目次
まえがき
第1章 新渡戸稲造──その業績と現代的意義
はじめに
出生から上京
札幌農学校──精神の誕生地
東京大学に再入学──太平洋の橋になりたい
札幌農学校教授としての貢献
札幌遠友夜学校を創設
八面六臂の札幌時代
本邦初の農学博士を授与
教育者としての多彩な活躍
請われて国際連盟事務次長に
コモンセンス(常識)重視の教育
第2章 武士道とキリスト教、そして若者の生き方
はじめに──「武士道」ゼミの開始
「本来の武士道」と「葉隠的武士道」
「新渡戸武士道」とキリスト教
「義」は人間が歩むべき道
「勇気」と「憐みの心」
「礼」の本質は尊敬と悲喜の共有
誠実──武士に二言はない
名誉──恥を知る心と忍耐力
忠義──誰に仕えるかが問題
武士は食わねど高楊枝──清貧と義の道
克己──感情を抑制する訓練
男も女も自己犠牲の精神を
武士道にキリスト教を接木(つぎき)する
武士道は消えたが、その精神は残る
「武士道」から「平民道」へ
若者たちへ──「新渡戸武士道」を学ぶ意義
第3章 新渡戸稲造『農業本論』の周辺
はじめに──北大農業経済学事始め
『農業本論』には初版と増訂版がある
『農業本論』出版の経緯
五章〜八章の農村社会学的考察
「農業の貴重なる所以」と河上肇の批判
農工商鼎てい立りつ論とフリードリッヒ・リストの影響
農工商鼎立論と新渡戸・河上
「国内市場としての農業の地位」への言及
農業貴重説の「結論」は増訂版で重要な追加がなされる
農業・農民を社会的安定基盤と位置づける
新渡戸・河上の「農工商鼎立論」と大塚史学
『農業本論』で地ヂカタ方学の必要を提起
「地方の研究」は柳田国男に継承される
新渡戸農業論・農政学の評価をめぐって
高岡熊雄の「農政学」と農工商併進論
高岡熊雄と北大農経の歴史学派的学風
第4章 新渡戸稲造と遠友夜学校──現代の教育課題とのかかわりで
はじめに
新渡戸稲造揮毫の二つの扁額
慈愛を根底にした人間教育
「学問より実行」──実学がつくる自律的人間
おわりに─現代の教育に示唆するもの
第5章 「遠友夜学校」校名の由来と「独立教会」
新渡戸夫妻はなぜ遠友夜学校を創ったか
校名には愛児・遠益の一字が重なっている
夜学校は「独立教会」信徒によって支えられていた
第6章 新渡戸稲造のナショナリズムと国際主義
はじめに
若き日の「熱狂的愛国主義」批判
愛国心に根差した国際心
体制迎合的知識人への警世
愛国心より憂国心
第7章 現代に示唆する新渡戸稲造
はじめに
「日本人」の再認識
日本人の精神的特質
武士道──戦後日本国民の道徳的覚醒
神道と愛国主義
「人格」観念とキリスト教
愛国心を土台とした平和主義
共存と寛容の思想
あとがき