目次
序章 帝国日本下の鉄道労働衛生分析
第1節 鉄道員の労働衛生に顕著に見える,帝国日本と戦時経済の特質
—本書の課題
第2節 看過されてきた,労働力の保持体としての鉄道員の労働衛生
—既存研究の問題点
第3節 「捻れた近代化」と,その戦前—戦後の連続性・断絶性を労働
衛生史に見る—本書の分析視角
第4節 本書の構成
第I部 日本国鉄と労働衛生
第1章 鉄道員と身体 (1907-1936)
第1節 労働衛生の成立と第一次世界大戦のショック
1 鉄道国有化の実施と労働衛生システムの成立
2 第一次世界大戦の勃発と職員健康の悪化
第2節 労働衛生制度の拡充と職員の健康・疾病
1 鉄道医療と保険・年金制度の強化
2 疾病からの回復と健康の維持
コラム 1 鉄道員とスペイン・インフルエンザ
コラム 2 逓信員の労働衛生㈵—日本逓信省
第2章 戦争と労働衛生 (1937-1945)
第1節 人的構成の変化と健康の悪化
1 労働力構成の変化と生活水準の低下
2 業務上死傷病の増加
3 業務以外の死傷病の増加
第2節 生活安定対策と戦時医療の拡充
1 生活安定対策と共済組合の強化
2 内部医療の拡充と身体的管理の強化
コラム 3 戦争と鉄道員
第3章 鉄道員と結核—国鉄における「国民病」の流行
第1節 国鉄労働者と疾病
第2節 国鉄職員の結核
第3節 結核への対策
コラム 4 女工と結核
第4章 国鉄と医師—鉄道医の制度的展開と学知の追求
第1節 直営医療機関の歴史的文脈
第2節 鉄道医,彼らは誰なのか
第3節 日本鉄道医協会と学知の追求
コラム 5 日本鉄道医協会の第一回総会
第II部 植民地鉄道と労働衛生
第5章 「南国」台湾における鉄道員と労働衛生
—植民地鉄道の労働衛生管理の始まり
第1節 台湾国鉄の植民地雇用構造
第2節 鉄道労働者の罹患と死亡
第3節 衛生管理対策としての共済組合と鉄道医療機関
コラム 6 台湾とマラリア
第6章 「半島」朝鮮における鉄道員の健康と疾病
—朝鮮国鉄の経営と労働衛生の展開
第1節 鉄道業の展開と植民地雇用構造
第2節 死亡率および罹病率の民族別・系統別実態—謎と逆説
第3節 労働衛生対策—誰のための病院と共済組合?
コラム 7 逓信員の労働衛生㈼—朝鮮逓信局
コラム 8 植民地鉄道病院の戦後再編—旧竜山鉄道病院を中心に
第7章 「大陸」中国における鉄道員の健康と衛生
—満鉄鉄道業を中心として
第1節 満鉄の事業展開と雇用構造
第2節 鉄道員の健康と疾病
第3節 労働衛生管理の展開
補 論 華北交通の労働衛生
コラム 9 南満医学堂から満州医科大学へ
終章 帝国日本下での「健康のパラドックス」
第1節 労働職場と疾病
第2節 内外からのショックと鉄道当局の対応
第3節 植民地雇用構造と対応策
第4節 総力戦下の鉄道員と労働衛生管理
第5節 産業医学,植民地医学研究としての鉄道医研究
第6節 近代化の経験と戦後の労働衛生管理
附表1 日本国有鉄道における従事員の死因別死亡率(千人当たり死亡数)
2 台湾国有鉄道における従事員の死亡率(千人当たり死亡数)
3 朝鮮国有鉄道における従事員の死亡率(千人当たり死亡数)
4 南満州鉄道株式会社における従事員の死亡率(千人当たり死亡数)
あとがき
参考文献
索引