目次
プロローグ
1 小熊 捍
無類の動植物好き/「千里眼事件」/科学的に考えることの大切さ/「理学モノグラフ」誕生の触媒として/絵画にオペラ/そして建築も/芸術がとりもつ縁/小熊のネットワーク
2 牧野佐二郎
戦争中ではあっても/双子に生まれて/染色体をきわめる/雑誌『生物』を編集
3 堀 健夫
身に沁みた原爆/アインシュタインに理想をみる/壺中の天地/壺中から天地の隅々まで知る/数学に惑わされないよう/低温研と中谷宇吉郎/防霧林の研究/低温研の所長として
4 今堀克巳
今堀と堀/音を見る/趣味が高じて/戦時への反省/してやられた!/サイバネティックスに注目/ローマ字/早すぎた死
5 山田幸男
『コンブ』/北海道帝大へ/研究のための組織/学問は産業に役立たねば
6 太秦康光
処女水/こつこつと、徹底的に/英語の辞書も/『イリノイ記』/馬術部の部長/北海道化学協会/函館高専へ/明治への郷愁
7 高山坦三
『呪われた血液』/戦争中、ろうそくの光で/医 道/札幌医科大学へ/江戸趣味の通人
8 内田 亨
ミツバチは色がわかるか/動物学者として/随筆家として/ウチダザリガニ/疋田豊彦/「動物系統分類学」
9 桑原萬壽太郎
ミツバチの謎/本との出会い/九州大学へ/理科教育への苦言/音楽を愛して
10 安田守雄
酸素の負債/体育研究所の技師として/脂質化学の研究/医学部長として/実践女子大学へ/スポーツマン、安田
11 守屋美賀雄
地図帳の出版社、帝国書院/守屋美賀雄/数学史のなかの「無限」/教育者として/イールズ事件/カトリック信者 守屋の反論/原則を崩すことの危険性/学長として/「坊ちゃん」のように生きる
12 菟原逸朗
台湾の高校教師として/触媒研究所へ/『化学とゆうもの』/神戸大学へ/堀内との対立/俳人として
13 吉田順五
熱輻射/低温研へ/積雪の研究/異分野の交流をめざす/ひとがら
14 芳賀 忞
染色体と遺伝/エンレイソウを研究/エンレイソウの歴史/九州へ
15 高杉直幹
『食物の行方』/智慾漢/レコード餠
16 竹脇 潔
カイコの化性を決めるもの/ホルモンに類するもの/ホルモン学の第一人者/並体結合/タケワキクモヤドリ
17 森 主一
道楽を本職に/『動物の週期活動』/一生懸命に戦争する/生態学の研究/生態学と社会/大学の民主化を求めて/手ごわい論客学長/バカの実験/ネバリ抜きたい
18 穂刈四三二
若き俊才たち/テンゾル学会/助手を辞めて学生に/『空間の全貌』/新制大学と北大の数学科/数学教育への献身
19 沼野井春雄
生体とカルシウム/高校の教師として/性教育/論理に基づく釣り
20 丘 英通
ヌートリア/帰化動物を救荒動物に/北海道に来るはずが/エスペランティスト/生体論/キリ ンの斑模様をめぐる論争/生物学一家の一人として
21 高島春雄
巨獣渡来考/山階鳥類研究所/動物分類学会/動物愛好家たちとの架け橋
22 花岡謹一郎
『雌雄性とその転換』/生命の泉の甘露に酔う/内分泌研究所
23 本城市次郎
生物にみられる「趨性」/調和をめざして/公選で教授に推薦される/放射線生物学/紛争中に総長代行
エピローグ
地崎宇三郎/北方出版社/書物への飢えと簇出する出版社/科学ブーム/北海道の強み/幻の「 理学モノグラフ」も/多様な出版物/学術雑誌の刊行/池田秀男/北方出版社の最期