目次
凡 例
序 章
第1章 道徳を説明する
はじめに
道徳の領域
多元主義
強評価
道徳的実在論
宗 教
不可避のフレームワーク
高位善
物 語
明確化
構成善
理論と歴史
第2章 自己を解釈する
はじめに
自己の存在論的な面
自己解釈
目 的
対話的自己
自己の歴史主義的な面
方法論
明確な近代的自己
解放された自由
内的な深さ
本来性の表現
日常生活
実践的博愛
複数の自己
政治と自己
第3章 政治を理論化する
テイラーとコミュニタリアンの伝統
原子論
自 由
共和主義
愛国心
共有善
公的空間
限定的コミュニタリアニズム
権 利
市民社会
承認の政治
国家の中立性
結 び
第4章 知識を理解する
自然科学 対 人文科学
実践理性
科学革命
認識論を克服する
言 語
第5章 結び
―世俗性の源泉―
謝 辞
訳者あとがき
註
文献一覧
索 引
前書きなど
カナダ人の哲学者チャールズ・テイラーは、今日の英語圏で最も影響力があり、最も豊かな業績を生み出している哲学者の一人である。彼は、フランス語やドイツ語で書くこともあり、彼のいくつかの著作は、スウェーデン語、日本語、スペイン語、ギリシャ語、ポルトガル語、イタリア語、ポーランド語、中国語、オランダ語、ノルウェー語、トルコ語に翻訳されている。このことは、彼の影響が英語圏の読者の範囲をこえて広がっていることを意味している。テイラーの著作全体が示す最も顕著な特徴は、その広大さである(Miller 1995:26)。彼の研究は、人工知能についての考察から現代の多文化社会の分析にまで及んでいる。さらに重要なことは、哲学的な諸問題に取り組むときのアプローチの視野〔の広さ〕である。哲学的問題を考察する際にテイラーは、古代ギリシャやキリスト教、ルネサンス、近代思想についての知識のみならず、芸術作品についての鑑賞眼をも用いている。
……
[「序章」冒頭より/一部省略]