目次
序章 なぜいま型なのか
科学的アプローチに限界を感じて
科学を補完する「型」の可能性
1 型の分類
型の辞書的定義
型の両義性
2 「型」が拓く事物へのアプローチの可能性
非分析的性質が科学的アプローチを補完する
「型」の六つの特徴と本書の構成
第1章 …武道の型と特徴―心身の修錬と叡知の獲得
1 型を通じて何を学ぶのか
「型」からの要求
居合にみる「型」の例
2 統合的に身体知を把握する
「型」がもたらす部分と全体の統御
要素分解による形骸化
要素の定義や役割は変化する
3 型の叡智の習得
「型」と「師」
「型」の半保存性
叡智を客体化した「型」と、叡智を内在化した「師」の間で
異なる型体系に重なる叡智
4 方法論としての「型」
武道における「型」の普遍性
方法論としての「型」の特徴
補章1 武道への視線
古武術から武道へ、そして、競技武道=スポーツへ
武道の伝書
海外から見た武道
第2章 漢方の型と特徴―証と方剤の照応に見る叡智
1 傷寒論にみられる「型」
傷寒論とは何か
「証-方剤」関係の原理
2 本草学と理論による「型」の補完
本草学の発展
漢方医学を支える三つの柱
3 型体系としての傷寒論
「型」体系としての構成
六病位に沿った学習
病位を跨ぐ学習
4 「型」としての漢方
「型」の特徴への合致
言葉を用いる「型」として
補章2 漢方の歴史と科学
漢方の歴史
漢方への科学的アプローチ
漢方と科学のクロストーク
第3章 科学的方法論と型的方法論
1 科学とは何か
方法論としての科学
科学的方法論に含まれる事項
2 科学的方法論の特徴①―対象の定義の不変性・一意性
科学は対象を明示することから始まる
対象の定義は変更されない
3 科学的方法論の特徴②―要素間の関係性・因果関係
要素間の関係性と因果関係
生命科学にみる要素間の関係性
4 型的方法論の特徴
要素の定義可変性
要素間関係性の非一意性
5 主観性と客観性(合意と共有)
哲学・論理学にみる主観性と客観性
「型」の叡智が示す共同主観性
6 反証性、反駁性、テスト可能性
「型」と疑似「型」の境界線
「型」の更新可能性
補章3 科学と非科学・疑似科学
科学と疑似科学の「線引き問題」
ホーリズム(全体論)と科学
科学を被る
科学に代わる方法論の条件
二項対立を超えて
第4章……型が表現・伝達する叡智の質―把握・発露・現在
1 把握と理解―型的叡智と科学的叡智の受容の違い
科学における理解
「型」における把握
「型」の主体への内在化
2 発露と推論―型的叡智と科学的叡智の活用の違い
科学的叡智による推論
「型」的叡智の発露
主体に応じた「型」の発露
3 今この瞬間を大切にする型
叡智に対する時間感覚の相違
現在という瞬間
4 科学と「型」、それぞれに適する叡智
適した叡智の質
医学における叡智の質の相違―西洋医学と漢方医学
補章4 科学における理解と推論、型における把握と発露
理解と把握
科学における論理的推論
演繹法(deduction)
帰納法(induction)
アブダクション(abduction, retroduction)(仮説形成法・仮説的推論)
第5章 人間や生命にアプローチする型―易経・生命科学
1 人間への型によるアプローチ―易経
易経の型体系
易経にみる把握と発露
2 生命への型によるアプローチ―生命科学と記号論
解剖的アプローチ
システム的アプローチ
理論的アプローチ
構成論的アプローチ
記号論的アプローチ
「型」的アプローチによる生命の把握
生命科学への発露
「型」的アプローチにおける主体性の発揮
生命科学を刷新しうる創造性とは
補章5 生命科学研究の半世紀
生命科学のパラダイム
通常科学としての生命科学研究
第6章 イノベーションや創造力にアプローチする型―デザイン思考・アート思考
1 ビジネス界で議論される四つの思考法と分類
2 科学・「型」と四つの思考のトポロジー
「型」を作る―デザイン思考と共通性と「型」的運用
「型」としてのデザイン思考の運用
創造力を涵養する「型」―アート思考
アート思考を涵養する環境としての「型」―配置するが説明しない
アート思考する個人への「型」―先覚後知
結 型が切り拓く可能性
1 本書で明らかにしたこと
2 総合学に向けた「型」の活用
総合的な教育と研究の現状
「型」的な総合学の提案
3 生きた「型」の創出に向けて
あとがき
参考文献
English abstract
索引