目次
『参加・貢献支援の社会保障法ー法理念と制度設計』
西村 淳(神奈川県立保健福祉大学教授) 著
【目 次】
はしがき
◆第1部◆ 総論――社会保障の法理念と法体系
◆第1章 社会保障の法理念としての参加・貢献支援
Ⅰ 社会保障の法理念と改革の哲学の必要性
Ⅱ 社会保障法学における法理念論
1 生存権論
2 社会連帯論と自由基底論
3 参加・貢献支援論
Ⅲ 参加・貢献支援とは何か
1 参加・貢献に基づく権利
2 参加・貢献とは何か
3 社会保障の範囲論と体系論への含意
Ⅳ 社会保障法における人間像の変化
Ⅴ 実定法への含意
Ⅵ 参加・貢献支援論の課題
◆第2章 社会保障の規範的基礎――参加・貢献支援の社会保障法の背景となる思想
Ⅰ 社会保障の規範的基礎に関する問題意識
Ⅱ 日英社会保障制度史における権利の基礎
1 イギリス社会保障制度史からの抽出
2 日本社会保障制度史からの抽出
3 社会保障の権利の基礎としての就労・貢献,そして「参加・貢献」
Ⅲ 「参加・貢献に基づく権利」の法学的位置づけ
1 憲法理論との関係
2 労働法との関係
Ⅳ 規範理論との関係
1 シティズンシップ論と契約的福祉権論
2 正義論と社会保障の根拠づけ
3 承認論と社会的包摂論
Ⅴ 参加・貢献とその支援の社会的形態――労働・ケア・コミュニケーション,活動参加支援と意思決定支援
◆第3章 給付中心から支援中心の社会保障法へ――市民参加の観点から見た社会保障の法体系
Ⅰ 社会保障の法体系に関する問題意識
Ⅱ 社会保障法学における法体系論
1 これまでの法体系論
2 他領域の法理論との関係
3 仕組み別体系論――給付法・規制法・支援法
Ⅲ 市民社会への市民参加の三面性と支援法
1 社会の3つのセクターと欧米の市民社会論
2 日本の市民社会論
3 社会の3つのセクターへの市民参加と社会保障
Ⅳ 支援法の概念と内容
1 支援法の概念
2 支援法の内容①――政策過程参加支援
3 支援法の内容②――個別利用支援
4 支援法の内容③――地域支援
Ⅴ 社会保障法の転換――給付中心の法から支援中心の法へ
◆第2部◆ 各論①――保健医療福祉
◆第4章 ケアの倫理と社会保障法――関係的権利の観点から
Ⅰ ケアの倫理に関する問題意識
Ⅱ 関係性への着目と法思想
1 法思想の整理
2 各法分野での議論
Ⅲ ケアの倫理論
1 ケアの倫理への注目
2 ケアの倫理の発見
3 ケアの倫理と社会政策
Ⅳ ケアの倫理論の法学への応用
1 関係的権利論とは
2 介護と介護者支援
3 医療における意思決定
4 家族支援
5 介護と就労の両立
Ⅴ 社会保障法学への含意
1 3つの含意
2 社会保障の法理念としての支援責任
3 給付中心の社会保障法から支援中心の社会保障法への転換
4 継続的・個別具体的な相互関係に基づきつくられていく権利
5 課 題
◆第5章 ソーシャルワークの法的構造――原理・制度・人材の法的分析
Ⅰ ソーシャルワークに関する問題意識
1 ソーシャルワークと社会保障法の再構成
2 これまでの議論
3 ソーシャルワーク法の捉え方
Ⅱ イギリスのソーシャルワーク法
1 学問分野としてのSocial Work Law
2 ソーシャルワーカーの実践における法的介入
3 ソーシャルワーカーの法制度上の役割
4 イギリスのソーシャルワーカーの資格制度と法教育
Ⅲ ソーシャルワークの法原理
1 法とソーシャルワーク実践
2 ソーシャルワーカーの倫理と法
3 法に基づくソーシャルワーク実践
