前書きなど
はじめに
……冬の間に降り積もった雪が、まだ分厚く山肌を埋め尽くしている春の陽気の中で、うらうらと生気あふれる風に吹かれて草木が芽を吹き出し、めぐり来る萌芽の季節を迎えます。生気横溢する自然の営みに、私たちの心までもが晴れやかになるのは、自らの生命が共鳴するからではないでしょうか。自然を愛でることは、そうした意味において、永続的に受け継がれてきた自らの生命の確認、延いては心の活性化にも繋がるはずです。体験して、その喜びを味わってみてはどうでしょうか。
光の加減や風の匂いや肌触り、木々の葉むらのさざめき、草花のたたずまい、清流の澄んだ音色や散乱反射のきらめき、小鳥の啼き声、獣の気配、さらには雲の色調や形状などさまざまな自然の機微と交感し、自然が内包する生命のリズムや輝きを受けとめ、そこに生きた人たちの暮らしぶりにも思いを馳せながら一人でも多くの人たちにとって、このガイドブックが白神山地周辺の自然と人々の営みを愉しく理解するための手引きになれば本望です。