目次
第1章 維新慶賀使一行とヤマトへ
※琉球王府より東京に派遣された維新慶賀使節に随行した朝賢が見たものは……
琉球王国の命運を担って/海路平安の祈願/一路鹿児島へ~琉球館投宿/厳島神社参詣/陸路、海路の費用/在京中の心得/品川港の風情/朝賢、嘉例者の誕生/母の語った奇談/「御涼傘の瑞祥」/朝賢の家族構成/命名の仕来り~喜舎場ぬ次郎/琉球王国の身分制度/恩師津波古親方/首里汀志良次の聞得大君御殿/世替わり後、晩年の朝賢
第2章 青春の頃
※儀保村に生まれた朝賢の少年時代から、国王の御側に仕える王府生活を垣間見る
ほのかな恋心~叔母への密かな憧れ/父君、朝苗と喜舎場家/喜舎場家のたたずまい/学問、手習い、「筆墨人」を目指して~「国学」への道/村学校所/平等学校/久米村の教育/「町方」以外の教育所/「清痘」、天然痘に罹る/尚泰王までも/泰王の面影、国王の御側仕え/国王の嘆き/城美童への思慕、忘れ得ぬ想い/初夏の昼下がり/衝撃の面影に再び……/朝のお美拝/王国最後の冊封~御内原、国王冊封の儀/北ぬ御殿/南殿・御書院/御内原への道筋/厳しい掟と仕来り/後宮三千?/蛍大名!/「一引き、二運、三器量」/「又吉アヤー」、「宮城アヤー」/男女の性/「ウェーダイ」一途……/窺い難い「大奥」の内実/内裏言葉/「名島」、名目上の領地
第3章 大航海時代の海鳴り 薩摩藩の思惑
※ジョン万次郎、ペリー艦隊の来琉をその目で見た朝賢
夷人との接触/島津藩政と「黒糖地獄」/藩主重豪/お由羅騒動/藩主斉彬擁立の背景/内憂外患、藩主斉彬/英国の攻勢~ベッテルハイム一家の来琉/妖術師「波の上の眼鏡」!/大英帝国、ベッテルハイム擁護に動き出す/洋銀の行方……/外圧への対策/厄介者ベッテルハイムの「陰の貢献」/「ジョン・万次郎」来航/黒船出現、ますます高まる「外圧」と「動乱」の時代/血気にはやる首里の若衆ら/ペリー艦隊一行の王城への行進を目撃/神輿に座す「大将」現わる/「守礼門」前の人垣/門前の対応/開門か否か、一触即発の危機/最後まで執拗な座喜味親雲上/大動乱期~その前夜、冊封~「御一世、御一度の大礼」/「廃藩置県」/朝賢の伝える内部事情~「史伝」/奈良原幸五郎、伊地知壮之丞、書記、伊地知小十郎を派遣/維新政府、正院に「琉球国の処置を議す」と報告/神の啓示か~異様な芙蓉の花/「慶賀の礼」表示に参朝すべし、との朝命/「宮古島島民の虐殺」/伊地知の琉球事情調査/左院「琉球藩王」を華族に叙するには異議/外務大丞柳原前光、宮本小一、琉球使節に面会/琉球藩という「幻」/琉球使の宿舎/初の東京見物/東京人の服装、髪型/「梅の木」を伊江別邸に移植/今なお、往時の面影を留める伊江別邸/明治は「治明」(おさまるめい)!/「藩王御請け」は、やむを得ぬことか/太政大臣三条實美ら新政府重鎮との交流
第4章 初めて明かされる「島津斉彬の極秘プラン」の内実
※道半ばにして急死した島津斉彬の対琉球政策とは?
薩摩藩主、斉彬の密命を帯びる「市来正右衛門広貫」/斉彬公の慧眼……/斉彬公には「三度目の正直」/市来正右衛門の経歴~「蒸気船を建造せよ」との藩主命/藩主斉彬、直々に市来に「琉球渡海の密命」/市来、いよいよ恩河親方と「密議」/座喜味親方弾劾の気配/一徹者、座喜味親方への想いを忘れぬ恩河親方/「琉装、琉人の名に徹すべし」/玉川王子に特別な思いを寄せる斉彬公/伊江王子御一行のこと/大湾親雲上を参画せしめよ/異例の人事介入/ 御内命執行の秘策……/人脈、血統を同じくする「門中」/仏人ら久米の松原に家を建て市井を来往/密命覚書を確認し合う/琉球着後の手はず/密命に対する「御請書(承諾書・合意書)」を迫られる王府/王府の試練/王府内の議論伯仲、二派に割れる/終局的な王府側の対処/市来正右衛門、変じて「伊地良親雲上」、仏人と交渉/事態急変~斉彬公急死、何たる事!/「切腹をも辞せず」/王府「ひとまず安堵」、しかし……/伊地良が死んだことに……/牧志・恩河事件
第5章 維新以前の大変革
「江戸、大坂の事などにつき手当致さずば相済まざる訳あり」/琉球国運天港の繁栄……/王府の新体制……/日本にして、日本に非ざる政体の琉球/かつての密使、市来の再来/明治天皇臨幸、鉄道開通/維新政府のバックボーン/維新政府トップによる琉使に対する「う取いむち」の実相/維新政府の仕組み/参朝慶賀の式/琉使、思わぬ光景に接す/吹上瀧見の茶屋にて歌の会/初めての天長節/帰国の途へ