4 ソーシャルワークへの司法介入と権利擁護
Ⅳ 社会福祉サービス提供過程におけるソーシャルワークの法的位置づけ
1 社会福祉サービス提供過程の変化
2 実定法上のソーシャルワーク
3 社会福祉サービスの提供過程におけるソーシャルワークと法的位置づけ
4 考 察
Ⅴ ソーシャルワークの専門的人材
1 ソーシャルワークの専門職
2 専門職に対する法的統制
3 専門職の実態
4 法 教 育
Ⅵ おわりに
◆第6章 地域福祉の法的構造――個別支援と地域支援の法制度
Ⅰ 地域福祉に関する問題意識
Ⅱ 地域福祉制度史・理論史から
1 地域福祉制度史
2 地域福祉理論史
Ⅲ 地域福祉の実定法分析
1 地域福祉の法的分析の視点 ――要素別位置づけ
2 理念規定
3 実体規定①――個別支援(在宅福祉給付)
4 実体規定②――地域支援(地域組織化)
Ⅳ 地域福祉における権利性
◆第7章 医療提供体制と社会保障法――新型コロナウイルス対応を踏まえて
Ⅰ 医療提供体制に関する問題意識
1 本章の問題意識
2 社会保障法学における医療提供体制論
3 本章の分析視点
Ⅱ 制 度 論
1 行政と医療機関の関係(「公的介入」対「自由開業」)
2 行政と患者の関係(「量的拡大・抑制」対「質と効率性向上」)
3 患者と医療機関の関係(「保護」対「選択」)
Ⅲ 権 利 論
1 患者の権利論
2 健康権論
3 社会福祉の権利論を手掛かりにした医療の権利論
4 医療提供を受ける権利
Ⅳ 法理念論
1 正義論と医療提供体制
2 社会保障の法理念論と医療提供体制
3 参加・貢献支援論から見た医療提供体制
Ⅴ 今後の社会保障法学の研究課題
◆第3部◆ 各論②――所得保障
◆第8章 所得保障と就労支援――就労の不安定化と曖昧化への対応
Ⅰ 所得保障と就労支援に関する問題意識
Ⅱ 就労との関係における所得保障制度の体系と変化
Ⅲ 所得保障における複合
1 社会保険と税の複合
2 就労と給付の複合
3 給付と支援の複合
Ⅳ 就労できないことに伴う給付と就労に関係しないニーズに対する給付の区分
Ⅴ おわりに
◆第9章 労働の変容と年金制度――就労前提の制度から就労支援の制度へ
Ⅰ 労働と年金の関係に関する問題意識
Ⅱ 労働の変容と年金制度の改正史
1 年金制度改正史概観――「給付の適正化」から「負担の限界への配慮」へ
2 年金制度の体系
3 年金の給付水準
4 公私年金の分担
Ⅲ 現在の課題
1 近年の就労環境の変化
2 新しい働き方と年金制度
3 女性と年金の世帯モデル
4 公的年金と私的年金
5 就労できなくなったときの所得保障と年金
Ⅳ 考 察
◆第10章 高齢者の総合的な経済生活支援――所得保障と資産管理
Ⅰ 高齢者の経済生活支援に関する問題意識
1 高齢者の総合的な経済生活支援
2 高齢者のとらえ方
3 高齢者と社会参加・貢献
Ⅱ 高齢者の経済生活と社会参加の実態
1 高齢者の経済生活の実態
2 高齢者の健康と社会参加の実態
Ⅲ 高齢者の就労と年金
1 退職と年金
2 支給開始年齢と雇用確保措置
3 就労と年金の両立
4 雇用保険
5 年金税制
6 老後保障における公私年金の組合せ
Ⅳ 貧困と格差
1 高齢者の貧困と格差
2 年金で暮らせない場合の補完制度
3 生活保護基準
Ⅴ 金融資産の管理と自己決定
1 高齢者の資産の実態と特色
2 資産管理における高齢者の意思決定支援
3 地域における金融機関の対応と地域連携ネットワーク
Ⅵ 高齢者の参加・貢献を支援する生活支援の法のあり方の検討
・索 引