、落語にはホントに現代人のお悩みの助けになる言葉がたくさん出て来る。
落語の人物の言葉や行動は突飛だけど、生きるってことの真理がある。
ちょっとくらいなら悪いことしてもいいんだよ、自分に正直に生きなよ。貧乏でも楽しく生きる秘訣がある。酒飲めばいい気分になるし、恋をすれば身綺麗になって、人に優しくなれる。頑張っても成果が出ない時は、運が悪かったと思えばいい。あわて者でも愚か者でもちゃんと生きている。そんなもんです。
人生に躓いたら落語を聞いてください。なんかの役に立ちます。少なくとも笑えます。寄席はあなたを待っています。
本書では、お悩み相談の文中で、落語の紹介、解説を行った。また、落語の中に出て来るフレーズを元にした解説(稲田)、この一席を聞くならこの人、とご案内した「この一席!」(著者五人で、ふりわけ。誰がどの項を書いたかは秘密)を加えた。
表紙や文中の写真撮影をしていただいた武藤奈緒美さん、モデルになっていただいた三遊亭きつつきさん、描き下ろしのイラストはSORANAさんと、皆様のおかげで本になりました。
そして読んでくださいました皆様、伏してお礼申し上げる次第。左様。
著者一同